1か月に渡る戦いを制したのは、ドイツでした。ドイツの勝因は、11人の一体感、連携だと思いました。この一体感を生み出したのは、チームに7人ものバイエルンの選手がいたことだと思います。リーグ戦の戦い方をW杯に持ち込んでいる。W杯のために国内外の選手を招集し、短期間に戦術を浸透させるのは至難の業だと思います。それができるとしたら、同じチームの選手で主要なポジションを固めること以外にないと思います。

 そして、もう一つは、W杯の前に、いかにコンディションを整えるかということ。スペインは、W杯の直前に行われた欧州CLで、疲労困憊していなかったか。国内の2チームが決勝に残り、多くのスペイン代表選手を抱えるチーム同士が戦いました。この激闘が、W杯の戦いになんらかの影響を与えたと思います。

 なでしこジャパンの主要メンバーの多くが、今、海外で戦っています。技術を磨き、個の能力は格段に上がっていると思います。彼女たちが、来年行われるカナダW杯で、どんな働きをしてくれるか非常に楽しみです。そんな中、唯一心配なのは、W杯が始まるまでに、どれだけチームとして精度を上げられるかということです。個々の能力が如何に高くても、チームとしての一体感がなければ何試合も勝ち抜いていくことは難しいです。

 なでしこジャパンには、あやちゃんという、世界一と言っていい司令塔がいます。彼女の能力を持ってすれば、それほど一緒に練習をしなくても、連携を生み出すことは可能だと思います。しかし、共に戦術を練る時間があるに越したことはありません。如何に、本番までに一体感を作り出せるか、楽しみでもあり不安でもあります。

 男子のW杯から、女子も多くを学んだと思います。連覇の難しさ、コンディションの維持の難しさ、どの国からも標的とされ、チャンピオンを倒そうとする国々の仕掛けてくる戦術をいかにかわし、自分たちの戦いに持ち込めるか。女子のW杯が、本当に、待ちどおしいですね。