にのあいフィクションです。
※ご注意ください。
 つづきです。







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『めちゃくちゃ美味い。』
満足そうに微笑むから
俺の顔も綻ぶ。



『だろ?』

『うん。…ありがとね。』



素直に言われて勝手にキュンとなる。


かず…俺にしとけよ。
俺ならこれからもずっと
美味い生姜焼きも
牛丼も作ってやるから。


いちいちそんな言葉を飲み込んだ。



あっという間に平らげて
3本目のビールを飲んでると
かずが席を立つ。


少し時間を気にしてるようだった。


『ねぇまーくん。テレビ観ていい?』



『じゃあソファーに座れば?
 俺、洗い物してるから』


『俺も手伝う。』


『かず、観たい番組があるんでしょ?
 ゆっくりしていいよ。』



俺はテキパキと皿をシンクに
持っていく…
その様子をソファーに座らずに
つっ立ったまま、見ていた。


『…まーくん。』


『ん?』


『…なんでそんなに優しいの?』




なんで…?


そんなの好きだからに決まってる。

それって何度も伝えてる
つもりなんだけどな。


それ以外、何があるの?



なんか他の人と遊んでる…
かずのことを責めちゃいそうで…
溢れそうな言葉をぐっと堪えた。



『まぁ……いいじゃん。
 俺、片付けたら風呂入るから
 かずはテレビ観ててよ。』



俺はかずの背中を押して
ソファーまで連れて行き
テレビのリモコンを持たせて
座らせた。



帰る…とか言い出さないように。









つづく
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