昨夜は、大興奮でした。長い間、開くことがなかった扉を、宮間あやキャプテン率いるなでしこジャパンたちが、ついにこじ開けました。1981年の日本女子代表の大会初出場から33年、開きそうで開かなかった扉を、こじ開けられた要因はなんだったんでしょうか。

 相対的に、アジアの国々の実力は上がってきています。4年前のなでしこジャパンは、世界一の称号を獲得しました。その実力を持ってしても開かなかった扉が、あの時のメンバーよりも実力的には劣る若手を交えてこじ開けました。多くの若手をピッチに送り込みながら、優勝までたどり着いた要因、それはチームの団結力にあったのではないでしょうか。

 若手の成長が芳しくない中、その若手を多く選抜して大会に臨まねばならなくなった本大会。優勝を目指すと言いつつ、なでしこジャパンが最強のメンバーを揃えられなかったことは周知の事実です。それでも、世界一のワッペンを胸に、大会に臨むなでしこたちに言い訳は用意されていませんでした。

 初戦のオーストラリア戦は、敗戦濃厚の2点のアドバンテージを、見事に追いつき引き分けに持ち込みました。これが、全てではないでしょうか。この戦いで、起用された若手は、あやちゃんとギミちゃんのプレーに何かを感じたはずです。また、ベンチで観戦していた控え組も、二人の繰り広げる魂のサッカーに心を熱くしたのではないでしょうか。

 そして、2戦目のベトナム戦。前半こそ手こずりましたが、後半は怒涛の攻め。木龍選手も代表初ゴールを決めました。3戦目のヨルダン戦は、若手主体の構成で望みました。結果は、7-0で圧倒。実力的に当然の結果でしたが、吉良選手も積極的にゴールを目指しました。

 トーナメント戦は、鬼門の準決勝。過去何度も弾き返されてきました。案の定、厳しい戦いを強いられましたね。あやちゃんと澤さんのレジェンド組が、ドイツワールド杯の再現のようなゴールを決めて見せました。このまま逃げ切りかと思われた後半30分過ぎ、まさかのアクシデントが待っていました。しかし、同点にされても、ハードワークを止めないなでしこに、最後の最後にチャンスが巡ってきました。そのチャンスをもたらしのは、菅澤選手の振り向きざまの豪快なシュートでした。惜しくも、GKのファイセーブに阻まれてしまいましたが、CKを獲得しました。このタイムアップ寸前のワンチャンスを、勝ち越しゴールに結びつけてしまう力が、なでしこの経験値だと思います。この劇的な勝利は、本大会に参加した若手選手たちには、最高の贈り物になったと思います。最後まであきらめない心、なでしこ魂を、目の当たりにして、自らもこの一員であり続けたいと思ったことでしょう。

 この勝利は、沈滞気味のなでしこジャパンのレギュラー争いに、大きな大きな新風を吹き込んだことでしょう。そして、大会に参加した若手同様、選考に漏れた若手選手たちの心の闘争心にも、火をつけたことと思います。
 海外組も含めて、来年のカナダワールド杯に向けて、レギュラー争いは、下剋上に突入したと思います。もし、その危機感がない選手がいたとしたら、既に選考から漏れているということになるでしょう。この全員の危機感が、ワールド杯連破には絶対必要なものだと思います。

 さて、決勝戦のオーストラリア戦は、厳しい戦いではありましたが、なでしこの勝利は見えていたと思います。なでしこにはあって、オーストラリアにはないものが、勝敗を分けると思っていたからです。それは、体力です。なでしこジャパンの体力は、無尽蔵のごとく、決勝戦でも衰えることはありませんでした。広いピッチを自由に走り回るあやちゃんの姿が、それを象徴していましたね。オーストラリアは、一番フリーにしてはならない選手に対し、プレスをかけられませんでした。

 なでしこジャパンは、日本が本大会に参加してから33年間、一度もたどり着けなかったゴールにやっと辿り着きました。そのメンバーの中心には、宮間あやがいました。そして、ゴールマウスを守るGKには福本美穂がいました。キャプテンの元、チームは、あのドイツワールド杯と同じように、試合を進めるたびに一体感が高まりました。そして、決勝戦は、ベンチ外の杉田選手も含め選手25人全員が一体となって戦っていたと思います。そうした一体感あるチームに導いたのが、キャプテン宮間あやのピッチ内、ピッチ外でのハードワークだったと思います。