・受傷原因として、転倒、転落が増えてきている。軽微な外力からの受傷。不全損傷が増えてきている。超高齢社会も影響
・高齢になるにつれ四肢麻痺>対麻痺。脊柱管が狭い、LCSの影響。後縦靭帯骨化などの退行変性もある。
・レベル別だと、高位頸髄損傷者が増えてきている傾向。胸髄は胸郭に守られているのもあり比較的少ない。
〇評価
・脊髄ショック。損傷部位以下の伝導機能失い、脊髄反射も消失。海綿体反射や肛門反射の回復で離脱の指標。脊髄円錐部や馬尾の損傷を除いて。徐々に回復してくる(特に最初の数週間くらいで変化)
◇知覚・運動機能評価
・知覚は痛覚→触角を検査 麻痺域から調べる(強い刺激から繊細な刺激)。
・運動は神経支配高位に従い順序立てて調べる。
・神経学的所見から損傷高位を推察。
・評価には国際的に標準化された評価表(ASIA scoring system)を用いる
◇知覚検査
・原則として急性期・慢性期ともに仰臥位
・痛覚―安全ピン
・触覚―綿棒または綿球
・検査部位:骨製の解剖学的目標に応じて知覚検査点(キーポイント)が決められている。ギプス等で検査できないときは同じ髄節内で。
・①痛覚→②触覚の順で行う。
・痛覚は鋭/鈍識別テストで調べる。知覚障害があると疑われる髄節から初めて頭側へ検査を進め障害レベルを把握する。安全ピンの針の部分と、キャップの部分で判断。
・障害のある部位で鋭/鈍識別テストを注意深く行い、点数をつける。
・安全ピンを開いてまっすぐに伸ばして使う。とがったピンの先を鋭の検査、丸い頭部を鈍に用いる。
・検査中は被験者は閉眼するか、目隠しをされる。
・まず顔面で鋭と鈍を感じさせてからKey sensory pointを調べていく
・被験者は安全ピンで触れられたとき、鋭と感じるか、鈍と感じるかをこたえる。
・鋭と鈍を数回繰り返し行う。10回のうち8回以上正しく答えると正解。
・正解できた場合、顔面を再び安全ピンで触り、同じ感覚か、あるいは鈍いかを答えさせる。
・0(absent)、1(Impaeired)、2(present)、NT(検査不能)で評価し、点数化する。
・鋭と鈍が識別できないときは0点となることに留意
◇触覚認識テスト
・痛覚検査の次に行う。
・先端をほぐした綿棒、あるいは先細りにした綿球を用いる。
・綿は軽微に一瞬のうちに皮膚に触り、決して1cm以上動かさない。固有知覚が働く可能性。なでるようにつけると別の感覚が働いてくる。
・以下は痛覚と同様
◇深部肛門知覚
・不全麻痺であることの唯一の証拠となる。
・S2-4の皮膚髄節の会陰部(皮膚粘膜以降部の1cm外側)で近くが脱落している場合は、深部肛門知覚を注意深く検査する必要がある。
・肛門指診を行い、知覚の有無を記載する。
◇運動機能
・検査はすべて仰臥位で行う。
・Key muscleに6段階の徒手筋力テストを行い、0~5の得点をつける。これはDanielsらのものとは異なる。MMTとは違う。同じ髄節の筋が働いているかどうかをみる。随意性が残っているかどうかを。筋力そのものをみているわけではない。
・重力を除いて調べるときの肢位がマニュアルで定められている。
◇神経学的損傷レベル
・両側が正常の運動・知覚機能を持つ最尾側のレベル。;完全損傷の場合、この高さが最終ADLに影響する。
・知覚レベル:両側が正常の知覚を持つ最尾側のレベル
・運動レベル:正常の運動機能を持つ最尾側のレベル。
・知覚レベルは正常を示す最下位のレベル。運動レベルは5の直下が3になるレベル。レベル3直下の髄節を正常に。
・機能障害分類:麻痺の程度A~Eを記載する。
・Th2~Th12の部分は運動レベル記載欄ないが、感覚と同じレベルで捉える
・ASIAの評価は40分くらいはかかるイメージ。
A:仙骨領域S4-5の運動・感覚が完全に脱失
B:S4-5 の感覚(S4-5領域のLTかPP、あるいがDAP)が存在し、運動機能はMotor levelより下位に3髄節を超えて(4髄節以上)は残存しない
C:VAC(肛門括約筋の収縮)があるもしくはS4-5のLT(触覚),PP(痛覚),DAP(深部肛門知覚)があり、Motor levelの4レベル以上尾側に運動機能がある。NLIより尾側のKey muscleの半数未満が運動機能Grade3以上
D:AIS Cの条件のもとにNLI(Neurological level of injury)より尾側のKey Muscleの半数以上が運動機能Grade3以上
E:神経学的脱落所見があったが、患者が回復して運動・感覚が正常となったもの
◇Motor scoreの変化
・受傷後3か月までに活発な運動機能回復が起こり、9か月後にはほぼ終息するとされる。
・麻痺高位は筋のMMTにより判定されているため幅があり、回復が高位判定に反映されるまでに時間がかかるためと考えられる。
・Ficherらは受傷時の麻痺高位から2髄節の回復もありうることを報告。麻痺高位の回復を想定したうえで、リハプログラムを決定することが重要といえる。
◇損傷高位の目安
・損傷髄節は骨傷より高い位置にある
・頚椎部では棘突起で1つ上
・胸椎の上半分では2つ上
・胸椎の下半分では3つ上
・脊髄はTh12からL1の棘突起レベルで円錐として終わりL2以下の神経根は馬尾神経となる
・ASIAと比べてフランケルは明確な主語がない。そのため、今はあんまり使わないかもしれない。不全麻痺は考慮されていない分類となっている。大まかな捉え方は可能ではある。Cの幅が大きい。
・Motor uselessとMotor usefulの境界が不明瞭。Motor usefullの中で機能障害に差がある。下肢機能に重点がおかれ、上肢の麻痺のある頸髄損傷の判定に問題がある。
・改良版も出ているが、参考程度に使うのはあり。
・Zancolliの分類。上肢機能予後に関する外科的な分類。国際的にはあまり使われていない。
・四肢麻痺の人など、細かく機能をみるうえでは使える。ただしC6BⅢで上腕三頭筋含んでいるが、、一般的なMMTではC7としている。日本では広く使われてはいる。ADLの予後予測などで。
・C6B3がかなり大きなラインとなる。リーチできるかどうか。
〇リスク管理と合併症
・随伴症状:自律神経障害、体温調整、起立性低血圧、過反射、排尿障害
・合併症:低栄養(気分低下の影響など)、褥瘡、関節拘縮、異所性骨化、空洞症、尿路感染症など。
・自律神経障害(Th5,6以上に著明)。血管運動機能障害。延髄―脊髄血管運動路の遮断、脊髄血管運動中枢の破壊による。麻痺域の血管拡張(張りがなくなる)、体温上昇、皮下静脈も拡張。
→交感神経が遮断される状態。
・発汗障害に起因する体温調節障害、血管緊張異常にもとづく水電解質異常、起立性低血圧が起こる。
・知覚のない状態は、、、寒い気がする。
・脊損の方で交感神経遮断している中で、、運動負荷をどれだけ与えていいのか。血圧は低値で80~90台で推移していたりする。70台などだとさすがに危険ではあるレベルか。内科的な問題もありえる。低いのは当たり前だが、変化をみながらみていく。体動時の起立性低血圧に注意。
→離床が進まない、ベッドから離れられない状態はデメリットが強くなる。起こせない場合は、ストレッチャーでリハ室いったり。臥位のままでも環境変えてリハビリ行えるか考えたり。
・血圧低下→頚動脈洞、大動脈弓の圧受容体を介し血管運動神経に働く→血管収縮、心臓に作用。→拍出量の増加、血圧維持。
→交感神経が遮断されると、、このシステムが働かない。頭位を上げたりすると血圧低下へ。
・起立性低血圧の予防として、腹帯を巻いたり、弾性ストッキング使ったり。血流が下に落ちるのを防いだり。大腿部まで弾性包帯で巻いたり。
・起立性低血圧の対応。リクライニング車椅子など下肢挙上位になるように。目の前がと薄くなっていく、声が小さくなっていく→緊急として臥位になるなったり、車椅子移動中でも倒して下肢挙上になったり。自身で行う場合は頭位を前に下げたり。
・消化管機能障害(麻痺性イレウス―規則正しい食事習慣、水分補給)
・自律神経過反射:異常な発汗(冷や汗)、頭痛、血圧上昇、徐脈、顔面紅潮 前駆症状がある。
・骨盤内臓器などの拡張、各髄節レベルでの交感神経反射が抑制されずに腹部内臓血管のスパズムを起こす→全身性の血圧上昇、頸動脈洞や大動脈弓の圧受容器により感知。→非麻痺域の血管拡張、迷走神経を介し徐脈を起こす。
・制御(意欲、情動、協調性)→協調運動、薬物治療
・維持(呼吸・循環、代謝、栄養)→呼吸訓練、運動療法、嚥下訓練
・発現(筋力、関節可動域)→筋力強化、関節可動域
・肺炎のリスク。副交感神経優位だと痰が生じやすい。脊損死因の第1位は肺炎。カフ付きカニューレ、カフなしスピーチカニューレ、レティナカニューレ。気管切開する人もいる。
・呼吸介助、排痰。呼気のときに下がるところまで腹部を押していく。排痰は強めに押さないとなかなか難しかったり。
◇合併症の予防
・褥瘡:皮膚の状態を確認する。除圧器具の選択、摩擦抵抗の軽減
→ROHOクッションを使用したり。不安定になる可能性はあるので、高位の人には注意必要か。ウレタンは上肢で支持しても沈み込みは少なかったり、座位が安定しやすかったり。ゲルタイプ(Jクッション)は流動的で除圧・安定に優れているが重たい。
・関節拘縮:肩甲骨挙上、肩外転・外旋、肘屈曲、手関節背屈、手指屈曲、SLR制限。
・尿路合併症:尿路感染、結石、自律神経反射 →飲水促したり
・栄養管理:TP6.5、Alb3.5、Hb11、カリウム、ナトリウム、空腹時血糖、血清鉄、摂取カロリーなどどうか?
・筋緊張の不均衡による拘縮 C4,5肩甲骨挙上 C5,6肩外転 C5,6 肘屈曲 C5,6 前腕回外 C6手背屈
・高位損傷の人は、上腕骨はやや亜脱臼気味、肩甲骨も引っ張られていたり。筋が短縮していたり。屈曲、外転、水平内転→痛み生じやすかったり。
・痙縮は受傷からの経過に伴い増加。受傷後1年でピークに達し、2,3年でプラトーに達するといわれる。
・自律神経系(血圧の維持、体温調整、過反射の予防)、呼吸機能(呼吸介助、排痰)、栄養管理、関節可動域維持(痙縮、痛み)のリスク管理
〇運動療法
・残存能力に応じた動作練習を。基本動作獲得へ。
・上肢の支持性は肘のロッキングにより伸展能力の低い場合でも有利。ロッキング可能な肘の過伸展が確保されているか。
・プッシュアップ動作に必要な肩甲骨外転可動域が保たれているか。脊柱の可動性が保たれているか。
・プッシュアップ能力はADL獲得に大きく影響するため、座面と殿床距離を能力の目安とする。
・関節運動を理解する。(関節の自由度、関節の可動域、四肢の運動特性)。運動と固定、移動軸と基本軸、運動方向。トリックモーション。肩の動きから大きく振って腕へ。どこまで手を伸ばせるか。上肢の使い方を伝えていくことが必要。
◇支持基底面と重心 起き上がり
・肘をロックして長坐位へ。
・肩の可動域は、脊柱の可動域がなく直線的な場合は伸展可動域が相対的に減少する。
・脊柱の屈曲可動域は肩の伸展可動域を相対的に拡大し、安定した姿勢を可能にする。
・on elbowからon handになる際の支持基底面は肩関節の外旋可動域によって増大する。
・動作時に手部が肩関節より前方に位置すると肘関節伸展により後方転倒の危険性が生じる。肩関節の側方に手部が位置することで安定した動作が可能
・床を無理に肘で押そうとしても殿部が持ち上がるだけで、難しい。肩を屈曲パターンで動かすのか、伸展パターンでいくのか。移動軸が体幹にある。
・脊損では、損傷部位より下位の運動・知覚を失い体幹・下肢のボディーイメージを失う。
・基本動作獲得には、残存する上肢の運動が、麻痺部位にどのように反映されるか確認し、動作練習を進めることが重要。
・動作獲得には、残存筋とそれによって運動可能な関節を効率よく動かし、麻痺部位の関節に運動連鎖を起こすことが必要
・運動連鎖を効果的に起こすには、上肢の運動を体幹・下肢に伝え、姿勢がどのように変化するか予測できることが必要。
・知覚情報の低下を何で補うか?視覚による代償。残存する感覚をより強く認知しようとする。痺れた手を振ったりするみたいな。→筋緊張を強くしてしまったり。
・末梢から入力された感覚を脳で知覚として認識する。関節の運動を重力や慣性モーメントで認知する。
・残存する部位を強く動かす→必要以上の運動努力により痙性を誘発する。リラックスすることも必要。力を入れて、抜いての切り替え。
・端坐位はバランスボールの上に座っているような感覚(麻痺の人)。前に倒れる怖さから後方重心になっていく。
・目隠しした状態で棒を振り回す→大きさをなんとなく分かる。感覚。伝わってくる抵抗感から自分の体をなんとなくイメージできるように。
〇基本動作練習
◇寝返り
・一側上肢を固定した状態で、反対側の上肢をリーチ。下肢・骨盤帯は動かない状況。
→あらかじめ回旋しやすいように傾けた状態から開始してみたり。上肢の慣性力をうまく使えるように
・運動抵抗を利用した誘導。腕を振り回すというより、肩甲骨をいかに動かしてリーチできるか。肩を軸にワイパーみたいに動かしても横にずれるだけ。
→手をつきだして肩甲骨外転させてリーチ誘導、より大きい動きにしていく。てこの長さを長くした方が大きい力が得られる。回転させるエネルギーを効率よく。
・丸太様の回旋ではなく、一側の上肢でページをめくるような動き。
・肘をロックさせて、抵抗させてリーチ。肩甲帯を外転させて、突き出す動き。頭で床を押そうと伸展させないように。回旋させる方向に頚部屈曲させて回旋させていく。どこまで行ったら下半身の回旋も出来るかも確認。
◇パピー肢位
・上肢での荷重感覚の学習と肩による姿勢制御を目的とする。
・肩の前方への突き出し運動や肩甲骨の前方回転運動を練習する。
・上肢の支持性が弱い場合は、クッションを用いて体幹上部を支持する。
・姿勢保持の耐久性が低い場合は、前頭部を枕などで免荷する。
◇起き上がり
・on elbow、on handの応用動作:重心を一側に移すことによる上肢支持。一側上肢で固定した状態で体幹を動かしていく。
・長坐位から一側上肢を反対側に回旋。左右差をみてみる。シートベルトをかけている状態みたいなイメージ。後方はリラックスした状態になるよう支え、肩を反対側股関節に近づけるような感じで。
・一側のon elbowからどう起きるか。頚部屈曲し、肩よりも肘を引いて安定させる。一側の肩を外旋させて、肘を伸ばして、右手を大きく後ろに引く。そのとき反対側を開いて、開いたところからon handにしてプッシュしつつ徐々に体を起こしていく。
・残存部位と麻痺部位のどっちが動いているか?麻痺部位を動かすのか?麻痺部位の運動なのか?
・上肢しか支えられない状態で、一側浮かすということは支持基底面はかなり狭く、不安定。可動域でカバーできるか。健常者と逆パターンになっていることに注意。どこをBOSにしてどこに重心があるかを意識。残存している部位が接地しているところが支持基底面
・脊柱の動きが硬いと運動がうまくいかない。臥位から前方に前屈する動きはC6BⅡであれば可能にしていく。
・高齢者となると、なかなか難しい動きとなってくるので、、環境設定を優先させることも。負荷をかけないような形がよさそう。
・何を見るか?→姿勢、基本軸、移動軸、支持基底面
・どうみるか?→ 運動開始、運動の順番
・分節ごとに動的姿勢と静的姿勢の変化を時系列で考える。力任せに一気に動かさないように。
・運動パターン、運動連鎖、妥当性、不必要な動きを考える(頭部、体幹、上下肢、運動の拮抗)。上肢の連鎖から逸脱した動き。得意な動きは何か。
・体幹を使った伸展パターンでなく、背臥位から、顎を引いて、上腕二頭筋・三角筋前部使って起こすパターン。肘を引いて伸展パターンだとお尻が浮いてしまう。肩が屈曲の方向に動けるか。
→手首、遠位を固定して、誘導していく。
◇長坐位(運動開始肢位)
・腕を大きく後ろに引いて勢いで肘伸展(ロック)にして脇を締めて手をつく。後ろに倒れないよう支えられるで。
・脊柱の柔軟性が必要。脊柱が曲がる方向に、リーチ範囲を広げていく。運動効率に影響する
・体幹を後方へ倒しながら支点を調整し、脊柱の屈曲可動域を拡大する。
・自動車に乗ったり、トイレに行くとき、、、スペースが限られている中、脊柱屈曲して長坐位になれるのも大きい。
・腹部にバランスボール挟んでみたり。前方に支持物やクッションおいて不安感を軽減させる環境設定したり。
・脊柱や下肢(膝屈筋群)の柔軟性は、安定座位を獲得するために重要。
・上肢の支持性が弱い場合には、ボールなどを足の間に置き姿勢保持を行う。
・端坐位で上肢支持による姿勢制御は、腕の屈伸を利用するのではなく、肩の挙上・下制にて行う。
・後方や側方クッション、前方にベッドなど転倒した場合でも危険のないよう配慮する。
・Push up動作。C6B2レベルの場合。殿部を持ち上げるのは難しくても、肩甲帯を屈曲させるようにして上肢支持で除圧する程度で。
→足が前方にずれないように壁際でやってみたり。下肢を固定してみたり。
・肘を伸展、肩外旋でロックできているか。
・殿部を最高位から遠心性収縮を意識し元の位置に戻す練習。前方への転倒を防止することで簡単に
・下肢の自重を一部免荷、下肢のマット上の接触抵抗を軽減したり。段差や車椅子に登る練習したり。
・足の下にロールクッションなど支えを入れたりして負荷量変えたり。
・両肘を伸展ロックして殿部持ち上げて、さらに肩でプッシュアップ。
・後方で支持してもたれてもらったところで、脊柱屈曲ストレッチなど。
・パピーで胸部にボール入れたり枕入れたり。四つ這いでも腹部にバランスボール入れてみたり。その状態で肩に荷重かけてみたり。前方に倒れる恐怖心があるので感覚のあるところに触れながら、前後左右に
〇移乗
・車椅子上での重心移動。ベッドに対して前方アプローチ
・座り直し
→車椅子のバックレスト上端を支点に頭部・上部体幹を伸展し、後方へ移動させ殿部を前方に出す。
→一側の上肢を背もたれにかけ反対側の上肢で一側の下肢を引きあげる。(下肢の重さに引っ張られない形で)
→前方移動は、一側ずつずらして進む。脊柱の側屈の動きも必要。プッシュアップしづらい
・車椅子の奥から前方に行くのは大変。手をベッド上の前方について、脇を締めて前に進む。
・側方移乗動作(横乗り)
→移乗動作はプッシュアップ動作を基礎とした応用動作。殿部を上げる、回旋する動作。殿部を上げる動作が可能であれば、移乗動作は安定し行える。
・動作が不十分な場合はプッシュアップ動作で後上方へあげた殿部が前方に流れやすくなり、前方へ滑り転落するリスクが高くなる。
・前方に足を滑らせず、頭を前に出してお尻を後ろに引いていく。練習として前方から支えられるようにしたり。
・床から車いす移乗。C7以下であれば必要な動きになってくる。
◇自動車移乗と車載動作
・移乗動作は基本的には横移乗に準ずる。自動車の車種により上肢の支持装置を検討する。車載動作では身体のてこ作用が必要。
◇脊髄損傷の動作練習(運動負荷や難易度の設定)
・動作実行に必要な筋力の保持
・動作に必要な姿勢保持が可能
・動作を段階別に到達状況を確認する
・麻痺域の身体図式の学習状況
・上肢筋
・脊柱周囲の筋は各髄節支配。
・体幹筋は支配髄節より下位に停止する。
・動作獲得に必要な要因。残存筋力の評価、廃用を含む筋の状態を評価する。ボディーイメージの喪失により生じる体幹や四肢長の感覚不一致を確認する。
・バランス機能は静的・動的の評価を考慮。
・交感神経が損傷されるため、副交感神経が優位となる。血圧や呼吸の状態を評価したうえで運動負荷を検討する。
・年齢、性差について。高齢者や女性は筋力が弱い傾向はある。肥満など体型でも変わってくる。
・ボディーイメージの獲得には運動経験が必要で、時間はかかる。
・麻痺部位を含む身体の慣性力を効果的に利用し動作は獲得する。
・残存能力を理解し麻痺部位の関節特性や運動連鎖を学習する必要がある。
・姿勢の保持と動作に必要な身体機能を理解する。