・股関節は適合性のよい安定した関節。Ball and socket joint

 

・臼蓋は後方が深く前方が浅い。後方安定性は高いが、前方安定性は脆弱。しゃがんだりするために。

 

・歩行の立脚後期で股関節伸展が必要だが、、股関節は前方に抜けるようになってしまう。伸展位での骨形態としての安定性は乏しい。

 

・大腿骨頚部は前捻角が存在するため骨頭は前方へのストレスにさらされやすい。股関節伸展時のストレスが加わりやすくなる。

 

・立位で屈曲位から伸びるとき、膝のSHMが起きる、そのとき下腿固定で大腿が内旋する動き。そのために前捻角が10~15°あるのかも?説。前捻角が強い人はスクワットすると、大腿部が強く内旋していったり。

 

・外旋位になると骨頭は抜けやすい。内旋位でカップに入る感じ。

 

・股関節荷重のバイオメカニクス(矢状面)。初期接地時、股関節は緩みの肢位で荷重負荷で受けるが、臼蓋の最深部で荷重を受けるので、関節剛性が保障される。靭帯は屈曲位でゆるむ。そのかわりカップが深いので荷重を受けられる。伸展位では靭帯が緊張して安定性を確保。

→骨盤後傾位で荷重応答すると、カップの深いところが後ろに回り込み、荷重が浅い部分にかかり安定性得られない。骨盤後傾すると大腿骨外旋してしまい、骨頭が前方変位してしまう。

 

・寛骨臼荷重部傾斜角の変化。0°が正常。16°になると剪断力がなくなり骨頭を骨盤に押し付ける求心力がなくなる。圧縮力は残る。16°以上傾斜すると、骨頭を外上方へ滑り押し出す分力が作用する。

 

・傾斜角がノーマルとしても、骨盤が遊脚中に傾くと同じような状態に。トレンデレンブルグ徴候みたいに。遊脚相側に骨盤傾くと、臼蓋形成不全の人と同じような状況になってしまう。骨頭が上外側方向に滑り始める。

→骨盤を水平に保つための筋肉の弱化など。体重増えたなど。骨盤をニュートラルにしていく。

 

・側方制動に寄与する股関節外転筋の補充作用。ICで屈曲位では大殿筋上部線維、MStでは中殿筋メイン。伸展開始で小殿筋、さらに伸展位ではTFLがメイン。

 

・中殿筋の筋力トレーニングばかりしても、、LRと踵離地でピーク。MStは外転筋力は小さい。IC~LRは大殿筋上部線維。小殿筋も鍛えていく。ICの直後に骨盤は崩れてしまう。

 

 

・筋による関節の安定化。腸腰筋。小転子から骨頭の前を走行。骨頭を前から抑え込んでいる。腸腰筋切痕は幅広い。大腿直筋も骨頭を前から抑えている。下前腸骨棘を走行、上腕二頭筋と同じような働き。

 

・大腿直筋反回頭枝は骨頭のすぐ近くまで走行し、後ろにまわりこみ関節唇に付着、臼蓋につく。

 

・骨頭―臼蓋間の求心力を発生させる筋群。梨状筋以外の深層外旋六筋。骨頭を臼蓋に引き付ける。内閉鎖筋、外閉鎖筋、上・下双子筋がメインで。

 

・内閉鎖筋と腸骨・尾骨筋は連結。骨盤底筋群とのつながり。内閉鎖筋-腸骨尾骨筋―反対側の内閉鎖筋。

 

・腸腰筋は前から、内閉鎖筋・外閉鎖筋は骨頭の後ろ側をまわりこんで前の方に。骨頭を縛っているイメージ。

 

・腸腰筋が骨頭を動かすと骨頭が抜ける形に。閉鎖筋、上・下双子筋が骨頭を押しつける。

→閉鎖筋を鍛えていく

 

・内閉鎖筋、外閉鎖筋が同時にはたらくと、骨頭と臼蓋の間が広がるような。サスペンション機能みたいな。

 

 

◇人工股関節

・ステムが大腿骨の中で緩んでしまうことも。マイクロフラクチャー 

 

・歩くと大腿が痛い。足底から叩いて、痛みが生じるか?

 

・骨盤前後傾角度の変化と、関節適合性

 

・臥位と立位時、歩行時における骨盤傾斜角度の後傾化は、関節の適合性を損なう。

 

・骨盤傾斜により股関節の可動域が変容する。

 

・THAの安定域。インピンジメント、ネックとカップがぶつかって抜けることも。無理に可動域以上に動かす場合。脱臼に対して神経質すぎるのもまた×

 

・外開き角45°、前開き角15°→骨盤20°後傾でセーフゾーンから逸脱。前捻角も確認

 

・股関節109°くらいで限界。100°くらいでいいと考える。伸展は20°くらいまで

 

・立っているとき骨盤すでに20°後傾していると、、それ以上伸展することはできない。その状態で歩いて股関節伸展したら抜ける方に。

 

・後傾すると大腿骨外旋する。実際は10°くらい後傾で抜けやすいか。骨盤後傾により人工関節のセーフゾーンが狭小化する。

 

・歩くとも前側が痛い、大腿直筋が張る感じ。円背つよくて骨盤前傾できない人もいる。胸腰椎の伸展可動域改善できれば。骨盤前傾位にしてい、前に杖をついたりシルバーカー、歩行器押してもらったり、補助具使用して安全に移動してもらった方がいい。

 

◇理学療法

①関節可動域訓練

・回転中心軸を形成して屈伸可動域を拡大する。靭帯や関節包は切除されている。カップの形態だけで安定化を図っている。カップの中で骨頭が動くようなかたちに。回転中心軸をイメージする。

 

・人工骨頭みたいにカップだけ人工の場合、インピンジメントに要注意。股関節を動かすボディイメージがないと骨盤ごと動く癖がつくので、、股関節を中心とした動きを学習してもらう。親指で骨頭位置を抑えて動かしていく。

 

・伸展0°、骨頭の前方部分は臼蓋からはみ出ている感じ。あお向けて寝ている状態など。屈曲初期では気持ち内旋させる感じ(膝のお皿が天井向くくらい)にしてから、屈曲へ。屈曲70°くらいからはやや外旋させていくイメージ。体側に平行に屈曲するとインピンジメントが生じる。わずかな外転、外旋を加えていく。

外旋位のままいきなり持ち上げないで。膝を腋窩に向かって曲げていくイメージ。

 

・回転軌道の違いによる前方インピンジメントと後方脱臼。後方侵入で組織が脆弱な状態だとより注意。

 

・やや内旋させて、70°くらいまでは踵持ち上げないで、徐々に滑らせながら膝角度を曲げていき少し外転・外旋加えて。下ろすときは早めに踵をつけて、徐々に滑らせながら伸ばしていく。足関節は背屈させておいて。

 

 

◇股関節の外転運動による回転軸の再形成

・正中から外に広がる動きは患者にとってけっこう怖い動き。骨盤が余計に働いたり、内転筋が過緊張になったり。サイドステップも難しくなったり。

 

・術直後でも外転は怖くないことを学習させていくことが重要。股関節の位置を教えてあげる。長年外転ができない人が多いので、骨盤を使わないように。ASISと大転子を線を引いて、3等分して、下から1/3の奥に骨頭がある。大転子が外旋しないように指で支えてあげる。足を外転させるときは、足関節を底背屈0°に固定する。足関節背屈位だと下肢の緊張↑、底屈位だと緊張↓。上肢も背屈した状態だと肩甲帯↑、掌屈だと↓というような。末梢から力を入れていくイメージ。最初は他動→active assistiveへ。。

 

・股関節中間位にして(わずかな内旋位を加えて骨頭前方部の適合性がよくなる)動かす。外旋位のままだと内転筋で努力的になったり。足底は母指を足底に沿わせて、内側は舟状骨あたり、母指球で立方骨を保持。残りの指で外果に指をひっかけて握り込むようにしっかり保持して動かす。セラピストの足でストッパーをつくると安心感を出せるので配慮したり。1回ごとに緩めて。骨頭の位置→股関節中に入れて→背屈→外転→戻す。

体の使い方のイメージを覚えてもらう。

 

・骨頭が求心位を保持できていない状態。骨頭を臼蓋の方に向けるために内旋して軽度屈曲させている。インナーマッスル使えないのでアウター優位。股関節内旋のためにTFL収縮、外転するのでそれを止めるために長内転筋収縮。恥骨筋も強く働くと絞り込むように安定を得る。そうなると臥位でも屈曲内転・内旋軽度屈曲気味に。足が浮き上がるので大腿二頭筋短頭などが過緊張となっている。

→外転Exをしっかり行い、こういう状態をつくらないようにする。

 

・長内転筋とTFLのリリース。筋を長軸方向に捻じるようにマッサージみたいな。どちらか動かすときは反対を固定して。筋肉の長さ変わっても股関節は固定された位置で。筋肉を動かすときは、股関節動かさないように注意。外乱になると余計に緊張高めてしまう。

 

※Snapping Hip Syndrome(外側型)

・腸脛靭帯の下で大転子が回旋するときに、引っ掛かるようにパキパキ音が鳴るような感じ。摩擦が生じてしまう。大転子包(滑液包)が常に押しつぶされて、癒着してしまう。TFL過緊張になると、大転子が上手く動けなくなる。大転子がTFLの下で動けるようにしたい。

 

 

・TFL過緊張の人は多い。大腿外側広筋も過緊張となっていることが多い。骨盤後傾位で歩いていると、股関節は伸展位で、殿筋使わないでTFLばかり使っている状態。側方制動のために、TFLとITBを過緊張→外側広筋の緊張も↑。腸脛靭帯がスライドできなくなってくる。VLも緩めていく

TFLは大腿二頭筋短頭にもつながっているので硬くなりやすい。

→大転子包の可動性改善へ。腸脛靭帯固定して、大転子包のところを動かして、腸脛靭帯を固定して大転子を動かす。

 

 

◇筋力トレーニング

・閉鎖筋群による骨頭求心力改善

 

・背臥位。鼠径靭帯の真ん中(ASISと恥骨結合の間)の2横指程度下に骨頭があるので親指でさわり、残りの指で。大転子をさわる。両方の大転子を真ん中に寄せるような誘導(骨頭と骨頭を近づけるように圧迫する感じ)。

→閉鎖筋、双子筋が働いてくる。力が入る感じはしないかもしれないが。

 

・腸腰筋のトレーニング。背臥位で。骨盤ごと持ち上げるイメージなっている人が多い。腸腰筋で大腿部を引き上げるイメージ。指で骨頭を抑えて、PSIS、L3の棘突起のあたりをおさえる。骨頭から後ろ側に向かって紐が走行しているイメージで、紐を引っ張って大腿を持ち上げるイメージで。

 

・頭が想起した運動、ボディイメージで。手が重く感じている→挙上するとき努力的に、肩甲骨ごと動かすみたいな。それを変えていく、モーターコントロール。腰椎を屈曲して骨盤ごと腹筋や大腿直筋優位で股関節屈曲してしまう。

→最初はイメージをもってもらって、active assistiveで。足が重いとならずに。膝を完全に屈曲させて、大腿直筋を使わないように。下腿の重さを取り除いて、余計な緊張を誘発しないように。

→腸腰筋がしっかりと収縮できるように。

 

 

・大殿筋上部線維も。骨盤を水平にキープするために。股関節伸展位では、股関節外旋作用を有しているが、股関節が70°以上屈曲位におかれると、筋の走行が変化するため股関節内旋作用を有するようになる。

 

・高齢者は特に大殿筋の上部線維が萎縮しやすい。お尻が三角形になるような。上部鍛えるとヒップアップしていく。踵接地のときも上部線維が収縮できないと骨盤がスウェイする。

 

・股関節の筋肉は70°を境に作用が変わる筋肉がある。梨状筋や長内転筋も。。

 

・大殿筋の等尺性収縮訓練。腹臥位で。お尻固めるだけだと下部優位になりやすい。PSISの脇で収縮するのは上部。伸展・外転・外旋筋なので、ほんの少し外転位にして外旋・伸展させる感じ。膝屈曲してハムストリングスを抑制しておく。徐々に可動範囲を少なくして、関節運動がなくても収縮できるように。

前方アプローチで脱臼肢位があっても動きを極力減らせば可能。

 

・大殿筋の上部による骨盤前傾。股関節屈曲位では内旋作用を持つ。大腿骨内旋によって骨頭の位置が下がり、臼蓋が骨頭上を回転しやすくなる。立ち上がりの時に影響。骨盤後傾では大腿骨頭が上を向いている(前捻角のため)。骨盤前傾するには股関節をやや内旋させて大腿骨頭を下げる必要がある。起立時に前傾させるように。恥骨筋でも内旋可能だが内転、内股になってしまう。TFLの内旋では膝を曲げるのが難しくなる。

 

・大殿筋上部線維の評価。PSISと大転子の間に走行。後方から上部線維を引っ張り持ち上げるイメージ。体を起こして前傾させていく。前方からもアプローチできる。大殿筋の上部を前に引っ張って大転子に近づけるイメージ。起立の前段階としてもいい練習になる。

 

 

◇座位における動作訓練

・多裂筋と腸腰筋のペア。腰椎を4方向に牽引し、骨盤上の腰椎アライメントを制御している。腸腰筋は腰椎のアライメントによって腰椎への作用が逆転する。腸腰筋が骨盤前傾させると同時に多裂筋が収縮して腰椎伸展させ、機能的な腰椎の前弯位を保持する。

 

・腸腰筋の促通。座位でPSIS・L3棘突起抑えて、大腿骨頭を大腿前面から圧迫させ、後方から骨頭に向けてワイヤ―ロープを近づけるように前傾させる。腰椎屈曲しないように。

 

・PSISの内側で多裂筋の付着部を触知し母指で圧迫する。PSISからL5棘突起に向かって引っ張り上げる。骨盤前傾させ、L4の棘突起に向かって前傾、次にL3へ。

 

・多裂筋のExで腸腰筋も同時に働くように。大殿筋上部線維も事前に引き上げておく。股関節の可動域練習、体幹Exにもなる。

 

・骨頭への荷重と腰椎―骨盤―股関節の協調運動。右の多裂筋・右腸腰筋、右の多裂筋と左の腸腰筋のように対角線の練習。多裂筋を引き上げておいて、反対側の方に骨頭をもち大腿を転がすイメージ。

 

・殿部離床時の大腿骨外旋と骨盤のリフティング。殿部持ちあがる瞬間に大殿筋上部線維が働く。一度内旋した大腿骨が一気に外旋して骨盤を持ち上げるような動きになる。

 

→前方からアシスト。患者の大転子の後面に指先がかかるように大転子を包みこむ。上肢を前方にリーチさせて、頭部がつま先の上にきたら一度とまる。大腿骨が外旋するように誘導していく。

上部線維で前傾させて、大転子を包んで、骨頭を上に向けて一気に持ちあげていくイメージ。グーで挟んで持ち上げる、パーで支えつつやったり。

 

・できれば動作の中でその筋肉が主動作筋として働く方がいい。動作の中で使えるように練習。

 

・側方への体重移動。多裂筋と腸腰筋の対角線の収縮。立位は難しいのでまずは座位で。坐骨歩きなども

骨盤から体重移動を誘導、股関節から誘導も。対角線斜めにリーチしてそ患側に荷重してそのまま立ってステップ。立ち上がってからサイドステップしてリーチ運動など。起立直後のステップなど。立位でいきなりやると怖いことも。

 

・棒に荷重かけつつ立って、そのまま座る。ストレッチポールなど棒を前に水平に持っていきながら腰椎伸展確保して、左右に起立・着座みたいな。体重移動を左右に分散させて。

 

 

◇立位での動作訓練

・骨頭が臼蓋におさまっているかどうか。体重を乗せた時に骨頭の位置が、保持されているか。骨盤後傾して骨頭が前方変位しないように。

 

・臼蓋が向いている方向と骨頭が向く方向が一致するように。閉鎖筋の働きが必要。大転子から坐骨結節の内側をまわって閉鎖孔に入る。坐骨結節の中に手を入れて、第1関節くらい手を入れると筋腹に圧を加えられる。そのあと恥骨の方に向かって引っ張る。立位になると閉鎖筋と腸腰筋はペアになり骨頭を求心位に。

腸腰筋の緊張高まると多裂筋も↑。閉鎖筋からこの二つを促通して骨盤前傾させて体重移動へ。

 

・大転子保持し、坐骨結節を触診。前に行っている骨頭を中に押し込むように。坐骨結節を上に引き上げるように。閉鎖筋を引っ張り上げて、体重移動へ。坐骨結節を内側に、恥骨に向けて引っ張るイメージ。体重乗ったらそのまま反対側ステップしたり。

 

・体幹を傾けないように固定しておいて、体重移動。股関節を使って左右へ。患側へ体重へ乗っているところから反対側へステップさせたり。真横なら中殿筋、やや前なら小殿筋みたいに。

 

・閉鎖筋使えないと、患側の足を軸にしたバックステップのターンが難しい。閉鎖筋による大腿骨頭上の骨盤水平回旋の訓練。大殿筋だと伸展が優位。閉鎖筋がきかないと後方回旋が難しい。

 

→閉鎖筋を大転子方向に引っ張り上げるように。後方へステップ

 

◇歩行訓練

・ステップ、体重移動ができて、骨頭が中におさまるようになってきたら歩行訓練へ。

 

・踵接地したあとも股関節がカップにおさまるように。骨盤過前傾して代償してしまう。LCSも起こしやすい。カップの深いところで歩いて、前を向くために腰椎過伸展に。

 

・ステップ台に患側の足を乗せて、体重を乗せていく。立脚初期のトレーニング。骨盤水平位で、体幹も前傾しないように中間位で。大殿筋上部線維を引き上げて、前に荷重かけて、戻す。慣れてきたらやや外側に体重移動。さらに負荷は、そこからサイドステップさせる。大殿筋上部線維のトレーニング。

 

・つづいて立脚後期。閉鎖筋を引っ張り骨盤前傾させて前方にステップ。骨頭が抜けないように

 

・坐骨結節から閉鎖筋を引っ張り前にステップ。体幹は股関節の真上にのっかりuprightで。

 

・ステップ台で、下側の足を患側にする方法も。体重を前にかけて股関節伸展し、ヒールライズ。立脚後期の動きを。健側の足を前にのせておけばBOS内で安定して可能。そこから立位からのステップにしたり。