タイミングが悪くてなかなか繋がらなかった電話がやっと繋がった。


フィクションだった鷹の話に背中を押されながら、私はやっと口にした。


『今回は退職という形を取らせて頂きます』


もう鷹の話がフィクションでもかまわない。

私はとても大きな痛みを伴う決断ができたのだから。


手続きの関係上、少し時間はかかるのだが。

私は、また、ほんの少しだけ、前に動き出した。