経済学では頻繁に「効用」という用語が出てくるがこれは顧客満足度の度合いのことである。この効用をディズニーリゾートにおいて考えることにする。


パークにおいて効用に影響するのは混雑度である。混雑度だけの視点で考えれば、効用が最大となるのは自分以外は誰もインパークしていない。すなわち貸し切り状態の時であるが現実的に考えればありえないだろう。だが効用が最小となる時は存在する。それはパークが入園制限を行っている時である。

ここでOLC(オリエンタルランド)が直面する問題は最適な効用と収益の組み合わせの決定である。なぜなら効用が高くなればなるほど収益は低くなり、効用が低くなればなるほど収益が高くなるからである。つまり効用と収益が反比例の関係にある。これを少しでも改善・補正する為に考案されたシステムがFP(ファストパスシステム)やアーリーエントリーである。効用の考え方はディズニーリゾートでも応用できるのである。


ディズニーを愛し、年間パスポートを所持しているリピーターいわゆる常連は数千人以上いるが彼らの大半はショーやパレードを目的にインパークする。当然そういった常連はアトラクションに乗った数よりもショーやパレードの内容の方が大きく効用に影響するだろう。

また、ダンサーを見ることを目的にインパークする常連も数多く存在する。舞浜界ではどうやら彼らは「ダンオタ」と呼ばれているらしい。彼らはキャノンやニコン等の一眼レフを持ちながらダンサーを追っかけているのですぐに分かる。彼らダンオタの効用は二極化すると考えられる。目的のダンサーがいた場合といなかった場合の2通りで効用が位置づけられるからだ。ダンサーの出勤日数は人により異なるが基本的には週5日勤務の形態であるので高い効用が得られる期待の方が大きいといえる。


また、効用を大きく変動させる期間というものがディズニーリゾートには存在する。それはOLCの投資によるイベントショーや新アトラクションの導入である。これは、経済変動の有名な波として挙げられるキチンの波、ジュグラ―の波、クズネッツの波、コンドラチェフの波の4つの波のうち、ジュグラ―の波を用いて説明することができる。

ジュグラ―の波とは、周期が約10年で設備投資を要因とする波である。ディズニーリゾートは10周年、20周年と大きな節目の年に盛大なショーやパレードを行ってきたことを考えれば簡単である。大規模な投資を行ってリピーター層を確実に確保し、安定的な収益確保の構造を作り上げれば次の大きな投資が10年後にまた行うことができるということである。効用は収益を生み、収益は投資を生み出しゲストの効用を高めるという良い循環が生まれるのである。

最近ではディズニーシーに新しいアトラクション「トイストーリーマニア」ができた。このアトラクションのオープンによって、パークの混雑による効用低下を抑制することができるかがOLCの今後の課題となるだろう。