※※ネタバレあり※※
改装中の一軒家からミイラ化した死体が出てきた。
被害者の身元を突きとめ
事件の関係者が判明していくにつれ
埋もれていた過去が姿を現してくる・・・
「埋もれる殺意」シリーズの第5弾、
ということは後から知ったが、
どうやら前任のリーダー(キャシー)が亡くなり
彼女を慕っていた部下たちは
後任のジェスに最初から抵抗がある様子。
特に古株のカーンとジェスは
ずっとギスギスしている。
さすがに捜査に支障が、と
腹を割って話し合った結果、
お互い私生活のトラブルで
心の余裕をなくしていて
本来の状態じゃないことを理解し、
やっと信頼関係が芽生えた。
よりによって着任当日の朝、
夫から浮気を告白されたジェスの方が
カーンの婚約者との件より大変だろうと
彼が「警視の勝ち」と言ったのは笑えた。
とにかく事件も登場人物も複雑に
入り組んでいる。
捜査が進むにつれ、
一見なんの接点もないように見えた人々が
絡み合った関係性を持っていることが
わかってくる。
レストラン事業を拡大しようと奮闘するエベレ。
恋人の連れ子や同僚と明るく接するカロル。
老貴族で政治家のトニー・ヒューム。
ドラッグに溺れる青年ジェイと恋人。
暖炉の死体はジェイの母親で、
エベレの娘であるプレシャスだった。
【トニーの自供】
エベレが自分の娘であると認め、
プレシャスに空き家の鍵を渡していた。
事件の夜、プレシャスの息子ジョゼフに呼び出され
家に行くと薬物の影響か銃を向けてきた。
ジョゼフを止めようとしたプレシャスだったが
銃が暴発しジョゼフが死んだ。
ショックでプレシャスは自殺した。
そこにエベレがやってきた。
ジョゼフの遺体はエベレ名義で借りていた家の庭に埋めた。
プレシャスの遺体はエベレが森に埋めたと言っていた、
とトニーは余命いくばくもないこともあり
真実を語る。
【エベレの供述】
「ジョゼフに脅された」とトニーから電話があり、
家に行ったらすでにジョゼフは死んでいて
プレシャスも死にかけていた。
トニーの説明を信じたが
保身のためなら平気で噓をつく男だとも思っていた。
それでも逮捕歴のある彼女が
警察になにか訴えたところで信じてもらえないだろう
とプレシャスを見送った後、遺体を煙突に隠した。
【ジェイの供述】
家にトニーが来たので隠れて見ていたら
トニーがジョゼフの首を絞めたので
ジョゼフが銃を取り出した。
止めようとしたプレシャスともみ合いになり
銃が暴発しプレシャスは死んだ。
呆然とするジョゼフから銃を受け取ったトニーが
ジョゼフを射殺した。
見つかったら自分も殺されると思い
ずっと隠れていた、と。
【2回目のトニーの供述】
被害者一族の積年の恨みを改めて知った
トニーは懺悔のつもりか
ジェイの話が真実だと供述を変える。
カーンもジェスもこの自白を疑わず
事件解決を鼻息荒く喜んでいたが
「おふくろが間違って撃ってジョゼフは死んだ。
おふくろは自殺した。
俺たちを苦しめてきたから嘘をついてやった」
とジェイが嘘の証言をしたことは知らないまま。
「関係あるのか?」と思う人物や
エピソードも伏線回収され、
よく練られた脚本だったと思うが、
イギリスの現実を突きつけてくるような
シリアスな社会派ドラマで、
事件が解決しても爽快感ゼロ。
どんよりと暗い気分のまま
「復讐したい気持ちはわかるが
この結末でいいのか?」
とモヤモヤが残る。
とりあえず・・・
紅茶でも飲みながらまったりと
名探偵の推理を楽しむ、
というタイプの英国ミステリーではなかった。