夏になると花火大会などで浴衣姿が増える。

浴衣(着物)の一般的な合わせは右前(左側が上)だが、左前(右側が上)で逆になっている人もたまに見かける。

「あれ?死人になっているよ」と思う人もいるだろう。
だが、左前=死人(死装束)なのか?という疑問もある。
お坊さんの褊衫(へんさん)は左前だったり、沖縄の古い写真では右前も左前も見かけるがどうなのだろうか?
 
Twitterでの着物&裁縫仲間の和の牧場さんがその問題提議をしている。


イベントで沖縄のおばあにお話を伺う事が出来たのでツイートに返信。

昔の写真に対する謎が少し解けた。

 

 

 
沖縄では右前も左前もいるが、自由だったとの事。
それは生活に則して利便性の高い方にしていたのだろう。

それに対してお返事を頂く。

 
農家ならではの体感が、沖縄のおばあのお話に繋がった。
一般的に着物の合わせは「右利きが多いので右手が入る様に」となる処だが、「作業するのに引っ掛かるから逆がいい」場合もあるのだ。

 
取り敢えず手持ちの沖縄(琉球)の着物の資料を読み返してみた。
残念ながら染織技術と文様しか載っておらず、着方(着付け、着装)に関する記述はなかった。

更に掘り下げたいが手持ちの資料では限界。
今後の課題として着物の合わせの文化(謂われ)も調べたい処である。

よくある浴衣(着物)の左前問題は単純に間違いだとは言えない。
左前=死装束 ではないし、死装束=左前 ではない(これは和の牧場さんが常々おっしゃっている)。

それと、花火大会などで左前を指摘して楽しい気分に水を差すのは野暮というもの。
敢えてそうしているのかもしれないし、そうではないかもしれない。
いずれにせよ、気付いても心の中だけに留めておきたい。