小説 血獄楽魔 

19 枯葉


ジャズはいい。

劇場で観たブルージャイアント。

ピアノ、サックス、ドラム。


3人の感情が音になって重なっていく。


人は簡単に死ぬ。

眠るのも死ぬのと同じだ。

目を覚さない眠りが死だろう。


心にカタチがあるなら今穴が空いてるのだろう。


空洞。


アケルの葬儀でまさみと会った。

受付にいたが俺に気づいていないようだった。


アケルは天涯孤独だと話していた。孤児院の出身だと。


まさみもそうなのか?

施設の関係者達と一緒に焼かれた骨を骨壺に入れているのを見た。


アケルが死んだことはヒゲのママからきいた。


葬式のあとヒゲに行って飲んだが馬鹿な話しをしても気分は晴れない。

死んだ人間を送るのは笑って話す方がいいとママは言ったが、どうでもいいと思った。


交差点で枯葉が渦を巻いて舞っている。


まさみにチャットで、アケルと送った。


すぐ既読になって返事が返ってきた。


知ってるの?


うん


まさみも孤児院?


そう


寂しいね


だね


アケルはいい奴だった。

まさみからアケルの話しをもっと訊きたいと思った。


会える?


返信は無かった。