毎年嬉しくはないのだけれど、やってくる生誕祭。


31アイスクリームのケーキを予約するのが楽しみだった。


もうそれもなくなった。

カレンダーを見れば甦ってくる記憶に目をぎゅっと瞑りたくなる。


またあの日がやってくる。

楽しかった今までの記憶も全て、真っ黒に塗りつぶされて甦ってくる。


沈んでしまいそうになる自分を必死で止めようともがき苦しむ時間が、また私を苦しめる。


みんな一緒だ。

娘も、母親も、父親も。


神様がいるのなら、せめて娘の記憶を薄れさせてあげて欲しい。

これから先の人生をほんの少しでも明るい時間にしてあげて欲しい。


家庭裁判所で同意書にサインをしたあの日から一年。

病気と闘ってきた一年。


笑い話にもならない二年。

私達が粉々になってしまった二年。


信じて騙され続けた16年。

消えない16年。


生誕祭はやってくる。

毎年、毎年やってくる。


被害者の苦しみは瘡蓋にもならずに血を流し続けている。