主人公 莉華(30)
至(28)
友紀(32)
駿介(35)
突然暗闇で彼にキスをされた。
今年30歳。
生まれてこの方不意打ちのキスなんてされた事がなかったから戸惑ったけど、強く抱きしめられながら私はわずか数秒間のキスを受け入れていた。
数時間前
その日はいつもの4人で飲み会。
以前勤めていた会社の仲良し四人組。
女は私一人。みんな独身だ。
行きつけの居酒屋で毎週末たわいもない話をしながら夜中まで飲み明かすのが楽しい。
今日は雷と雨がすごいせいか店内は静かだった。
「莉華(リカ)もいい女なんだけどなー。なんで彼氏ができねーんだろうな?結婚したいとか思わないわけ?」
「相手がいないのはお互い様でしょ。結婚願望はないけどやっぱりパートナーは欲しいよね。」
その日はたまたま彼氏彼女とか結婚だとかの話をしていた。
「そういえばこの中で相手がいるのって至(いたる)だけだな?今の彼女と長いけど結婚とか考えてねーの?」
「友紀(トモキ)は自分の心配したら?3年間彼女いないんだろ?まぁ結婚はないかなー」
「何で結婚はないの?」
実は私、至の事がずっと前から好きだった。
おそらく今の彼女と付き合う前から。
3年ほど前に気持ちを伝えたら見事玉砕。
後から聞いた話だが私が気持ちを伝えた時には付き合ったばかりだったらしい。
一度は諦めたんだけど、仕事だったり飲み会だったり会う機会が多くて、やっぱり好きだなぁって思ってしまったまま今に至る。
「俺結婚願望ないんだよね。あと責任とか考えると…ねぇ?」
「至は逃げてるだけだな。彼女は?結婚したいって言わないの?」
最年長の駿介が厳しめの口調で質問する。
「したいみたいよ。でも俺はしないって言ってるからね。そりゃあ俺も早く別れてあげた方がいいんだろうなって思うけどさ。」
「煮え切らないなー、まぁお前ほんとそういう決断系苦手だよね。ずるずるいったらお互いの為にならないと思うけど」
「私ちょっとトイレに行ってくるね。」
「いってらっしゃい」
彼は今の彼女と結婚するんだろうか?
そしたら私はどうなってしまうんだろう?
気持ちは抑えてきたし、彼女の話を聞いても特に何も思わないけど…やっぱりすごく落ち込むんだろうな
そう思った瞬間突然あたりが暗闇に包まれた。
「お客様申し訳ございません。雷の影響で停電しました。すぐ復旧させますのでその場で動かないようにお願いします。」
店員さんが慌てている。
トイレから席に戻る廊下をゆーっくりと歩いていると
「びっくりしたね?」
背中の方から声が聞こえた。
思わずびくっとした。
至だった。
「今の至の方がびっくりしたよ(笑)」
そう言った途端に段差につまずいて転んでしまった。
「わっ!」
「店員さんが動くなって言ってたのに(笑)大丈夫?」
至が手を差し出してくれたのでその手を取って
「ありがとう」
と言った瞬間抱きしめられた。
そして
突然暗闇で彼にキスをされた。
今年30歳。
生まれてこの方不意打ちのキスなんてされた事がなかったから戸惑ったけど、強く抱きしめられながら私はわずか数秒間のキスを受け入れていた。
身体を離しながらも暗闇の中見つめ合った。
「どうして?」
パッと明かりがついた。
「お騒がせしました!」
店員さんが大声で謝罪している。
「戻ろうか。」
問いには答えずに席に戻る彼。
私はクエスチョンマークが頭の上に何個も出ている状態だったけどとりあえず席へと戻った。
「こういう事する人だったんだ。」
その後の話の内容はほとんど覚えていない。
結婚だのの話の続きをしていたと思うけどその程度の記憶しかない。
至(28)
友紀(32)
駿介(35)
突然暗闇で彼にキスをされた。
今年30歳。
生まれてこの方不意打ちのキスなんてされた事がなかったから戸惑ったけど、強く抱きしめられながら私はわずか数秒間のキスを受け入れていた。
数時間前
その日はいつもの4人で飲み会。
以前勤めていた会社の仲良し四人組。
女は私一人。みんな独身だ。
行きつけの居酒屋で毎週末たわいもない話をしながら夜中まで飲み明かすのが楽しい。
今日は雷と雨がすごいせいか店内は静かだった。
「莉華(リカ)もいい女なんだけどなー。なんで彼氏ができねーんだろうな?結婚したいとか思わないわけ?」
「相手がいないのはお互い様でしょ。結婚願望はないけどやっぱりパートナーは欲しいよね。」
その日はたまたま彼氏彼女とか結婚だとかの話をしていた。
「そういえばこの中で相手がいるのって至(いたる)だけだな?今の彼女と長いけど結婚とか考えてねーの?」
「友紀(トモキ)は自分の心配したら?3年間彼女いないんだろ?まぁ結婚はないかなー」
「何で結婚はないの?」
実は私、至の事がずっと前から好きだった。
おそらく今の彼女と付き合う前から。
3年ほど前に気持ちを伝えたら見事玉砕。
後から聞いた話だが私が気持ちを伝えた時には付き合ったばかりだったらしい。
一度は諦めたんだけど、仕事だったり飲み会だったり会う機会が多くて、やっぱり好きだなぁって思ってしまったまま今に至る。
「俺結婚願望ないんだよね。あと責任とか考えると…ねぇ?」
「至は逃げてるだけだな。彼女は?結婚したいって言わないの?」
最年長の駿介が厳しめの口調で質問する。
「したいみたいよ。でも俺はしないって言ってるからね。そりゃあ俺も早く別れてあげた方がいいんだろうなって思うけどさ。」
「煮え切らないなー、まぁお前ほんとそういう決断系苦手だよね。ずるずるいったらお互いの為にならないと思うけど」
「私ちょっとトイレに行ってくるね。」
「いってらっしゃい」
彼は今の彼女と結婚するんだろうか?
そしたら私はどうなってしまうんだろう?
気持ちは抑えてきたし、彼女の話を聞いても特に何も思わないけど…やっぱりすごく落ち込むんだろうな
そう思った瞬間突然あたりが暗闇に包まれた。
「お客様申し訳ございません。雷の影響で停電しました。すぐ復旧させますのでその場で動かないようにお願いします。」
店員さんが慌てている。
トイレから席に戻る廊下をゆーっくりと歩いていると
「びっくりしたね?」
背中の方から声が聞こえた。
思わずびくっとした。
至だった。
「今の至の方がびっくりしたよ(笑)」
そう言った途端に段差につまずいて転んでしまった。
「わっ!」
「店員さんが動くなって言ってたのに(笑)大丈夫?」
至が手を差し出してくれたのでその手を取って
「ありがとう」
と言った瞬間抱きしめられた。
そして
突然暗闇で彼にキスをされた。
今年30歳。
生まれてこの方不意打ちのキスなんてされた事がなかったから戸惑ったけど、強く抱きしめられながら私はわずか数秒間のキスを受け入れていた。
身体を離しながらも暗闇の中見つめ合った。
「どうして?」
パッと明かりがついた。
「お騒がせしました!」
店員さんが大声で謝罪している。
「戻ろうか。」
問いには答えずに席に戻る彼。
私はクエスチョンマークが頭の上に何個も出ている状態だったけどとりあえず席へと戻った。
「こういう事する人だったんだ。」
その後の話の内容はほとんど覚えていない。
結婚だのの話の続きをしていたと思うけどその程度の記憶しかない。