JFAが作成した動画「Team Cam」を見ました。感動的でした。この動画を見て、だれもが心を揺さぶられると思います。

 

 

 

 

 この動画のコメント欄は、愛あるコメントで溢れています。今大会のなでしこたちのプレーに魅了されたことが良く分かります。

 

「はじめてなでしこを見たけど本当にみんな上手くってかっこよかった。 スェーデン戦やノルウェー戦、フィジカル差がある中で高い技術で戦っていく姿に本当に感動した このチームなら五輪そして次のワールドカップ優勝狙えると思う これからも応援します!本当に頑張ってください!! 熊谷選手次のワールドカップもいると嬉しいなー」

 

「ワールドカップまで残り2試合のデンマーク戦を見た時は正直頭を抱えたものでしたが、最終メンバーが決まってからのチームビルディングはまさに神業!予想不可避!お見事でした! 久しぶりになでしこでいい夢を見られた素晴らしい大会でした。 私は信じていますからね。オリンピックの決勝でスウェーデンを完全攻略して優勝してくれることを、それまで気長に応援してま~す。 そんじゃ~未来のなでしこの栄光にカンパ~イ。美味しいお酒をありがとう。期待してんからなあ~」

 

「大会前にメディアもあまり話題にも上げてくれないような状況の中で、 GL3戦の圧倒的な強さ、体格に勝る北欧勢との激闘、本当に感動しました。 weリーグにも興味が出たのでスタジアムに足を運んでみようと思えました。 これからも応援しています!お疲れ様でした!」

 

 

 それだけに、この火を消さないためにも、次こそベスト4以上の結果が求められると思います。一度見てしまったなでしこ優勝の夢ゆえに、今大会のパフォーマンス以上のパフォーマンスが求められます。もし、パリ五輪で本大会同様ベスト8止まりとなると、一気に興味がうせてしまうかもしれません。

 

 かつて、小野寺志保さんが、WEリーグ発足を前にインタビューで次のように答えていました。

 

小野寺:プロリーグを目指すことは、とてもポジティブなことだと思っています。育成年代の選手たちがプロに憧れて頑張れるという意味でも、本当に大きな存在だと思うし、成功を願っているんです。ただ……率直に言うと、私のイメージでは、なでしこリーグという小さな固形燃料の火の上にWEリーグという備長炭が乗せられたような感じです。備長炭は炭の中ではナンバーワンで、火がついたら長くもちます。でも、すごく固くて簡単に火がつかなくて、着火剤をうまく使わないとなかなか燃えないんですよ。だから、繋げる部分が大事だと思います。同じ火でたとえると、シドニー五輪(2002年)を逃した時に、私たち(当時の代表選手たち)は本当に、「女子サッカーの火を消してはいけない」という思いで、04年のアテネには絶対に行かなければ、と考えていました。他の選手もみんな同じように「女子サッカーのために」と考えて、繋いできた小さな炎があったと思うんです。それが2011年のW杯優勝に繋がって、「(女子サッカーの火が)着火したかな?」と思ったら、今はまた小さい炎になってしまいました。そこに、いきなり、「(固形燃料の上に)備長炭を乗せよう!」という感じに見えてしまうんです。火はなかなか燃え移らないから、このまま酸素が減っていき、その火がスッと消えてしまうかもしれない、という不安もあります。

 このチームは、各選手が口癖のように言っていますが、傍から見ても最高のチームでした。また、プライベートジェット機でニュージーランド入りし、専属シェフも男子と同じ西芳照さんでした。待遇面でも男子と同じになり、後は結果だけが求められていました。

 

 

 今大会のなでしこジャパンは、アンダーカテゴリーで優勝や準優勝を経験したメンバーが多く、海外組もただの海外組ではなく、それぞれのチームでスタメンを張っているメンバーが勢ぞろいしました。どこから見ても、最高のメンバーでW杯に臨みました。

 

 結果は、見ての通り、グループリーグの戦いは世界を驚かせました。大会前は優勝候補ではなかったのですが、一気に優勝候補というメディアも現れました。そして、一番良かったのは、見ていて面白いワクワクするような試合を見せたことです。

 

 選手たちもノリノリでしたね。Team Camの動画でも、選手自身がワクワクしている様子がインタビューから伝わってきました。。

 

 それだけに、この最高のチームがなぜスウェーデンに勝てなかったのか。疑問に思う人も多いと思います。自分もその一人です。理由の一つは、スウェーデンの戦術の巧みさだと思います。日本の堅守を破るために、様々な仕掛けを施してきました。

 

 もう一つの理由は、日本に少しの勇気が足りなかったのかもしれません。前半戦は、日本の良さが消え、シュート0に終わっています。ここまで4試合で見せてきた自由自在のプレーが消えて、守りとも攻めともつかぬ時間帯が45分もありました。

 

 後半に1点をもぎ取るような力強いパフォーマンスが前半から出来ていたら、また違った展開になったかもしれません。ただ、後半のプレーが出来たのは、スウェーデン選手の動きが疲れから鈍くなったためだと思います。

 

 また、スタメンは杉田ではなく初めから遠藤を投入していたらどうだったのか。少し悔やまれる気がしました。

 

 ただ、それらすべてをひっくるめて、やはり日本の力不足だったのだろうと思います。スウェーデンは強かった。FIFAランク3位は、お飾りではなかった。明らかに、優勝に近づいているチームだと思います。

 

 2015年、カナダ大会で準優勝したなでしこジャパンでしたが、なでしこリーグの人気下降を食い止めることは出来ませんでした。そして、リオ五輪出場を逃し、なでしこリーグの人気はW杯優勝前に戻ってしまいました。

 

 今回は、その轍を踏まぬよう気をつけなければなりません。そして、パリ五輪ではベスト4以上の成績は必須と言ってよいと思います。組み合わせもあるため難しさもありますが頑張って欲しい。すべての女子サッカー選手たちのためにも。未来の女子サッカー選手たちのためにも。小野寺さんの心配は、まだ杞憂だとは言えないと思います。

 

 

 もう一つ。今大会から、大会の賞金が大幅に増額され総額1億1000万ドル(約158億円)になりました。

 

 優勝チームは429万ドル(約6億2000万円)を獲得し、グループステージ敗退でも156万ドル(約2億2000万円)を得ることができるようになりました。

 

 さらに今大会から選手個人への分配金も明示され、優勝した場合は23人の全登録選手に27万ドル(約3900万円)、準優勝の場合は1人19万5000ドル(約2800万円)、3位が18万ドル、4位が16万5000ドル、8強が9万ドル、16強が6万ドル、グループステージ敗退でも各選手が3万ドル(約430万円)が配られます。

 

 全世界の女子プロサッカー選手の平均年俸が1万4000ドル(約200万円)であることを考慮すれば、非常に大きな金額です。

 

 今回なでしこジャパンの選手たちは、1人あたり9万ドル(約1300万円)の配分金を受け取ります。かなりの高額ですね。ようやくプロ選手と言ってよいかもしれません。

 

  前回大会まで選手への配分金はなく、日本協会の報奨金として優勝した11年大会は650万円、準優勝の15年大会は約400万円が全選手に支払われていました。このことを思えば、隔世の感があります。

 

 なお、日本の賞金総額は、協会分の218万ドルと合わせ、425万ドル(約6億1600万円)となります。