◇適合ポイント

①リクライニング・ティルト構造の選択

・頭部を自力で支持できるかどうか。自走できる構造は駆動性と安定性を両立させる必要があり、ある程度のところで妥協が必要。

 

・座面変換車椅子を折りたたみ式にした場合、リクライニング機構をのぞき座面の高さが高くならざるをえないため、立位・移乗時は座面高の確認をする。

 

 

②座面の大きさ

・シート幅を決める。

 

 

 

・シートの奥行きは、円背や仙骨座りに関係して寸法が異なる。基準は座底長−3~5cm程度。

 

③シートの高さ

・移乗のしやすさ、足操作のしやすさ、座りやすさに影響する。

 

 

・低過ぎるシートは滑り座りの原因となる。また立ち上がりが難しくなるので注意が必要。操作のしやすさと立ち上がりやすさを評価。

 

④バックサポートの高さ

・適正な高さは肩甲骨下端よりも低くし、肩甲骨の動きを妨げないようにするのが基本だが、高齢者の場合、操作することより座る機能を重視してもよく肩甲骨にかかる高さでもいい。

 

⑤アームサポートの高さ

 

・頭部、体幹上部のアライメントに影響を与える寸法。高さ調節できないものは、クッション高と高めたり、肘掛け用のパッドを追加したり調整する。

 

⑥手押しハンドルの高さ

 

⑦その他オプションの選定

・オプションにより重量増加、故障機会の増加、価格の上乗せというデメリットがあるので注意。

 

⑧ベルトについて

・安全確保として使用は有効だが、心理的ストレスを与えるような使い方や、拘束目的の使用はできない。足部ベルトは、足に筋緊張や痙攣があり不随意に動く場合などに使用。

 

 

◇点検

①空気圧の確認

スローパンク状態になってないか。

 

②異音の確認  

がたつきないか、など

 

③駐車用ブレーキ  

フットプレートをあげて車椅子に座り、アームサポートを両手で握り、後ろ方向にプッシュアップして立ち上がったとき、車椅子が後ろに逃げないか確認。

 

④制動用ブレーキ

ブレーキレバーを握り、車椅子を前後に動かしタイヤが固定していることを確認

 

⑤ねじのゆるみ

折りたたみの場合は、2,3度折り畳み動作を行い、開いた状態で押してグリップをもって左右に捻じるなどして、不自然なガタツキや歪みがないか確認

 

⑥ワイヤ部

制動用ブレーキや角度調節用のワイヤがある場合は、それぞれの動作部(レバー)を握って動作が十分に行えるか確認。

 

 

 

〇臥位の評価

①股関節 腰椎部に手やタオルを入れ、腰椎の軽度前弯を支持。そこから両股関節を伸展・屈曲する。可動域制限があれば骨盤後傾代償が生じる。腰椎部への手の圧迫で感じる。骨盤後傾が生じ始める肢位での背と大腿の間の角度が背座角(リクライニング角)となる。

 

②膝関節

・ハムストリングスを介して骨盤前後傾に影響する。多くの人は短縮している。股関節をある角度に固定したまま膝伸展するとハムストリングスが緊張して骨盤の後傾が生じる。膝屈曲するとハムストリングスは緩み、骨盤前傾は保たれ、腰椎前弯は維持される。

 

・フットサポート位置を後方にして、膝関節屈曲位にすると、ハムストリングスがゆるみ、骨盤中立位→前傾しやすくなる。

 

・座位で体幹の安定性がない場合は、膝関節を伸展位として、骨盤後傾させ、せにもたれかかるようにして体幹安定性を得ることもある。

 

③足関節

・無理のない最大背屈位とし、足底支持板は足裏が広く接するように設定。尖足ある場合は、足底部と足底支持板の接触面が小さくなり、足裏に褥瘡が生じやすくなる。

 

◇制度