海軍めし 第2回目は航空隊の弁当を作ります。

航空隊の搭乗員が機内で食べる糧食ですが、現代の保存食(レーション)風なものではなく、手作りのお弁当といったものです。

 

これらは総じて「航空弁当」と呼ばれていました。

しかし、弁当といえども戦闘糧食なので、任務に必要なカロリーや栄養素などをしっかりと計算されています。

※過酷な寒さにさらされる高高度任務には高いカロリーが必要です。これは登山と同じですね!

 

今回の航空弁当のレシピに利用した記録動画を紹介しておきます。海軍資料映像に詳しい方はよくご存じの「海鷲」という動画です。

昭和17年に広報用として記録されたものなので、画質が比較的良く見やすいです。

 

▲ 航空弁当献立(3:33) 食事の様子(9:57) 弁当のアップ(10:02)

 

▲調理風景や献立も映っており、興味深い映像です。

 

海軍めし割烹

では、さっそく航空弁当を作っていきます。

映像の中にも出てきましたが、今回の献立はこちらです。

 

 

このレシピを参考に、巻き寿司、出し巻き、漬物を入れた弁当を作ります。

 

手の込んだ巻き寿司弁当がそうそう作られたとは思えないのですが、やはり広報映像なので多少演出されている感があります。

爆弾の上を歩く子犬とか・・・これはきっとインサートカットですね。(^^;)

 

巻き寿司

この弁当の主役は、なんといっても巻き寿司ですね。

スーパーで買ってきたものでは、皆さんに怒られそうなので手作りします。

酢飯、具材を準備していきます。

味付けを気持ち濃いめにして食欲を掻き立ててやったのではないでしょうか。

凍えるような機内でも頑張れるように、モリモリ食べてもらわなければ!

 

 

 

 

具材の準備ができたら、巻き巻きして完成です。

映像の中では大きめのサイズ4個を2段積みにしていましたが、食べやすい小ぶりな巻きにして、6個2段積みにしました。

 

出し巻き

グリーンピースは柔らかくなるまで茹ます。

下味は塩と砂糖で。このひと手間で、より美味しく出来上がります。

あとは普通の出し巻きの要領で仕上げていきます。

 

 

玉子を巻く時、皆さんはどちらから巻くのでしょう。

鍋先から手前?手前から鍋先?

鍋先から手前に巻くのが「大阪巻き」、手前から鍋先に巻くのが「京巻き」と呼ばれるそうです。一般的なのは「大阪巻き」だそうです。

ちなみに小生は大阪巻きです。

 

航空弁当の出来上がり

巻き寿司、出し巻き、沢庵漬を弁当箱に詰めると「航空弁当」の出来上がりです。

ここで、肝心の弁当箱の出番です。

 

前回の海軍めしを読んで下さった方!

例の「医療箱」は使いませんよ。(笑)

 

今回は当時実際に使用されていた「海軍弁当箱」を使います。

映像に出てきた弁当箱です。

 

小生が入手してから、今回初めて弁当箱として使いました。

76年ぶりに使われるのかもしれませんね。

 

 

弁当箱の色が金色っぽいのは、アルマイトメッキ(蓚酸アルマイト)が施されているからです。このアルマイトメッキの技術が、日本の技術者によって開発されたことはご存じですか。今もその技術が我々の生活に役立っています。

 

 

航空弁当の出来上がりです。

小ぶりの巻き寿司ですが、当時と同じ具材で再現しました。いかがでしょう!

 

搭乗員にとって、この弁当が最後の食事になるかもしれない・・・そう考え、炊事兵も気持ちを込めて作ってくれたのではないでしょうか。

 

「いただきます。」

 

機内での食事として、巻き寿司はとても食べやすいですね。

食事中でも作業が可能で、腹持ちも良いと思います。

美味なり。

 

五二整備士