◇基礎知識

・そもそも人間は座るのが苦手な動物だった。立つことに特化して進化した。

 

・四つ足動物は手と腕を使って安定を図る。

 

・不良座位とは?身体能力の低下・道具のミスマッチ・人間は座るのが苦手

 

・目的もなく、自らの座位姿勢を変化させることができずに従重力的に座り続けること

 

・身体機能が落ちると座れなくなる。骨盤の前傾が必要。結跏趺坐(前傾10°)、正座(前傾0°)など。

 

・道具のミスマッチ。単純な色の好みとか、デザインだけなどで選ばないように。

 

・骨盤の傾きが姿勢を変える。骨盤の前後傾をみていく必要がある。

 

・ダブルS字カーブ→C字カーブ。骨盤後傾と脊柱後弯セットに。台の上の骨盤は後傾する。後傾を防止する装置として骨盤サポートを置く。アップライト姿勢に近い脊柱カーブを維持し、頭部を適切な位置に保持を。

 

・立位ではS字カーブ。座面に座ると骨盤は後傾していく。そうなると脊柱はC字カーブ(円背)になっていく。

 

 

 

・そのまま円背で座って、顎が突出したりしてむせやすくなったり。

→骨盤後傾を防止する装置が必要。骨盤後傾しないようなサポートが必要。アンカーサポート(くぼみがあるような)で前に滑らないようにしたり。

 

・立位(アップライト)に近い脊柱カーブを維持し、頚部を適切な位置に保持する。

 

・バックレストもみていく。いかに安全に背中を支えるか。

 

 

 

◇3つのチェックポイント   臥位と座位をみて、道具の適応へ。再評価

・タオルシーティングでデモンストレーションして、長くはタオル使用しない。できればクッションで。シーティングしたあとに、1週間後など日付を決めて、褥瘡の状態などを確認していく。

 

①クッションと膝裏の間  シート前端~膝裂隙(奥行きの目安)

・1横指以下:座面が大きい。2・3横指:best。3横指以上:滑り出し座位

 

②座面と太ももが接している部分  大腿後面(フットレストの目安)

・タオルが通らない:フットレスト低い。タオルが抵抗なく通る:best。隙間が目立つ:フットレストが高い

 

③バックレスト上端(骨盤サポートの有無)

・指が通らない:骨盤サポート効果なし(背中が食い込んでるような形に)。2横指通る:best。隙間が目立つ:押し出されている。

・シート奥行き。身長175cm≒40cm。150cm≒35cmという設定。大きい人が小さい椅子に座ると・・小さい人が大きい椅子に座ると・・・

 

 

◇シーティングの3ステップ

①臥位の評価(特に大事)

・プラットホームの面から大腿骨と平行に、膝裏までの長さを測る。大腿長。

 

・下腿の長さも測る。膝裏から踵までの長さ(靴の厚さも足していく)。下腿長

 

・シートの奥行きはと大腿長は必ずしも一致しない。足漕ぎを目的する場合など

 

・背座角を測る。(背中と膝裏の面、リクライニング角度)。180°から股関節屈曲角度を引く。仙骨面が浮かないところまで。骨盤の代償起きない範囲で。左右で悪い方を基準に。ASISのラインと肩峰ラインの関係はどうなってるか。

 

・股関節屈曲90°いかない人が直角に座るのはできないためずり落ちたり。

 

・臥位の評価(前額面)。骨盤を基準とする。体軸に対し両肩峰線は?どこにサポートを入れたら改善得られるかなど。

 

・臥位の姿勢を写真に撮って、90°起こすとイメージ湧きやすい。

 

②座位の確認

・単に正面だけをみても、捻じれの影響はみれない。臥位で骨盤や仙骨面など傾き、回旋などみていく。タオルなどで緊張が緩和したりするかなどみたり。座位だと不安など情動面の要素も影響しやすいこともあり。真上からも水平面をみる。へそに着目して写真を撮ると比較しやすい。

 

③用具への適応

・リクライニングであればティルトや角度は?座位の確認して、問題あれば臥位の評価へ戻る。

 

〇クリニカルリーズニング

・高齢者の主な困難事例として、滑り座り、横倒れ、おじぎ座り(下向いているような状態)がある。

 

①滑り座り

・現象に対する工夫。タオルをどうまとめていくか。ロールして積み上げてもフィットしづらい。楔型にしていく。埋めるスペースに合うような形にしていく。

 

・タオルシーティング。バスタオルくらいのものが丁度いい。120cm幅を三つ折りにすると40cmくらいに。車椅子のよくある座面40cmに合わせやすい。枕カバーなどを利用したりしてまとめたり。失禁対応としてはあらかじめビニールで包んでおいたり。

 

・骨盤サポートだけでなくアンカーサポートもセットで必要。座面のカバーの下にいれてみる。

 

②おじぎ座り

・ハムストが短縮しているような人の場合は、足を下ろす位置を確認。ハムストがゆるむ位置に。フットレストに乗せるのか、膝を曲げた方が安定することも。

 

・シート奥行き(小柄な人)、背座角(股関節屈曲制限)、フットレスト(ハム短縮)、アームレスト(上肢重)などの不一致。

 

・膝の屈曲拘縮か足関節底屈拘縮か。

 

③横倒れ

・片方の骨盤後傾、傾いている方への脊柱回旋、側屈、歪んだ側の坐骨の滑り出しなど。

 

・骨盤後傾、左傾すると下部脊柱は左凹に回旋しながら左側屈する。脊柱は捻じれが生じ痛みを感じる。

 

・倒れた側に、座面の下にタオルを入れて持ち上げると見た目まっすぐになるが。。。倒れた側の脇腹を痛がる可能性はアリ。脊柱と骨盤の関係は解消されてないため捻じれは消えない。

骨盤以外は捻れが解消されず、更に挿入された側に立ち直るため側屈が強まり、疼痛も悪化する。

 

・歪んでいる方にいくつかのパーツを差し込む。骨盤が倒れている方向にタオルなどサポートを非対称にいれてみたり。

 

〇評価例

・大腿長−2横指=座底長=シート奥行き  大腿骨に沿って。

・下腿長+靴底厚=フットレスト高     下腿骨に並行して

・背座角の測定。仙骨面を浮かせないように。骨盤が後傾しないように純粋な股関節屈曲をみる。

 

・背ベルトの位置関係。ベルト調整について。一番上は好みの張り。上から2番目の腰椎上部:胸郭を下支えする3番目に重要。上から3つ目の腰椎サポート(L3~4)2番目に重要。骨盤サポート部分が一番大事。一番下の殿部下部ベルトはあまりしっかり締めない。

 

・すべてのベルト上端に2横指が滑らかに入るように。ベルトを締めることよりも、緩める勇気が大事。

 

・微調整の際、コミュニケーション難しい場合は、お腹に手をあてて、腹式呼吸みたいに動くようになればいいかも。呼吸をみていく。

 

・背布とベルトの間が2横指くらいあるかみつつ。すべてのベルトが均等な指通りになるように微調整。アンカーをつけている状態でみていく。アンカーも趾、1,2本くらいを目安に。

 

・骨盤を安定させると、下肢筋群の緊張は改善していく。頭の重さが坐骨に乗るようなイメージで調整したり。膝屈曲拘縮強い場合は、座面下に足置き置いたり。

 

・誤嚥性肺炎の予防につなげられるか。咳嗽力や嚥下障害について。呼気量、肺活量はどうか。おじぎ座位では嚥下が進まず疲れやすくなったり。

 

 

・座位と頭頚部のアライメントについて

・骨盤が後傾すると、脊柱円背し頚部前方突出してくる。そうなると咽頭アライメントが崩れてく。

 

・頚椎により食道圧迫、入口狭小化。舌骨が動かなくなるなど。咽頭と食道を結ぶ線に対し気道への角度がついていると、誤嚥しづらい。

 

 

・姿勢の安定とチェックポイント。軽い頷き、脊柱伸展、骨盤挙上・・・・

 

・カンペル平面。若干前下がりだと口の中のアライメントがいいとされる。

 

・不良座位と褥瘡=(引張応力+剪断応力圧縮応力)×時間。褥瘡はズレ力によって起こる。

 

 

・ポリヴェガル理論(多くの迷走神経)

 

・上肢機能と座位姿勢の関係も見たり。胸椎過屈曲→肩甲骨外転、下方回旋、挙上、肋骨下制、前方回旋、顎前突。

 

・脳卒中early sittingの有用性。早期座位で、3か月後のBI改善が良好との報告。体幹機能アップによる歩行やADL獲得が高い。

 

・タオルなどの差し込みは永続的に使うのでなく、微調整で効果がある場合に、モジュール型車いすなどの提案につなげたりするというイメージ。

 

 

・足漕ぎ事例。片麻痺の方の片足こぎについてなど。特徴として、非麻痺側手がハンドリムを握り込んでいる。ハンドリム前方をちょこちょこタッチ。バックレスト上端に背を押しつけて駆動する。非麻痺側つま先で床を蹴る。上肢駆動が拙劣で、過度に非麻痺側下肢に頼って推進する。駆動を繰り返すと殿部が滑り落ちる。非対称姿勢が強まる。

 

・相対的喉頭位置。オトガイと喉頭隆起上端の距離、喉頭隆起と胸骨上縁間の距離。