〇歩容チェック

・体重移動→立脚期で体重移動できてるか、できないか。補助具に依存しているか

 

・歩隔。振り出し時に立脚側下肢にぶつかるか?足の接地位置が、次の遊脚下肢を妨げるか?

 

・歩行リズム→立脚下肢の踵接地後、対側下肢が進み始めるまでの時間は?遅いかどうか

 

・足部クリアランス→つま先擦るか?どうか

 

・足部接地→踵接地可能か?前足部、全足底接地になってるか?

 

・歩幅→踵の接地位置が、立脚側のつま先より前方か?前型、後ろ型、揃え型?

 

・歩行補助具を使用しているか?免荷しているか?下肢装具の使用は?

 

・歩行頻度、範囲や距離は?歩行速度は?

 

→動画での歩行評価は有効

 

 

〇ガン患者のリハビリ

◇リスク管理

・ACSM のリハビリ中止基準

①血液所見:Hb7.5以下、血小板50000以下、白血球3000以下

②骨皮質の50%以上の浸潤、骨中心部に向かう骨びらん、大腿骨の3cm以上の病変を有する長管骨への転移

③腸管・膀胱・尿管などの臓器、血管、脊髄の圧迫

④中枢神経系の機能低下、意識障害、頭蓋内圧亢進

⑤低・高カリウム血症、低Na血症、低・高Ca血症

⑥疼痛、呼吸困難、運動制限を伴う胸膜、心嚢、腹膜、後腹膜への浸出液貯留

⑦起立性低血圧、160/100mmHg以上の血圧

⑧110拍/分以上の頻脈、心室性不整脈

 

・Hb10g/dL未満は貧血症状に注意。

・血小板10000/μL以下は出血リスク高いため運動しない。20000以下は筋内

出血を考慮し高負荷のレジスタンストレーニングは避け有酸素運動中心に実施。30000以上では運動制限必要ない。

 

・好中球1000以上、白血球3000以上であれば運動してもいい。

 

・重度の倦怠感により運動意欲が低下している患者には毎日10分程度の軽度の運動をすすめる

 

・カテーテル留置部のレジスタンストレーニングは避ける。偶発的な抜去を避ける

 

・身体活動の低い人は、ストレッチやゆっくりとしたウォーキングのような低強度の運動から開始し徐々に上げていく。

 

・がんの診断、治療後できるだけ早期からの運動が推奨。

→成人は1週間あたり150~300分の中等度強度の有酸素運動、1週間あたり75~150分の高強度有酸素運動。週2回以上のレジスタンストレーニングが推奨。

→上限である300分を満たすか超えるようにするのが理想的とされる。

 

・65歳以上は、可能であれば同等の身体活動を維持すること。不活動の時間をできるだけ避け、維持・増加へ。自主トレ内容は、レジスタンストレーニン、有酸素運動、FITTを考慮。

 

◇レジスタンストレーニング

・運動頻度は週3~5回、1RMの60~70%の強度。各種運動を8~12回、1~2セット行い、12回以上実施できるようになったら運動強度を10%ずつ漸増していく。持続時間は設定しない。

 

・運動内容は大きい筋群を中心とした全身の筋肉のレジスタンストレーニングが推奨。これはがん患者に生じる筋力低下は、廃用性筋委縮や低栄養、悪液質によるタンパク質異化亢進が主体となって全身に生じるためである。

 

・股関節、膝関節周囲筋、下腿三頭筋、大胸筋・広背筋、上腕二頭筋、三頭筋、腹筋、背筋群などを組み合わせたマシントレーニングなど。自重や重錘、エクササイズバンドなどを用いて簡単かつ効果的で継続可能な工夫が必要。

 

・運動強度の設定は、Borgスケールが推奨。14~16(ややきつい、きつい)となるように運動をし、患者は疼痛や疲労、気分やストレスを毎日評価して自己の体調を3段階で分類する。段階に応じて運動強度を調整することで高い自主トレーニング継続率が達成できたという報告もある。

 

◇有酸素運動

・運動頻度は週3~5回、1回の持続時間は20~30分とする。内容はエルゴメータやトレッドミルだけでなく、ウォーキングでも効果あり。

 

・運動強度はRPEや目標心拍数を参考に設定。Borgスケール6~11(非常に楽~楽である)、最大心拍数(220-年齢)の30~54%の運動強度は低強度。Borgスケール12~13、最大心拍数の55~70%の運動強度が中等度強度。Borgスケール14~19(非常にきつい)、最大心拍数の71~95%の運動強度が高強度となる。

 

→Borgスケール11~13、目標心拍数が最大心拍数の80%程度の中~高強度の運動でもリスク管理を行えば安全に実施できる。

 

・有酸素運動の効果にては量―反応関係があるため、患者個人の身体機能や運動時のリスク、がんやその他の併存疾患の状態や治療状況を確認し、許容される状態なら高強度トレーニングも考慮する。

→中等度以上強度での有酸素運動では、運動負荷試験による血圧変動、心電図チェック、AT値(運動耐容能)の評価が推奨。

 

◇自主トレプログラム

・ACSMガイドラインより、1週間あたり150分以上の中等度強度の有酸素運動、1週間あたり75分以上の高強度の有酸素運動を既に実施しているものは、現状維持を推奨。

 

・運動強度、頻度、時間、内容を2~3週間ごとにバリエーションを持たせることにより、脱落せずに運動(自主トレーニング)の継続が可能となるとされる。有酸素運動が習慣的な活動となっている場合は、レジスタンストレーニングの追加を提案する。

 

・ガイドライン推奨の身体活動を満たせない人は、、、

 

→上記、初期の運動プログラム処方の内容を指導。2,3週間継続可能か評価。可能なら中等度強度の有酸素運動を1週間あたり150分以上となるように徐々に漸増させる。

 

・ガイドライン推奨の活動を12週以上継続可能なものに対しては、レジスタンストレーニングと種々の有酸素運動を追加する。

 

・自主トレーニングでの運動強度設定は、トークテストが有用。中等度強度の運動とは、少し息切れはするが、快適に会話がでいる程度の運動であり、高強度の運動は息切れのため快適な会話ができない程度の運動と定義されている。

 

 

◇効果

・非監視下での運動(自主トレ)の効果として、化学療法中の乳がん患者に歩数計を用いて身体活動を評価しながら1回30分、週5回のウォーキングを中心とした自主トレーニングを行うことにより、身体活動が有意に増加した。

 

・アンドロゲン遮断療法中の前立腺がん患者に対する有酸素運動と低強度のレジスタンストレーニングを組み合わせた16週の自主トレにより、筋力や身体活動が増加したことが報告。→ウォーキングなどの低強度の運動やホームエクササイズなどの自主トレ指導は有用

 

〇OA患者への介入、自主トレ

・運動療法により疼痛・身体機能改善、THAの回避にも効果的とされる。

 

・OAには筋力増強Ex、ROMEx、有酸素運動の3つが望ましいとされる。運動療法および減量が有効かつ安全

・自主トレの実施率は低い。OAの病態やトレーニングの必要性を患者に説明うする意義はある。

 

・運動に対する自己効力感が低い患者には、適切なレベルでなくてもハードルを下げて(種類の選別、強度、回数、セット数の調整)運動の習慣化を図っていく。

 

◇筋力増強練習

・運動の頻度、回数の目安は4~7回/週、10回を2,3セットとされる。1回あたりの持続時間は対象者の筋力低下の状態と目的によって異なる。

 

・加齢に伴う筋力低下は、遅筋よりも速筋が有意に萎縮する。動作速度の低下に加え、筋パワー(筋力×速度)の低下を引き起こし、動的バランス低下につながる。

→5回立ち座りテストのようなできるだけ素早く行うようなトレーニングが適している。タイプⅡ線維の賦活を促す。

・重症心疾患など合併症で臥床が長い人は、typeⅡ線維(~4%/日)、typeⅠ線維(~3%/日)は低下していく。TypeⅠ線維の萎縮は筋持久力や運動耐容能の低下につながる。

→瞬発的なトレーニングが必要ない患者であれば、遠心性収縮の際に負荷がかかった状態を持続させる方法が望ましい。重力に負けないように力が抜けないよう数秒間(4秒など)かけて行う。

 

◇ROM練習

・入浴中もいい。膝蓋骨を様々な方向に動かす。

 

◇有酸素運動

・歩行や自転車エルゴメータ駆動が推奨。疼痛を軽減させるために、必要に応じて歩行補助具を使ったり。疼痛強い場合はエルゴや水中歩行。目安としては30分程度週に2~7回、少し息が弾む程度。