小説 血獄楽魔 

31 魂胆


男の魂胆は分かっている。

なお子とセックスをしたいだけだ。


一つ商材を売りつけても一度報酬が入るだけ。

単独で終わってしまう営業は効率が悪いとなお子には教えてきたつもりだったのだが、目先の成果のプレッシャーに負けてしまった。


単売りを毎月100人できれば確かに報酬は1000万になる。

会社員で月給の仕事に就いていれば年収を大きく超えるお金だ。


MLMの旨みは永続的に下部会員が売ってきてくれた売り上げを吸い上げられることだ。

ただ現実的に一人で毎月100契約獲得するのは不可能だ。

3契約で受け取れる報酬は30万。

月に1契約をコンスタンスに取ることさえ難しい。


なお子がソープの出勤を減らして減った分の30万をこのビジネスで賄うには最低でも3契約が必要だ。


2ヶ月なお子は契約が取れていない。

それで楽なアプローチ、アポ取りに切り替えたのはしょうがないと思えた。


初期投資、ビジネスに参加する為80万注ぎ込んでいるので、元を早く回収したいのだろう。


なお子に一台俺のスマホを渡してカメラとマイクを繋げて、リンク中もランプが点灯点滅しないイヤホンを貸してあげた。


ノイキャンイヤホンをいつもつけているので、イヤホンは怪しまれないと思うと言っていた。


背中が壁のテーブル席に俺は陣取り、ノートパソコンにイヤモニを繋いでやり取りを見聞きした。


およそ1時間でセミナー参加の約束まで取り付けて、トイレに行くとなお子が席を立ち俺の前に来た。


はい


手を差し出してカメラ、マイク、スマホを受け取る。

パソコンを閉じて私はそのまま外に出た。


道路からなお子と男が座っている席が見えた。


夕方興奮した様子でなお子から電話がきた。


上手くセミナー会場に連れ出して契約が取れたそうだ。