舩木渉氏の渾身のコラムを読みました。グッとくるものがありました。
先月27日のE-1選手権第3戦の韓国戦で右ひざ前十字じん帯断裂という大怪我を負ったFW宮市亮(横浜F・マリノス)に対し、チームの仲間が粋な計らいを行いました。J1リーグ第23節・鹿島アントラーズ戦後、チームメートが「亮どんな時も君は一人じゃない」とメッセージが入った背番号17のユニホームを着用。マスカット監督も宮市のユニホーム姿で記者会見場に現れました。
一時は「もう現役を終えようと思っていた」と覚悟した宮市は涙を浮かべてサポーターに挨拶しました。
「一生忘れることのない、そして自分の決意も改めて確認できた最高の試合だった」。
と感想を述べ、再びピッチに戻ってくることを誓っていました。
■マスカット監督談
「ミヤとは個人的にも長く話をした。プライベートな部分もあるが、みなさんに彼の考えを1つ共有できるとすれば、彼はすぐに自分のことだけではなくチームのことを考えていた。あれだけの大怪我をしている中で、他のことを考えられる。素晴らしい性格、人間性の持ち主だ。
彼は私に言ったんだ。『走れなくても、ピッチに立ってプレーできなくても、外からでも自分がチームのためにできることは全てやる』と。アンビリーバブル。彼がチームメイトであることを誇りに思うべきだし、サッカークラブにとって最高の人間性の持ち主だ。どん底にいても、2、3分後には彼はチームのためを思って行動で表現できる。大したものだ」
舩木渉氏は、宮市が怪我をしたことが大きな関心を集め、前向きなエールを受けられるのには、いくつか理由があるといいます。
1つはこれまで度重なる怪我に苦しめられてきたことを、多くの人々が知っていたから。ひざの前十字じん帯断裂は左右合わせて3度目、右に限っても損傷を含めれば3度目の大怪我になる。18歳でアーセナルに移籍し、いくつものクラブを渡り歩く中で、何度も絶望から這い上がって復活を遂げてきたストーリーがある。
2つ目は、彼の人間性だ。誰とでも分け隔てなく接し、常にポジティブで、サッカーができる今を全身で楽しんでいる。困難にも全力で立ち向かっていく精神的な強靭さや、チームに対しての献身的な姿勢は自然と周りに伝播していく。マスカット監督が記者会見で言及したそれだ。
キャプテンの喜田は次のように述べています。
「大事な仲間だから、どうしても何かしたくて、動きたくて、(特別仕様の)ユニフォームもそうですけど、少しでも彼のこれからの活力になるような言動、行動ができればと思っていました。亮くんからも『チームが必ずタイトルを獲るために、表だろうが裏だろうが全力を尽くす』と言ってくれた。
それこそが彼が示してきたもの。これだけたくさんの人たちから激励を受けて、愛されているのは普通じゃないと思います。もしかしたら彼自身も感じているかもしれないですけど、これだけたくさんの人に響く人間性だとか、彼自身が持っている魅力がそうさせている。みんながついているというのは忘れないでほしいというのは何度も伝えさせてもらいました」
サッカーの神様は、往々にして選手に様々な試練を与えます。試練に耐えられず、あるいはどうにもできない現実に引退する選手がいます。一方で試練を乗り越えて、あるいは乗り越えようとしてファンに感動を与える選手もいます。
ピッチ上だけでなく、ピッチ外でもファンに感動を与える、そんな選手に出会えることもサポーター冥利ではないでしょうか。たとえ他のチームのサポーターであっても、心打たれるエピソードです。
昨日行われたUEFA欧州女子選手権イングランド、イングランドが強豪ドイツを2対1で下し、悲願の初優勝をつかみとりました。
現地にはスタジアムの収容人数いっぱいの、約9万人の観客が集結し、男子も含めた欧州選手権の決勝戦として最大級の集客となったといいます。また大会全体では、2017年にオランダで開催された前回の欧州選手権の2倍となる、48万人以上もの観客を動員したと独紙「ターゲス・ツァイトゥング(taz)」が報じています。
同紙には次のようなコメントもありました。
「英国のマスコミは、この欧州選手権の後、女子サッカーがまったく新しい章を開くだろうとますます言っています. そのようなことはしばしば考えられ、言われてきました。2011 年のドイツ ワールド カップからの革命を約束した人もいます」。
上記のことから、なでしこジャパンが、女子サッカーの未来を切り開いたと言っていいのではないでしょうか。残念ながら、今現在、なでしこジャパンは世界に遅れをとっていますが、何時の日か再び対等な戦いが出来る日が来ると信じたいです。