家庭で、仕事関係で、友人関係や近所

づきあいで、通勤途上で、人は日々さ

まざまなストレスとつきあいながら生

活しています。人間関係だけに限らず

温度や湿度、音や光、運動、怪我や病

気、過食、疲労といったこともストレ

スになります。生きている以上、スト

レスと無縁でいることはありえないん

です。問題なのは、ストレスによっ

て「気」の滞りを起こす人が多くなっ

ていることです。「気」とは漢方で用

いられる言葉で、実体がなくて見えま

せんが、働きはあるもんです。

「気」に関わる言葉は、「元気」「や

る気」「気を入れる」「気にかかる」

「気に病む」「気を悪くする」などた

くさんあります。漢方では、「気」は

親から受け継いだ生まれつきの「先天

の気」と、後天的に身についた「後天

の気」から成り立つと考えます。

「後天の気」には、呼吸によって大気

から体内に取り入れられた「天の気」

飲食物として胃腸に入り、消化吸収さ

れてつくり出された「地の気」があり

ます。この「先天の気」「後天の気」

を合わせたものが「元気」です。

「元気」は人の体が生命活動をするた

めのエネルギー源と考えます。つまり

全身に血液、酸素、栄養を運ぶ力、汗

や尿などを「出す力」、体内で代謝を

行なう力、体熱を維持して病気の侵入

を防ぐ力の源となるものです。なの

で、「元気」がないと、血液に滞りが

生じたり、「出す力」「温める力」が

弱くなったりします。逆にいえば、血

液の滞り、「出す力」や「温める力」

の低下が原因のなり、「気」が滞って

「元気」がなくなるんです。このよう

に、血液、水分、気の3つは、連鎖の

関係にあります。そして、ズレの連鎖

をさらに大きくするのがストレスなん

です。