石井セミナー バイオメカニクス メモ

 

・なぜ動作ができないのか。どこに問題があるのかを探っていく。どんな機能を使って可能になっているのか?を知る。

 

 

〇寝返り

・体軸内回旋が重要。屈曲回旋パターンと伸展回旋パターン。腹斜筋を使って屈曲パターンか、腰背部使って伸展パターンか。子供は最初に伸展パターンを獲得する。生後6か月くらいで屈曲になりつつある。

 

・患者さんは重力で横になるか、努力的に伸展パターンで寝返る人が多い。起き上がりにつなげるには、屈曲回旋パターンがいい。

 

・屈曲パターンは頭側→尾側。伸展パターンは尾側→頭側へ。

 

・視線、頭部からヘッドコントロール→対側方向へ上肢リーチング、回旋→Body Axis Rotation体軸内回旋(下部腰椎まで波及)→Weight Transfer、RightingReaction捻じれがほどけて側臥位。5つの流れ

すべての基本動作の原型はリーチ。起き上がりも、立ち上がりも、歩行も。

 

①Head controll

・動作に先行して怒り、全身の姿勢筋緊張のヘッドコントロールによってプライオリティが決定される。。

 

・頭頚部屈曲によって緊張が高まるSuperficial Front Line 体幹・大腿,下腿前面筋の緊張

 

・軽く頭を上げて回旋していく必要がある。

 

・上位頚椎の屈曲(頭部うなずき、顎を引く、手の平入るくらい)が必要。上位頚椎伸展、下位頚椎屈曲では、背筋(胸鎖乳突筋、舌骨上下筋などで代償)の緊張が優位になり、腹筋の緊張が高まりにくくなる。

 

・上位頚椎屈曲には、、頚長筋。C4にはついてなくて、C3→C5、C2→C6、C1→C7。これらが収縮すると前弯している頚椎がC4を中心に屈曲するような。収縮しづらい部分。顎を軽く引いてもらう。後頭隆起を上に向かって引っ張るような

 

・頚椎のVertical Extension:後ろにのけぞる伸展でなく、上に向かって伸びあがるような伸展。ピラティスなどの用語だったり。寝返りだけでなく、立ち上がりなどでも

 

・脊柱のVertical Extensionはいかなる方向の運動であっても、重力に適応して動作を遂行し、運動を波及させるために必要な機能といえる。ある部位から始まった運動が連鎖的に全身へ波及することで動作は遂行されている。

 

・脊柱は運動を伝達するためのシャフトの役割を有し、動作の開始にあたっては抗重力活動の構えとして脊柱がVertical Extensionする必要がある。必ず動く前に頚長筋をはたらかせ、Vertical Extensionの状態にすると体幹などの活動につながる。

 

 

・Head controllは動作に先行しておこり、Head controllによって全身の姿勢筋緊張のプライオリティが決定される。

 

・胸骨柄の高さと上位胸椎、頚椎のマルアライメント。意識がなくなるレベルだと頚長筋が収縮不全になる可能性はあるが、、それでも使えない人いる。

 

・胸椎が屈曲していると頚長筋が収縮しづらくなってしまう。胸椎屈曲して顎を上げて姿勢をキープしてしまう。T4,5~胸骨角ラインが一直線がいいが、胸骨角が下がっている状態は胸椎屈曲している。

 

・主動作筋が問題なのか、それとも可動域が問題なのか→後頭下筋群、拮抗筋の過緊張。頭斜筋など

→少し緩めてから誘導したり。

 

②リーチング

・両側の肩甲帯が邪魔になってくる。肩は体側から張り出しているため、寝返りにおいて身体の回転運動を妨害因子に。肩甲帯を前方へ突出できなければ、上部体幹を回旋させて寝返りできない。

 

・上側の上肢がおもりになって上部体幹の回転を妨げる。下側の肩が上部体幹の下敷きになり回転を妨げる。体軸内回旋を起こすには肩甲骨の前方突出が必要。

 

・寝返り第1相では、上部体幹の回旋に先行して、上側の肩甲帯(左側に寝返りでは右側の肩甲帯)が寝返る側へリーチされるように肩甲骨が前方突出する。

 

→主動作筋の前鋸筋、僧帽筋の中部線維、菱形筋の3つが重要。

 

・前鋸筋だけだと肩甲骨内側縁が離れてしまう(胸郭からはがれる感じにすると重みにまけて腕が落ちちゃう)。拮抗筋の菱形筋などが肩甲骨を胸郭に固定して安定。クロスオーバーにリーチしたい。片麻痺の人などは難しかったり。

 

・僧帽筋―菱形筋複合体。僧帽筋はやや下向き、菱形筋は上向きな感じで。

 

・リーチングにおける二関節筋の作用。リーチは直線軌道。二関節伸筋により肘が伸展、肩が減速(上腕三頭筋と上腕二頭筋)

 

・上腕三頭筋は距離をみてて、収縮を開始するための閾値がセットされる(距離を決めて、伸ばされつつ)。上腕二頭筋(肩関節屈曲と肘屈曲)は何も考えずに一気に収縮。

 

・単関節筋に目標の筋長を与えるだけの単純な制御でも軌道を修正して直線性を高めることや加減速を早めることができる。CPGの一つ。四つ足動物時代の制御。ターゲットが示されたら一気に収縮

 

・四つ足では上下肢のCPGが同時に連動していたが、人間もまだ連動しているといえる。

 

・上肢のCPG駆動で体幹・下肢も同時に制御。ただのバンザイは変わらないが、上方へのリーチが伴うと下肢、体幹も連動する。

 

・片麻痺の人がリーチできないのは、、二頭筋が過剰に緊張するが、三頭筋が働かない。目の前にターゲット与えてリーチしてもらうなど

 

・寝返り第2相では、下側の肩甲帯(左側への寝返りでは左側の肩甲帯)が、身体の回転運動を妨げる阻害因子に。寝返りを邪魔しないように、下側肩甲帯も前方突出した位置に配列されなくてはいけない。

 

・上側の外腹斜筋を使って、肩甲帯は動かさずに胸郭を中に滑り込むように回旋させることで、肩甲帯を前方突出した位置に配列させている。手が下敷きにならないように。

 

・上側の肩甲骨は胸郭は固定。下側は肩甲骨が固定で胸郭移動。

 

・上位胸椎を回旋させる主動作筋は、、ない。C1~5と上から順番に回旋をつくりたいが。

 

→上になる側の菱形筋。菱形筋が少しずつ前鋸筋によって引っ張られるが、、どの辺で止めるか。菱形筋はある程度の長さまで伸ばされると一度止まる。そのあと前鋸筋とつながって引っ張り胸椎をつれてきてくれる(回旋)。菱形筋の収縮が大事。 →そのあと腹斜筋が働いてきて回旋

 

 

③体軸内回旋

・主に胸椎が動く。主動作筋は腹斜筋。菱形筋→前鋸筋→外腹斜筋→内腹斜筋の連結。主として胸椎で起こり、主動作筋は上側の(左に寝返る際には右側の)外腹斜筋とした側の(左に寝返るときは左側)内腹斜筋。

 

・胸椎と肋骨の運動リズム。肋骨に付着する筋が硬くなると、胸椎可動性が低下。胸椎屈曲すると両肋骨は前方へ回旋。胸椎伸展は両肋骨後方へ回旋。捻じれ、右回旋するときは、前に出る側が前方回旋、後ろに出る側が後方回旋。

 

・左回旋する場合、制動するのは肋骨前方回旋は左腸肋筋が制動。右肋骨後方回旋を制限するのは外腹斜筋。横隔膜が制限因子になることもある。肋骨回旋可動性低下している人は多い。

 

・伸展位で回旋増えると腸肋筋の問題、屈曲位で回旋して変わると腹斜筋か。屈伸であまり変わらないようなら横隔膜の可能性も。呼吸してみて、周囲筋が硬くないのに可動性低下してたら、腹部の動きなどで横隔膜かどうか。

 

・屈曲回旋の運動だけで寝返りを遂行しようとすると、頭部が完全に回旋しきってしまうため、上部体幹のみが回旋し、下部体幹の回旋は十分におこせず寝返りは完成しない。;側臥位になるには下部体幹が上部体幹の回旋に追いつくように回旋運動を早める必要がある。

 

・腹斜筋だけが働いても、胸郭(骨盤に対して)をもってきてくれるが、骨盤はこない。次に胸郭に対して骨盤を持ってこないといけない。

 

・寝返り第2相。固定された下部体幹に対して下部体幹が回旋する。どこかで止まって固定点の入れ替えが難しい。

 

・第3相では固定部位と運動部位が逆転し、固定された上部体幹に対する下部体幹の回旋がおきることで、体軸内の捻じれが中立位に復元される。

 

・腹斜筋のパターンを切り替える。右に寝返る場合、左の外腹斜筋と右の内腹斜筋のペア→右の外腹斜筋と左の内腹斜筋に切り替え。

 

・寝返るときに屈曲優位となり丸まる形になってくる。骨盤回旋のとき、僧帽筋下部線維の収縮で胸椎伸展・回旋してくる(オーバーヘッドリーチに近い形)。トリガーになって腹斜筋が切り替えてうまく捻じれがほどけるように。

 

・片麻痺の人は菱形筋が働きづらく、胸椎回旋入りづらい。僧帽筋下部も収縮しづらいので広背筋を一気に使うように(何かにつかまりながら)。

 

・Weight Transfer。体重移動。背臥位から寝返ると重心位置が変化してくる。

 

・重心移動には床反力の制御が必要。物体の回転と床反力作用点の関係。外から力が作用しないと重心は変化しない。筋肉は内力となる。外力は重力、床からの反力。

 

・重力と床反力の作用するところをずらすと回転力が生じる。床反力の位置を体を回転したい方向の反対に。

 

・床反力作用点を右側へ移動させるために、右側の下肢で床面を押、同時に左側の下肢を床面からわずかに持ち上げる。このように床面を下肢で操作すると、接触面の圧分布が右側へ偏向し、床反力作用点が重心よりも右側から作用。その結果、体のに左側への回転運動が生じ、身体重心位置が左側へ移動。

床を押せるのは股関節。右側で地面を押し込んで左をちょっと浮かせて抜いていく。骨盤回旋のタイミングで左股関節で地面を押し込んで右を少し浮かせる感じで回転をブレーキ。CPGの一つ。

 

・座位、立位で重心移動も同じ。地面を押し込んで圧分布を変えるのは股関節を使う。大腿切断の人などは難しくなるので上肢を使うしかなかったり。片麻痺も難しくなってくる。

 

 

〇起き上がりのバイオメカニクス。

①Roll Over、②Antigravity flexion、③Shoulder girdle stability(on elbowのタイミング)、④Weight Transfer。→長坐位

 

・on elbow経由の方が楽。ほとんどの人はon elbowになれない人が多い。どうやってなるのか?

 

 

・途中までは寝返りと同じ。上の肩が下の肩の上を通過するタイミングで、肩の水平内転に急制動かかる。回転の中心が肘にうつる。体幹自体は前に向かって進みつづける慣性がかかっている。On elbowは回転運動の勢いを利用した運動制御によって実現。

 

・うまくいかないとon elbowのときに肘で強く地面を押してしまう。反動で体が逆方向にいってしまう。

 

・どうやって急ブレーキをかけるか。三角筋の後部で地面を押し込んでしまうとうまくいかない。

 

・体軸の回転軌道を変化させることで、肩関節の水平内転に急制動かかり、肘関節に回転軸が移動することでon elbowが完成。

→リーチの軌道を横向きから下の上肢の方に向けていくように変えていく。

 

・寝返りが完成する前に肘に運動の方向が変わり回転の中心が肩から肘に移動

肘と股関節(屈曲、外旋、)を結んだ線状に軸をつくるイメージ?

 

・最初のリーチは前鋸筋の上部線維がメイン。軌道が切り替わるときは前鋸筋下部が強く収縮。外腹斜筋が引っ張られて活動高まり、内腹斜筋も高まり起き上がり、on elbowへ

 

・座位で手をついておいて、反対側の手でリーチ。リーチしながら急に切り替えさせるような練習したり。

 

 

・上肢帯の安定性 Shoulder girdle stabilityについて。上肢で体重を支える。肘関節にスタビリティが必要(上腕三頭筋)。次に肩甲上腕関節のスタビリティが必要(ローテーターカフ)。肩甲胸郭関節のスタビリティが必要。

 

・肩甲胸郭関節の安定性がないと内側縁が浮き上がったり。前鋸筋と菱形筋が必要。on elbowで体重を支える際には棘下筋が肩甲上腕関節の安定化の主動作筋。

→ベッドに肘をついて体重移動したり、荷重かけて雑巾がけのような練習したり。棘下筋。

 

・上腕三頭筋は前腕と上腕を連結し、前腕部で支持基底面を作ることに役立つ。作用しないとBOSつくれずon elbowが崩れてしまう。

 

・菱形筋と前鋸筋は停止と起始が重なっている。四つ足動物は菱形筋と前鋸筋が強く働き、体重を支えていた。人間は殿筋でコントロールしているが。。

→肩甲骨を突出させて、前腕で支えて保持する訓練など。

 

・on elbowからon handへ。上肢で床面を押し込むことで、床反力作用点が側方へ移動し、身体重心周りの回転力を生み出す。

 

・起き上がりの第4相は、狭い支持面上で幾重にも連結されたクレーンが最大に高く伸びて、その先端に重い荷物をぶら下げているような状態。