・前に進む、重心を前方に移動させる。身体重心を前上方に動かしていく
・股関節、膝関節は靭帯による安定性の担保があるが、足関節には靭帯による受動的な安定性の担保がない。足関節は受動的な安定性に欠ける。
・歩行速度の向上は片麻痺者のQOLを向上させる。前型で歩けるか
・歩行の時間的対称性が低いほど、片麻痺患者の歩行速度は低下する。下肢の運動機能と時間的対称性は挿管関係にある。
・非麻痺側の推進力に依存した歩行動作は速度が低下しやすい。
・重心より後方に下肢を保つことで、足底部から前方への推進力が供給され、対側下肢を前方に振り出すことで新たな重心の支点が形成。
・重心より前方に接地された足底部からは制動力がもたらされるが、重心がその足底圧中心より前方に送り出された時点でそれは推進力となる。
・片麻痺者の歩行では立脚期後半の推進力が低下する特徴がある。
・運動麻痺が重度なほど麻痺側下肢の産生する推進力が低下する。
・身体機能の改善が緩やかになった後も、歩行能力は向上する
・非麻痺側の代償によって歩行速度が上がる戦略をとっている可能性あり。歩行速度が向上した群において、麻痺側下肢の運動の制御方法に変化は認められない傾向にあった。
・退院後に転倒を起こさなかった群は、リハビリテーション病棟退院時の歩行動作の対称性が高かった。
・非対称な歩容でトレーニングを終了すると、その後の転倒リスクの増大および歩行速度の低下を招きやすい。
・推進力の低下は麻痺側底屈筋力の低下と、関連がある。立脚期後半に足関節が前方推進力を発揮している。
・歩行能力が高い症例ほど麻痺側下肢の推進力が大きい。
・歩行自立は重要な目標であるが、代償戦略によって達成された自立は、推進力の回復を妨げる可能性がある。
・前方推進力の低下の要因は麻痺側下腿三頭筋にある。賦活するには大またで歩くといい。
〇長下肢装具について
・課題特化した訓練推奨。頻回な歩行訓練が推奨。エビデンスA
・運動療法はタスクに特化すべき。歩行の再学習や改善には歩行訓練が最適。急性期では0.21、亜急性期であ0.09m/s改善、慢性期はわからない
・長下肢装具使用は妥当 推奨B
・麻痺側下肢の筋活動が促され、歩行時の下肢筋活動が正常パターンに近づき、下肢アライメントも改善。
・快適歩行速度と、6分間歩行距離は、低強度より高強度の方が高い改善得られた。
・IC~MSt ブレーキに負けずに重心を前上方へ
・TSt 上がった重心を下げていく。
・長下肢装具を用いると随意筋力よりも強い筋活動を発揮させることができる。腓腹筋・ヒラメ筋では随意収縮よりも強い筋活動
・大腿直筋では筋力の弱い症例ほど筋活動が賦活
・初期接地で下腿三頭筋の収縮↑の場合がある。。
・大股で歩く。二人介助で行う。何のために歩行練習するのか。
・長下肢装具でどんな反応を引き出したいのか。その運動を提供するにはどうするのか。
〇長下肢装具の工夫
・環境的要因による歩行距離限定。リハ室の室温・湿度、セラピストの疲労感、周囲のサポート、混雑等
→歩行量を増やすことによるリスク増大、アライメントの崩れに対する不安、介助がうまくできているか、歩行の質がわからないまま歩行量を増やすことに対する不安。
・同一症例でも介助者が変わることで介助歩行時の抗重力筋の筋活動量は大きく変化する。
・介助歩行では立脚期(麻痺側)の重心位置が後方であるほど腓腹筋の筋活動(立脚後半)が阻害される。立脚で重心を前方に誘導できるか。
・自力歩行時にどこで股関節でブレーキするのか。立脚中期から股関節伸展していくが、屈筋が遠心性収縮してブレーキかけている(重心落下の制御)。立脚後期で足関節背屈(底屈筋の遠心性収縮、引き伸ばされてブレーキ)。引き伸ばされて使うエネルギーを使えるか(随意性なくてもある程度は)。
→Tサポート
・まずは股関節伸展、足関節背屈をつくれるようなアライメントを→足関節底屈のブレーキ
・どうやって歩幅大きくしていけるか。後方介助で重心移動の誘導
◇長下肢装具 立位での荷重練習 いきなり歩き出さず、、まずは対称的な立位を整えて
①起立・着座の誘導
・正中位でできるか。非麻痺側に荷重かけて。(膝ロック解除、ロックパターン)
・重症例だと麻痺側に傾倒しやすい。非麻痺側の肘の位置も外側に向けて支持してもらう。
②静止立位~片脚立位
・麻痺側に崩れやすい、体幹前傾しやすい。非麻痺側(壁や手すり方向)に寄ってもらう。セラピストが側方・後方介助で誘導。麻痺側から非麻痺側への荷重も歩行につながる動き。
→骨盤、体幹支えて荷重かけて。静止立位できるようになってきたら片脚立位へ。
→非麻痺側の下肢を挙上できるように。上げ下ろしをしてみる。
③ステップ動作
・側方・後方から、体幹・骨盤を支えて。非麻痺側をステップ。麻痺側への傾倒や体幹前傾、後方重心にならないように介助。
→麻痺側の股関節伸展、前足部に荷重のるように。
→難易度を上げるために、ステップ台を使用。非麻痺側をステップして戻す。体幹・骨盤起こして、麻痺側前足部に荷重をかける。
・歩行の難易度が高ければ、ステップ動作の練習量を増やしたり、調整していく。
◇長下肢装具 歩行介助 後方介助の注意ポイント
・身体重心を効率よく行えるよう誘導。
・固定をしっかり。右麻痺の場合、セラピストの右手で骨盤固定。左手で体幹を固定。しっかりくっついて一つの剛体になるように。
①麻痺側 初期接地~立脚中期の注意点
・姿勢が崩れやすい(体幹の左右前後の崩れ)。床反力に負けないように骨盤・体幹を起こして。身体重心を前上方へ。大殿筋の求心性の収縮のフェイズ
②麻痺側 立脚中期~終期の介助
・上がった重心を下ろしていく。ブレーキかけながら(股関節屈筋、足関節底屈筋)。上げるときには自分も一緒に、下がる時もセラピストも一緒に重心下ろしていくイメージ。
・股関節伸展時に麻痺側前足部に荷重かけて、歩幅を大きくしていく。
③麻痺側 前遊脚期~遊脚期
・非麻痺側の接地自体が上手くできない人も多い。外転したり全足部接地だったり。しっかり非麻痺側荷重も確保。
→非麻痺側の立脚初期がうまくできているかも確認 鏡を使用してフィードバックしたり。
◇後方介助の工夫
・非麻痺側の補高は必要か?
→なくてもできる。姿勢の崩れによって足部クリアランス低下が生じている可能性もある。非麻痺側でしっかり立脚期をつくれていれば、引っかかりは生じないかも。
→それでも引っかかってしまう、介助難しい場合は、、
→胸部を伸縮性のある弾性包帯、帯みたいなものなどを巻いて、固定してみたり。
・セラピスト自身の歩行、重心移動をそのまま患者さんに伝える。手や装具で支えて、足りなければ他の道具使ったり。セラピストが崩れれば患者も崩れていく。
◇介助者2名での介助・前方・後方介助について
・一人でやってみて、体幹や骨盤を支えきれないと、後方重心になり、麻痺側の踵に床反力がかかったりして膝折れしてしまう形に。前方への転倒リスクを避けるために後ろに引っ張り上げるような形にならないように。
→体格差などで支えきれない場合、前方からもう一人上肢を支えてもらったり介助者がいれば、安心して重心移動を誘導できる。
◇介助者2名での両側方からの介助
・後方介助では固定しながら前方に落とすという難しい動きとなる。(上部体幹と骨盤固定)
・側方からの操作は掴む場所がなかなか見つからない。 →Tサポート使用
・前方のハンドルをもって前額面の重心移動、骨盤の前後方向の誘導可能。さらに両サイドの介助者が非麻痺側の上肢と足の介助ループをもって誘導。
・ある程度麻痺側の初期接地で体幹崩れがなくなってきたら側方介助は可能になってくるかもしれない。道具がないと大変ではある。
◇介助者2名介助と杖を使用。側方・後方介助の場合
・杖を持って、麻痺側の体幹操作、下肢ループを持つ。もう一人が後方から体幹を骨盤を固定。
→徐々にセラピストの介助量を減らしていって、自分自身でコントロールできるかをみていく。身体重心の位置をわかってもらえるように。
→前型歩行へ。
〇長下肢装具から短下肢装具へのカットダウンの手順
・なぜカットダウンに難渋するのか。
→麻痺側の前足部に荷重すれば床反力が膝の回転中心の前を通る。そうすれば麻痺側でも支持可能になってくる。
→介助者の操作に問題がある場合がある。
・麻痺側伸展時、後方介助のときにセラピストの膝が曲がってくる。そうすると後方へ重心が残っていく(ロック外すと膝折れする形に)。
→介助者がいい姿勢で歩くことが前提。
◇スムーズなカットダウンにつなげるには
・膝の固定を解除したときに膝が伸展できない理由は?
→カットダウンでいいアライメントを維持できないときは、一度立ち戻ってステップから確認したり。支持を増やしたり。前足部に荷重できるか。どの部分で伸展位保持できないかをみる
◇大腿カフの活用
・完全カットダウンの前に。実際は長引くことは多い。早く短下肢で歩くことが重要ではない。いかにきれいに歩けるか。
・ある程度膝ロック状態で安定してきたら(介助量減ってくる感じ、前足部に乗せられつつある)
→一度膝関節のロックを解除してみる。その中でまた歩いてみる。荷重できているかどうか?いきなりカットダウンせずに、固定解除して、下肢のループ介助ははなくさず段階を踏んでみる。
・2人側方・後方介助+杖、2人介助側方介助など、、、順番は特に決めないで。やりやすい方法を探しつつ。
〇質の評価 道具(客観的な)
◇足圧計の活用
・起立で手すり引っ張る形だと、前足部に荷重がかかりにくかったり。両手で太もも押してもらったり。ステップで麻痺側の前足部への荷重を意識してもらう。
→目で見てもわからない部分はあるので、計測してみる。
◇筋電計の活用
・前足部に荷重が乗っているか、底屈筋は活動しているのか確認。
病院ではけっこうみることが多く、介助も難しいしカットダウンも悩むし。個人差も大きいので実際やるのはまた難しいと。ただ歩かせればいいわけでもないし、、
いろんな道具を駆使していくってのはどの時期にも必要なのだろう。介助者も楽にできるのが一番だし。