大雑把に事態を把握した僕ら。



細かい事実は知らされないだろうことも同時に理解した。

当然だ。





「ビル内に潜入捜査員が若干名、警備員も数名含まれてますが、コカイン売買に対応すべく配置されていました。私もその一人です。」

ドライバーとして2、3回現場に来たことのあるその人は言った。



「急に増えた、あの何人かは……?」
ベテラン警備員さんが力無く呟いた。



「具体的な事はお話できません。かえって迷惑をかけることになるやもしれません。ご理解いただけますね?」




僕らは
ただ
うなずいた。






ニュース映像は
報道陣が現場に到着した時には
既に犯人グループは拘束され、
証拠とともに
現行犯逮捕されていた、
と伝えている。

この大がかりな逮捕劇が
どの様に為されたのか⁉️
どの犯罪組織が関わっているのか⁉️
公安が出ばって来たのは
どこの国のどの組織が絡んでいるからなのか⁉️
負傷者の有無は⁉️
等など詳細は
捜査側の発表を待つしかない、
と繰り返し報じている。





「申し訳ありませんが、皆様には秘密保持に関する書類に署名していただく必要があります。
事件寸前まで現場にいた事実は漏れないように、こちらでも対処いたします。
万が一、どこぞの報道関係者を名乗る者が接近してきても、現場にいたこと自体を認めないでください。
身近な方々にも当日だけは現場から外された、と……ゴマカシテください。これは、本当に心苦しいのですが、皆様を守るため、とご了承願います。」

”ドライバーさん”だった人は頭を下げた。





…わかりました。」
僕は答えた。

「でもっ、あ-相葉君や大野さんが無事に避難できたのか、加藤さんも無事なのかだけでも教えてください。
今の話だとニュースで名前出ませんよね。無事でも怪我してても。」

「僕達が連れ出されたみたいに、リーダー達もドコカに連れて保護されてるんですよね⁉️」
松島君も続いた。





「確認してきます。
書類も持ってまいりますので、もうしばらくお待ちください。」





そこからの数分が長かった。

治まりかけていた吐き気と
心臓の痛いくらいの鼓動の速さが
再び襲ってきて、
気絶しそうだった。





”ドライバーさん”が戻って来た。
スマホを取り出し、
スピーカーをオンにした。


『にのちゃん!
コンビニ!!』

心臓が張り裂けそうになった。

「っ!うっ……う、スイーツ!!」


それ以上言葉にならなかった。
涙がボロボロこぼれ、
喉がつまって、
両腕で顔を隠して泣いた。