正直、このニュースを知って驚きました。WEリーグの高田春奈チェアが、21日、来月開幕する女子ワールドカップの国内テレビ中継を目指してクラウドファンディングで資金を募るというのです。目標額や開始時期は後日発表となっていますが、いったい目標額はいくらなんでしょうか。  

 

 

 

 

 放送権料がいくらなのか分かりませんので、目標額は想像出来ません。それでも、二桁の億単位なのかなと思っています。仮にその資金が集まったとして、この時期でTV局の放送枠を確保できるのでしょうか。あまりにも時間がない中で、突然の発表。本当に驚きました。

 

 理事会後のオンライン記者会見で高田チェアは「女性の位置づけを向上させる適切な額というFIFAの意見も、市場価値というメディアの意見も分かる。そこを接続する役割ができれば」と話したとの報道があります。

 

 安く買いたたけば、その程度の価値かと思われてしまいますし、高額な金額は支払えないというジレンマもあると思います。まずは、目標額を知りたいです。

 

 このニュースに、様々なコメントが寄せられています。それらの意見を読ませてもらい、女子サッカーの置かれている社会的位置がどの辺にあるのか想像しています。何が正解かというものはないと思います。これらの意見を、JFAやWEリーグ、なでしこリーグ関係者も読まれて、女子サッカーのあるべき姿をより良い方向に牽引して行って欲しいと思います。

 

 FIFA女子W杯の代表発表時よりも、今回のクラウドファンディング発表に多数のコメントが寄せられていることに驚きです。無視されず、大反響アリは良かったです。

 

 

 コメントの中にはこんなものも。

 

・河治良幸(スポーツジャーナリスト)

 正直に言ってしまうと「(欧米の)女性の位置づけを向上させる適切な額」と言わざるをえない。しかも女性の競技人口が100万人いるとも言われるドイツすら、本当にギリギリで中継が決まった。米国ではエンジョイを含めれば数百万のプレーヤーがいて、代表選手は少女の憧れであるから、それに見合った待遇を得るべきというのは道理です。しかし、それを女子サッカー人気が途上の国に当てはめて算盤を弾かれると、かなり厳しい。

 

 日本は2011年に世界一になったことで誤解されやすいですが、女子サッカーの競技者もファンも少ないです。決勝まで行けば降ってわいたように盛り上がるかもしれないが、それは他競技でも一緒。FIFAとしては放映権料を買えない国にはFIFA+を提供すればいいと思っているかもしれないですが、それでは裾野は広がって行かないと思います。

 

・清水英斗(サッカーライター)

 安く買ったものは雑に扱われる。放映権を安く売ったところで、盛り上げ企画無しの生中継だけでは低視聴率に終わるだけです。女子W杯というコンテンツの価値を大切にしてもらうためには、一定の放映権料は譲れない。FIFA側の立場も理解できるところはあります。 ただ、日本の現状と照らし合わせたとき、”一定”の認識に開きが大きすぎる。2011年の優勝に引っ張られた印象のギャップが根強い気がします。

 

 クラウドファンディングは一般への課題共有について影響力がありそうですが、もう一つは単なる額ではなく、「どう女子W杯を取り上げるか」という部分の交渉が、ポイントになりそうです。 同じく放映権で揉めた欧州各国では、週に1時間以上の女子サッカー番組を放映することが最終的な合意に盛り込まれており、FIFAはそれを「長期的な発展のための優先事項」としました。日本でもプロモーションの確約が、もう一つの鍵になるのでは。