〇住環境整備プラン

①住環境整備の目的を明確にする

・何のために?どの動きの時に使うのか?なぜ段差解消するのか?車椅子、歩行器か?なぜ浴槽とりかえる?跨ぎを安楽にするか?座って入るか立ってはいるか?安全な動作にするのか?自立度を増すのか?動作を誘導するのか?など図面に反映させる。

 

②生活動作全般で考える

・一つの生活行為は多くの複合動作からなる。一つ不自由であれば他も不自由さを感じる。

 

③移動レベルで考える

・車椅子レベルか、歩行レベルか。一人で歩けるか、杖等の福祉用具を使うか、伝い歩きかなど。車椅子はどこで使うか?

各動作時に移動形態を検証

 

④本人の残存機能・能力の活用を考える

・現在の動き方だけでなく、方法を変更したり、残存機能を生かした内容に。

 

⑤疾患の特性を知る(伝える)

・片麻痺、PD、OA、高齢者の特性   感覚障害は気づきにくいとか。

 

⑥福祉用具の活用

・誰が主に使用するか?使い方を把握しているか?(本人、介助者)、使う環境は?試用可能か?メンテナンスは難しくないか?身体に適合しているか?道具使用の訓練

 

⑦専門職の活用

・リフォームヘルパー制度。障害像や予後予測について。代替の動き方がわかる。

 

⑧なるべくベターな提案(代替案とメリットデメリットの説明)

・費用ありきではない。できれば何パターンかの提案(全面改装、中間的な対応、最低限の対応)。将来像もあわせて提案。それぞれメリットデメリットの説明。選択はあくまでも当事者・家族の役割

 

⑨将来を見越した提案と、家族の動きに留意

・将来像を描きながらの提案が重要。病気の進行や加齢に伴う機能低下など。

・家族への影響を考慮(当事者中心の提案をしがち)。家族の動きは疎外されないか?セッティングに手間がかかりすぎないか?

 

・ニーズの発見→方針→フォロー(終了後の確認、不備な点の修正、使い方の説明、学習)目的達成されたか。ケアマネジャーに確認依頼など

 

・ケアマネジャーの困ること。適合判断ができない。知識不足、調整能力、業者側の質の問題。業者にお任せが多い。実際に使いやすいのか判断できない。ここにリハ職が介入。チームで動いていく

 

◇例

・かけ外しの手すり。縦手すりで動きの方向性と重心移動をカバー(前方への重心を移動させるイメージ)

 

・視認性を意識して手すり(テープで色を付けたり)。手すりの高さと色で工夫。

 

・持ち手すり。指の屈曲制限で握り込めないので一般的な手すりが使えない。握りやすい大きさの木片を設置して工夫

 

・リウマチの人のトイレ手すり→平らな形の手すり。指を引っ掛けられるように

 

・オフセット型の手すり(中からも外からもつかみやすい)。

 

・突っ張り手すりを工夫。玄関、斜めの壁に。

 

・ターンテーブルを利用して動作。洗面動作は丸椅子だったが、転倒しやすかった。ターンテーブル付き、手すり付きの椅子を導入

 

・スロープを段差へ変更パターン

 

◇必要な知識

・移動手段の変更時、転倒など安全性に課題が生じてきた、障害の特性が理解できないと対応できないとき、将来の予測が立ちづらいとき、、リハ職が住環境整備に介入できるタイミング

 

・QOLの向上を目指す。身体能力を判断できる。動作分析し動作の変更、効率の良い動きの指導ができる。予後予測、ADL評価できる。移動障害に対するアプローチが多い。

 

・①最低限の建築の知識 ②共通語を知る ③最低限の用具の知識と新しい情報 ④最低限の補助制度の知識 ⑤業者のまかせきりにしない ⑥他職種にまかせきりにしない ⑦自分で図面を書く。寸法のイメージを持つ

 

 

・PDCAサイクルに則って考える。本人の心身機能の改善、日ごろのコンディショニング、福祉用具の活用と環境整備をすることで、ADL動作等を改善、介助者の介助能力を向上、、

 

・制度を知る。介護保険による住宅改修費、福祉用具レンタル、購入。各自治体による助成制度。限度額、年齢制限、収入による負担など。

 

・介護保険での住宅改修種類。手すりの取り付け、段差解消、滑り止め、引き戸への取り換え、洋式便器、など。

 

・身体機能を評価、将来像のある程度の予後予測、福祉用具の知識、ジェネラリストの視点、生活者の視点、制度、保険の知識。専門知識

 

・提案力(生活イメージを持つ持たせる)、説得力(自信と知識と謙虚さ)、フットワーク、コーディネート力、コミュニケーション力、マネジメント力、情報収集力、チームワーク(わからないことを気軽にきける)、好奇心、応用力

 

 

 

〇住環境整備

・リフォームとリノベーション。リノベーションの視点。マイナスをプラスに

 

・住環境整備=住宅改修×福祉用具×建築×ライフスタイル

 

・病院と同じような家にするのはどうなのか?介護用ベッドでなく柵付きの普通ベッドなど。

 

・その人がどういう暮らしをしたいか、という点をみる。

 

・住宅を安全、安心な環境にするだけなく、リハビリテーション、建築、インテリア等の総合的な視点と技術でその人の可能性を引き出す人生の舞台として整備すること。

 

◇基礎知識

・モジュール、寸法。座って半畳、寝て一畳。

 

・一間六尺、1820×910㎜。横になるスペーストイレや押し入れなど、多様に使われる。

 

・半畳三尺 910×910mm、標準的な木造住宅の間柱のピッチは303mmか455mm

 

・1820×1820mm 一坪。風呂場や車いす用トイレ等の広いスペースで用いられる。最小スペースは1014も可能。一坪あれば介助は楽。

 

・910mm、455mmのところか。

 

・廊下の構造、幅。910mm芯々の寸法(柱の真ん中から真ん中まで)。柱の厚み+下地で有効幅員は780mm。手すりをつけると約100mm狭くなる。片方680mm、両方580mm。

 

◇ポイント

屋外

①アプローチ、

②ポーチ~玄関

・GL~玄関。土台部分400~600mm。歩行、歩行器、車椅子か。自立か介助か。手すり改修・貸与か、スロープ改修、貸与か段差解消機、改修・貸与。福祉用具の置き場所はどうするか。

 

・スロープの勾配。L字に折り返したり。おけるかどうか。段差、傾斜、設置距離の関係。スロープの傾斜1/12~1/15以上が望ましい。設置距離=傾斜×段差の高さ。段差が20cm、傾斜1/15にしたい場合、3m必要になる。

 

・スロープは足関節背屈ができないと歩きにくい。段差の方がやりやすい場合も。

 

③玄関~室内のクリア

・上がりかまちの段差(200~500m)→式台、手すり、椅子など。玄関に手すりや椅子置いたり。

 

・室内を四つ這いで行う人もいたり。

 

・廊下の移動  廊下はいざりや、四つ這い移動の人もいる。

 

・オフセット手すりオススメ。柱の角などに設置するため両方向の支えになる。

 

・扉の工事(開き戸から引き戸へ変更)。アウトセット引き戸

 

・室内の段差解消。2,3cmの小さい段差など。

 

・手すり工事、階段。片方しかつけられない場合、上りか下りどちらを優先するか?基本的には下りにつかまれる手すりを設置。

・階段昇降パターンはいろいろ。横向き、松葉杖、いざり、四つ這いパターンなど。それらに合わせて。

 

・トイレの手すり。ドアの開閉のバランス、方向転換、立ち上がり。ただL字をつけるのでなく、何の機能が必要だから高さや長さにこだわる。奥行は水を流すのに必要か?押入れをトイレに変えたり

 

・浴室。浴室内の移動、段差の対処、洗体の姿勢、浴槽出入り。移動;動線短く、手すりを。段差:手すり?かさあげ?。洗体:シャワーチェア、肘掛け?出入り:手すり?椅子?両方?

 

・脱衣所~浴室の段差解消。段差そのままで手すり設置で上り下りが多いパターン。スノコやバスマットでかさ上げもありだが、掃除が大変になる。

 

・浴槽への出入り。手すりなど

 

・居室 ベッド(布団)の位置。動線(特にトイレ)との関係。ベッドから起きて常に掴まれる動線に。日当たりや方角景色や庭との関係。寒さ・暑さ・居心地の良さに大きく影響。介助と家事との関係。部屋の真ん中?壁際?バランスで考える。

 

・(機能が戻らなくても)あらゆる手段で、その人の社会参加を実現すること。

 

・最小限で最大効果を目指す。

①今あるもので工夫(レイアウトの変更、高さ調節、整理整頓など)

②体の機能向上(廃用改善、自主トレ、年齢よりも習慣と好き嫌いで検討)

③福祉用具の活用。(調整、変更、新規導入。気軽に試せるのが強み。

④住宅改修の施工(痕跡を頼りにできるだけシンプルに。退院時は二期工事が基本) 

⑤サービスの利用(介助量や当事者の希望を大切に)

 

・退院時にすべてを見通すのは難しい。一回で全部決めなくてもいい。小分けの方がいいかもしれない。

 

・変化と提案の受け入れの関係。基本的に、変化が少なければ受け入れしやすい。価値が上回れば、受け入れるパターンも(リフト導入など)

 

・退院後が心配、前より動けなくなった、体に合った住まいにしたい、家族の介護が大変になった。ときに住宅整備を検討

 

・福祉用具に関しては、業者さんにパス。データを投げかけて。色々選んでもらう方がいい可能性もある。

 

・家と病院、施設の違い。病院は効率的で安全に大多数が過ごせる治療の場。在宅は多彩でその人の文脈に基づく文化と暮らしの場。在宅を知らないと病院の動作や環境を在宅に持ち込む傾向に。

 

・医療者は正論を、生活者は現実論を重視。病院では在宅生活がわからないのは当然。わかること、わからないことを明確にし、在宅部門へ引き継ぐ。

 

・当事者の世界観と安全・安心な暮らしの両方を実現していく。

 

〇退院前アセスメント

本人に対して

・これから「どのように生きていきたいか」をきく

・それを実現するために必要な動作や耐久性など、評価

・特に身体能力や疲れ、痛みなど、現実的に可能か。

・希望と現実のギャップを埋める手段を本人と検討・試行

・福祉用具専門相談員に相談し、複数の用品を用意する

・福祉用具が希望をかなえるか、実際に動き本人と判断する

 

家族に対して

・今後の生活の不安や希望など家族の想いをきく

・家族の介護力、本人との関係性、どこまで何ができるかを評価

・家族が担う家事や仕事など、現実的なキャパシティをとらえる

・本人と試行する際、家族にも立ち会ってもらう

・特に福祉用具の置き場所や片づけなど、家族と綿密に相談

・費用や制度も説明し、コスパ(価格と価値)の判断をしてもらう(本人はお金がかかることを遠慮してしがち)

 

住環境に対して

・住宅は個人の想いがカタチに現れるところ。提案は確認をする。上がり框や柱に福祉用具の手すりをつけたり、選んだ福祉用具が家の雰囲気に合っているか確認。つけてもいいんですかね?みたいな

 

・部屋の場所、動線など合理的かつ納得のいく計画を立てる。すべて希望通りにはできない面もある。

 

・福祉用具と住環境とのマッチングをする。変更や撤去が容易な福祉用具で対応できるか検討。置き場所や空間の雰囲気、色味にも配慮。

 

社会に対して

・福祉用具、住環境整備は介護保険で適用。本人負担は1~2割、その他は40歳以上が払う保険料

 

・自費10割負担なら制約はない。本人の譲れない希望があれば完全自己負担でもよい。

 

・福祉用具(貸与)の機能を住環境整備で担えるものは変更する。レンタルはコストかかる。住環境整備は初期費用のみ。

 

・介護保険は保険事故。

病院での事前準備。完璧なプランをつくるのでなく、何がわかって、何がわからないかを明確に

 

①本人、家族のプランを確認。課題や改善策を考えているか?

②最低限、移動と身体機能。できれば移乗、起居、トイレを評価。特に移動とトイレ、手すりの高さ、活動量やリスクの予測も

③現時点で考えられる、机上の住環境整備プランを複数立てる。玄関~居室~トイレ、図面上を歩き具体的な動作や課題をあげる

④わかること、わからないこと、当日相談することを整理。写真、図面、聞いた情報でわかることは一部。最低限、移動はおさえる。

⑤当日の流れ(60分程度まで)を計画。図面を歩きながら、効率的な動線を描き、段取りを組む。

 

・手すりの高さの評価、座面の評価。手をつく場所、すでに黒くなっている場所+提案。手すりのサンプルあるとわかりやすい。

 

・ビニールテープはべたべたしたり剥がしにくい。マスキングテープがいい。

 

・挨拶→自己紹介→ニーズ確認→目的の確認→進め方説明

 

・玄関出入り、室内移動、戸の開閉→居室確認・寝具検討→食堂確認、日中の過ごし方、家事の有無→トイレ出入り、後始末→脱衣所、浴室、着替え、入浴動作確認

 

・まとめ、決まったこと、決まらなかったこと。

 

・シミュレーション通りとはならないことも。当日ゆとりをもって、観察や他職種に依頼できれば。準備してこだわりすぎず。わかっててももっといいプランはないか、など。

 

・賞状、飾ってあるもの、写真、ペット、価値観をみたり

 

・自分の意見にこだわらず最良の結果を導ける。本人や家族に本音を聞ける余裕が生まれる。

 

◇退院前訪問 流れ

・誰?何ができるの?今日の着地点は?何を期待されているの?、今日誰が仕切るの?

→病院側で司会してもいいが多職種にもふっていく

 

①挨拶をしっかり、どこの誰で、何ができるのか挨拶と自己紹介。

②今回の目的と課題、流れを共有。全体像とゴールを共有しないとバラバラな各論に陥る。段取りを

③何の課題を解決する手段かを共有し、ブラッシュアップを依頼する。手すりをつける→立ち上がりしやすくするには?

④本人、家族、多職種に本当にこれでいいか確認する。これが最良な案と感じているか、本音を引き出す

⑤決まったこと、決められないことを確認。一度にすべては決まらない。生活して決めること、フォローを決める。

 

・周辺環境をみて価値観を感じたり。道具みたり。

 

・退院前訪問終了後、翌日から多職種が動き出す。ケアプラン作成、住環境整備の見積もり、発注・施行・・

 

・報告書は翌日までに提出がベスト。当日30分以内の作成。報告書はまとめ、現場で話したことを忘れないメモ。当日は思い出す作業がないので、一番早く作成できる。

 

・報告書は決まったことと課題と役割分担を明記。家全体の平面図は不要。誰が知りたい?必要な図面は建築業者が描く。実際の写真に手すり、高さ、長さなどを明記。複数案がある場合は、誰と何をいつ検討してほしいのか明記。退院後のフォローは、誰が、何をするか、改めて記載。

 

 

◇課題

・病院と在宅の連携期間がほぼない。退院1か月前に介護保険申請+ケアマネ決定、退院ギリギリに会議。

 

・時間がないから現場で引継ぎできない。情報伝達は病院視点の書類のみ、現場見れず双方向性に欠ける

 

・安全最優先の過剰な住宅改修の提案。転んでいない病院の環境を提案しがち

 

・退院時、フォロー体制が不明確。病院と在宅の役割が不明確。時間がないから病院がやり過ぎの傾向に。

 

・在宅と病院の感情的な衝突。在宅の先輩が病院の後輩を指導する構図。後出しじゃんけん→

 

 

・わかること、わからないことが明確で、多職種にフォローの依頼ができるように。ケースの振り返りなど

 

・変えること=情報収集、退院時訪問を非接触、オンラインで