~前庭リハビリテーション~

・前庭障害、BPPV対象に。加齢変化の人を対象に

 

・めまいとは?ふらつき?立ち眩み?

 

・めまいは、回転性めまいに伴う異常感覚。錯視体験の一つ(周囲が回ってみえるなど)。三半規管や耳石器、前庭神経の急性障害によって大きな眼振が生じる

 

・ふらつきは、非回転性めまい(Dizziness)に伴う異常感覚。視覚運動体験の一つ(体が前後左右に揺れて感じる)。脳神経系や筋骨格系の異常、三半規管の障害で生じる。

 

・めまいは、平衡を維持する末梢感覚装置から中枢までの全システムのいずれの障害でも生じる。そのため捉えづらい症状。

 

◇前庭動眼反射 VOR

・前庭からの情報が前庭神経核を経由し、動眼神経核、滑車神経核から外眼筋を支配して眼球運動を調整する。

 

◇前庭頚反射 VCR

・前庭からの情報が前庭神経核を経由し、内側前庭脊髄路を通って頸髄に至り頭部を安定させる。同時に頚眼反射CORとともに眼球のブレを調整する。

 

◇前庭脊髄反射 VSR

・前庭からの情報が前庭神経核を経由し、腰髄まで軸索投射して、前庭脊髄路として姿勢保持と平衡維持に関与する。これは外側前庭脊髄路を構成し頚部・四肢の伸筋群を支配して抗重力筋を活性化する。

 

◇前庭自律神経反射

・前庭からの情報が自律神経系に入力され、めまい、頭痛、嘔吐などの自律神経症状が発生する。

 

◇頚眼反射 COR

・上部頚椎からの情報が前庭神経核を経由し、動眼神経核、滑車神経核から外眼筋を支配して眼球運動を調整する。

→頚部の安定性が低い人に安易に後頭下筋群緩めたりしないように

 

〇前庭神経核

・身体の位置や動きをかんじとるために視床などに投射。

・身体の平衡を保っている。視覚、体性感覚、網様体、小脳からの情報を入力。

・左右の核間で連絡があり、これらの左右の連絡が正常の前提機能や前庭代償に関わっている。

→代償がうまくいかないと症状強くなってくる。代償不全。左右差が残っている状態

→受診

 

・前庭核ニューロンにおける活動性の左右差が先行して是正されたあと、代償が停止すると感受性の不均衡が残存して症状は長引く。

 

・症状が強まる、苦手な動きを避けるようになり、より代償不全が続くようになっていく。

→ここに対して介入していく

 

◇種類

①末梢性めまい

・前庭性(耳鳴り、難聴なし):良性発作性頭位めまい症BPPV、前庭神経炎など

・内耳性(耳鳴り、難聴あり):メニエール病、突発性難聴など

→BPPVが一番多いとされる。

乗り物酔いが瞬間的に生じる感じ。横になっても強い状況で吐きそうな感じ

 

②頚性めまい

・頚部に原因があり頚部の回転、伸展により生じるめまい

・頚部の骨、筋、靭帯の異常、椎骨動脈、椎骨動脈周囲の交感神経線維の異常など。

 

③中枢性めまい

・小脳脳幹梗塞、出血、腫瘍。聴神経腫瘍、髄膜炎、多発性硬化症、脊髄小脳変性症など。

 

④心因性めまい

・うつ、不安障害、身体表現性障害などの精神疾患によって生じためまい。器質的前庭疾患がうつ、不安障害などの精神疾患によって増悪しているもの。

 

・慢性めまい患者ででは約70%に抑うつや不安障害を合併。仕事も難しい、生活の障害されているという感じ。QOL低下。めまい患者の内半数が精神疾患を合併。

 

⑤持続性知覚性姿勢誘発めまい PPPD Persistent postural perceptual dizziness

・3か月以上持続する浮遊感、不安定感、非回転性めまい

・立位、能動的あるいは受動的な体動、動くものや複雑な視覚パターンをみたとき

・何らかの急性めまい疾患に続発。他の器質的前庭疾患や精神疾患を合併することもあるが、それらでは説明できない。

 

 

 

◇身体の平衡を支えるしくみ

・開眼で、①視覚70%、②体性感覚20%、③前庭感覚10%

 

・閉眼で、①視覚0%、②体性感覚↑、③前庭器官↑

 

・視覚、体性感覚からの入力情報が低下。前庭からの入力がバランス維持に最も重要な役割を果たす。

 

◇前庭動眼反射の評価  HIT Head ipulse test

・急性めまいにおける、末梢性か中枢性かの判断に用いる。一側前庭障害の検出に有効。主に外側半規管機能を評価。

 

・スマホなど使っても可能。頚部を回旋してもらうので、可動域確認。

 

→前方をずっと見てもらって、他動的に回旋させる。10~20°くらい素早く動かして、目の動きをみる。順番をランダムにして。

 

・3回ずつくらい行い、2回以上引っかかれば問題。

 

 

◇滑動性眼球運動(スムーズな眼球運動)

・顎を固定し、指先、ボールペンを動かして注視してもらう。裸眼で実施。頭動かさないように。

・上下・左右に動かし、眼振などないか。

・急速な眼球運動(サッケード)が出たり、スムーズでない場合は異常。

・内耳性めまいでは注視眼振は出ない。

・左右一方だけに注視眼振みられたときは、その側の脳幹障害を疑う。

・上下で注視眼振みられるときは小脳または中脳障害を疑う。

・注視眼振=中枢性めまいのアラームサイン

 

 

◇鑑別

・頚椎は安全か? 重篤な疾患か? Red flagsの確認、脳神経検査

 

・呂律難、視野欠損、麻痺があるか、、、など。

 

〇前庭リハビリテーション

①適応化  前庭動眼反射の機能低下

 

②習慣化  動きの感受性異常(特定の動作によりめまい出現)

 

③代償   バランス機能の低下

 

・一側の末梢前庭障害に対して、前庭リハは安全で効果的であるという中等度~強い質のエビデンスを有する。

 

・BPPVに関しては、浮遊耳石置換法が短期効果を認めた。

 

・めまいの頻度、DHIにおいて前庭リハが有意に効果を認めた。

 

 

◇速い眼球運動(左右・上下) 20回くらい

・頭を動かさず、目だけで左右をみる。指など使って。30°くらい広げて。上下も

・サッケードは強度近視、既往に網膜剥離、硝子体剥離、円孔がある場合は要注意。剥離や網膜のいびつを誘発する可能性。

・指標にしっかりついていけているか。目が疲れる、めまい誘発されないか?頭動いてないか、確認

・上下は頭のてっぺん~みぞおちくらい

 

◇滑らかな眼球運動(左右・上下) 20回くらい

・ゆっくり動かし目で追っていく。頭は動かさないで。

・30°くらいの範囲で動かして。

 

◇頭部運動(左右・上下、側屈) 20回くらい

・目標物をみながら頭を動かす。

・座位で行う方が安全。フラフラしやすくなる可能性がある。

・字を追う場合は、ブレない程度の早さで振る。

・頸の問題がないか確認

 

⇒どの動きが苦手かを見つけて、練習してみる。

 

 

◇座位・立位での頭部運動(前後・左右・回旋)

・頭位を変えていくような形で

・バランスボードの上など不安定な所で行ったり。

・閉眼して行ったら、代償促せる

 

◇負荷の設定

・難しすぎる、簡単なエクササイズは機能回復を遅らせる。やったあとに寝込んだり吐くなどはやりすぎ。ちょっとフラフラするくらいがいい。

 

・1日3回、合計1日12分(急性)、慢性は1日20分くらいが推奨。エクササイズに加えて、歩行やバランストレーニングを組み合わせるといい。

 

・日常の何かのついでに行えるように

 

・滑動性眼球運動(パス―ト)ではバランスを崩さずに方向転換ができるものがいなかった。

・サッケード群は一側性・両側性前庭障害患者において、Dynamic Visual Acuiytに変化を認めなかった。

 

→頭部運動が伴う必要がある。動作には絶対的に頭部運動が伴うからか。眼球運動だけでは足りないかも

 

※Cawthorne&Cooksey Exercises

・Head and Eye Movements in a seated position(眼と頭)

・Head and Body Movements in a Seated position(体も)

・Exercises in an Orthostatic Position(立って歩いて)