入院43日目。




脳外科の主治医から電話がありました。




ナトリウムの値が低下していて(123)、食事もほとんど摂れていないため、中心静脈栄養をしたほうが…ということでした。




電話を切ったあと、「ついにここまで来たか」と胸が締めつけられるような気持ちになりました。




義父が以前「カレーパンが食べたい」と話していたことを思い出し、仕事を抜けてデパートへ。カレーパンとレモンシュガーのミニクロワッサンを購入し、その日の夜、夫と一緒に病院へ向かいました。




病室に入ると、義父の様子は明らかにいつもと違っていました。




にこやかであるもののどこか幼い表情で、顔つきそのものが別人のように見えたのです。




不安を感じながらも、「◯◯(義父の愛猫)に会いたがってたので、◯◯の等身大パネルを作ったんですよ!」と伝えると、とても嬉しそうに笑ってくれました。







その笑顔に少し安心したのも束の間。義父は私たちに対して、なぜか終始丁寧語でした。




「どうして敬語なの? 僕が誰だかわかる?」




夫がそう尋ねると、しばらく沈黙したあと、




「長男だよ。」




と答えました。




そのタイミングで看護師さんが病室に入ってくると、義父はニコニコしながら、




「あれー?どちら様かな?」




と尋ねました。ここが病院だということを分かっていない様子でした。




さらに、




「今日は総理と副総理が来たんだよ。」




とも話しました。




「今の総理はどなたでしたっけ?」




と尋ねると、




「それはもちろん〇〇さんだよ。」




と、義父と交流のあった元総理のお名前が返ってきました。(今の総理ではないけれど、否定しても仕方がないと思い、そのまま話を合わせました。)




その後も、誰もいない空間を見つめながら、




「あれは誰だ?」




と不思議そうな表情をしていた義父。




私 「どなたかいらっしゃるんですか?」

義父「うん。いる。」

私 「お知り合いの方ですか?」

義父「知らないんだよ。」

私 「男性ですか?」

義父「男性が2人と女性が1人。誰だろうなぁ。」




そう言って首をかしげていました。




こういう時は否定してはいけないと何かで読んだので、半分くらいは話を合わせながら、否定せずに聞き流すようにしていました。




CTを見せてもらうと、慢性硬膜下血腫になりかけている様子ではありましたが、症状を出すような状態ではないとのこと。




中心静脈栄養をすることで、少しは良くなるのかどうか、また元の義父と話せる日は来るのか。




答えのない不安だけが、大きく膨らんでいった一日でした。






全身に浴びるように使ってます。