おきつ波 青い水盤に水を満たして 雪の降りしきる明治5年2月11日 貞心尼は、彼岸へと旅立っていった。 良寛への思慕は、生涯色褪せることなく、 彼女の生を支え続けた。 りやうぜんにて、再び相まみえんことを願い続けた、 彼女の心情が、三句の辞世の歌にうかがわれる。 いつまでも長きいのちをわびにしも 今はかぎりとなりにけるかな たまきはるいまはとなれば 南無阿弥陀仏といふ外にみちなかりけり くるに似てかえるに似たり沖つ波 たちゐは風の吹くにまかせて 良寛と貞心の御霊に捧ぐ―