サッカーの神様はいるのでしょうか。もし、いるとしたら聞いてみたいと思います。今朝の、準決勝ブラジル対ドイツのことを。1-7という記録的な大敗を喫したブラジル。前半だけで0-5に。しかも、20分台の6分の間に4点を失うという信じられない出来事が起こりました。

 神様は、何をしたのでしょう。ブラジルのディフェンダーは、エアポケットに落ちたように、ただ茫然とドイツの攻めを見ていただけのようでした。足が止まり、ボールを目で追うだけで、ドイツのパス回しにただただ翻弄されていました。そして、バイタルエリアで安易にボールを失い、失点を重ねてしまいました。

 その後は、一方的にドイツに攻めたてられ、いつ失点するのか時間の問題のようでした。見ていて辛かったですね。もう、レフリーストップでもいいんじゃないかとさえ思いました。ブラジル選手は、自信を失い、我を失い、攻めのキッカケがつかめず、ただ防戦一方。早く、前半戦が終わらないかと時計ばかり気にしていました。

 ハーフタイムに、気を取り直して、反撃に転じてほしいと祈りました。しかし、ドイツの前に攻めの糸口がつかめず、前にボールを運べない状態が続きました。業を煮やしたDFダビド・ルイスが攻めの起点となって攻め上がると、カウンター攻撃を受け、さらに2失点を喫しました。これは、公開処刑のごとく、見る者の胸を締め付けました。

 ブラジルサポーターは声を失い、自国選手のプレーにブーイングを出す始末。もはや、試合の体をなしていないような感じでした。それでも、後半終了間近にオスカルが1点を返して、零封を免れました。

 サッカーの神様は、浪花節のような結末を用意してくれませんでした。ブラジルに対する新たな奮起を促す結末を用意したのか。何度も優勝というチャンスを逃し続けたドイツに、その努力に褒美を用意していたのか。どちらの国の目線で見るかで、神様の意図は180度反転します。

 それでも、両チームの選手たちは、サッカーの神様に敬意を表し、試合終了後、互いを認め合い、敵味方なく選手同士、選手と監督が健闘を称えあいました。

 さて、優勝候補同士の戦いが、大差で終了しましたが、もう一方の戦いは、明日の早朝に行われます。サッカーの神様の用意したドラマの展開はどうなるかわかりませんが、気持ち、体力、戦術が、ドラマの筋立てを大きく左右することだけは間違いないでしょう。


ブラジルDFダビド・ルイスの言葉

「僕はただ、みんなに幸せを与えたかった。残念ながら、僕らはそれができなかった。みんな、申し訳ない。ブラジルのすべての人たちへ、申し訳ない。僕はみんなが笑顔になるのを見たかった。それが僕にとっていかに大事か、みんなが知っている。たとえただのサッカーであってもね」

「ドイツの方が良かった。彼らはより良い準備をし、より良いプレーをした。僕らは6分で4失点してしまったんだ。僕らにとっては非常に悲しい日だ。でも、僕らは大きな教訓を得た」

「今、何があったのかを説明するのは難しい。夢の終わりだ。望んでいた形ではないけどね。僕は人生で常に男であることを学んできた。何からも逃げない。きちんと受け止める。いつか、この人たちに幸せを与えたい」