12月のアムステルダムは、暗かった
ヨーロッパ版新幹線のひとつである”タリス”に乗って、ベルギーのブリュッセルからオランダのアムステルダム中央駅にやってきた。
ベルギーとオランダはEU加盟国同士だから、国境や駅でのパスポートチェックがない。初めてヨーロッパにやってきた者には、ずいぶんと新鮮に感じる。
時は2011年の12月。
ヨーロッパの北の方に位置するアムステルダムは、晴天の日が少なく、滞在中も雨こそ降らなかったものの、うすら寒い曇り空が続いた。
トラム(市内を走る路面電車)の3日フリーパスを購入し、市内散策。
そこに現れた、1件の日本食レストラン”GENKI"。
店構えと、店名からうかがうことができる、怪しい雰囲気(笑)
決して日本人の経営ではない。
決して「和食」は食べさせてもらえない。
瞬時にしてそんなことを感じ取る(笑)
食べ放題、21,95ユーロ(当時のレートで約2,700円)の価格。
美味いものを食べさせてもらえるわけがないww
この店に入ってみることにした。
日本食が食べたかったわけではない。そもそも僕は10日くらいアメリカあたりでファストフードだけの生活を送ってもそれほどコタえない。
美味しいものを食べることは大好きだ。
だが、それ以上に好奇心が強い。
ヨーロッパのバッタもん日本食屋では、どんなものを食わされるのだろう…??
お昼どきから少しはずれた平日ということもあって、他にお客はいなかった(ますます怪しいww)。
オーダーを済ませると、紙ナフキンとなぜか大量のWASABIが運ばれてきた。
料理が出てくるのをしばし待つ。
”寿司盛り合わせ”が来た。
・・・みなさんの感想はいかがでしょうか?
やはり、緑色のツブツブ(魚卵系ですね)に衝撃を受ける人が多いのではないか。
ぼくたち夫婦の感想は、
「思ったより普通じゃん!!」
このレストランで撮った料理の写真はこの1枚しかない。
なぜなら、ほとんどの料理が極めて「フツー」で、面白みがなかったからだ。
お刺身も、天ぷらも、茶わん蒸しも、日本のファミレスのレベルには劣るものの意外性はない。
それなりに楽しく食事をしていると、店員さんがやってきた。
中華系か韓国系の経営かと思っていたが、背の高いオランダ人の店員だ。
「どう?食事を楽しんでる?
ところでウチの料理はどうかな? ちゃんと日本食になってる?」
ずっこけた。
日本人が来るたびにこの質問をしているのか?
その意見を参考にこのレベルまで精進しているとしたら、それはそれで大したものだ。
一方、どんな怪しい食べ物が出てくるかとワクワクしていたぼくたちはある意味で期待外れ。
ヨーロッパでも日本文化の浸透が進んでいる現実をかいま見ることができたのだった。