転倒に関する評価はいろいろ。病棟内とかで自立にするかどうかは、リハビリの評価にかかっているのでそれだけ責任も重かったりする。

 

 

眠剤はけっこう多い印象

 

 

認知症はかなりリスク高め

 

 

筋力も

 

 

 

・下肢荷重率の測定。2台の体重計の上に歩幅を10cm開いた立位をとり、左右それぞれに5秒間保持可能な最大荷重量を測定し、左右脚の平均値を体重で除した値を算出。院内独歩の自立に必要な下肢荷重率のカットオフ値としては、84.0%(感度:90.9%、特異度:95.8%)が報告されている。

 

・脳血管障害患者では、麻痺側下肢の荷重率を測定。(立位保持が可能な人)。杖や装具などの移動補助具を用いた院内歩行自立には、麻痺側下肢荷重率71.0%(感度:93.3%、特異度:85.3%)がカットオフ値として報告されている。

 

 

 

・歩行補助具の使用には体重の30~40%を上肢で支持することが必要。肩甲帯下制、肘伸展、肩内転、手関節伸筋、手指屈筋群の力なども必要(MMT3~)。これらが不十分だと免荷歩行にも十分注意が必要。

 

 

〇歩行能力

・自由歩行速度、最大歩行速度が遅い人、連続歩行距離が短いなど耐久性が低い人、歩行中に話しかけた時に歩行中断する人では、転倒リスクは高い。話しかけによる歩行中断の有無を判定する評価は有効とされる。

 

・65歳以上の地域高齢者対象の報告。自由歩行速度が1.14m/秒(10mが8.8秒)以下の人の25%以上が複数回の転倒を経験している。さらに75歳以上の地域在住高齢者では、自由歩行速度が0.7m/秒(10m歩行14.3秒)未満の人は、0.7秒以上の人と比較して、その後の2年間における転倒リスクが10.9倍になると報告されている。

 

・我が国の横断歩道の横断には最高で1.0m/秒以上の歩行速度が必要とされている。そのため屋外活動を行う人では安全で余裕のある屋外歩行の指標として1.0m/秒以上を有するか否かが目安となる。

 

・高齢者では歩行により疲労した状態で転倒リスクが高くなると報告されている。そのため耐久性の評価も大事。対象者の生活で必要となる歩行距離や歩行時間を確認し、少なくとも必要な歩行を実際に行い、ふらつきなどなく可能か否かを評価する必要がある。

 

・会話しながらの歩行で歩行中断する人は転倒リスクが高い。意図的に話しかけて中断する場合、転倒の有無について感度は48%、特異度は95%、陽性的中率は83%、陰性的中率は76%で判別可能とされる。

 

・BBS。45以下は転倒リスクが高いとされる。36点以下では日常生活動作が自立した高齢者でも、ほぼ全例で過去6か月間に2回以上の転倒歴を有していたことが報告されている。得点が1点減少するごとに転倒のリスクが3~8%上昇する。

 

 

・TUG。基準値は、神経学的な問題のない人は10秒以内、屋外外出可能な人は20秒以内、起居動作などADL動作に介助を要する人は30秒以上とされている。転倒予測のカットオフは13.5秒。測定での肘掛椅子の座面高が44~47cmであれば結果に影響を及ぼさないという報告あり。

 

 

 

・FRT。肩幅に足を開いた立位を保持し、利き手の肩関節を90°挙上。挙上した側の手指を軽く握り、第3指中手骨の末端の位置を目視にて開始地点を読み取る。壁にもたれかからず、対象者の肩峰の高さに水平に固定した定規に沿って可能な範囲で上肢を前方に伸ばす。BOSを変えずに最も遠くまで到達した終了地点を目視で読み取る。その移動距離を記録。

 

・高齢者では15.3cm未満で転倒リスクが高くなる。25.4cm以上の高齢者と比較して、FRTが0cm(測定困難)の高齢者では6か月間における複数回の転倒発生率は8.07倍、同様に15.3cm未満では4.02倍、15.3~25.4cmでは2.00倍となる。

 

 

・FSST。転倒予測のカットオフ値は15秒。途中でバランスを崩したり杖に触れてしまった場合は再計測。特徴は高さ25mmの段差をまたぐステップ動作を含むこと。一般的な和洋室の床段差は10~40mm程度であり、転倒理由として多い段差つまづきを想定したスクリーニングに有用。ただし、移動の順番を覚えるなどの認知能力が必要で、検査自体が転倒の誘因となりうるので高齢者には難しい場合もある。

 

 

・タンデム立位での20秒程度の保持、閉眼閉脚立位での30秒間の立位保持能力は屋内歩行の目安になる。高齢入院患者において歩行自立のための片脚立位時間のカットオフ値は3.2秒との報告あり。

 

・転倒発生率との関連を見た報告では、タンデム立位が10秒できない場合の陽性尤度比は2.0、2mのタンデム歩行ができない場合の陽性尤度比は2.4とされている。

 

 

 

・SPPB。12点満点。0~6点が低パフォーマンス。7~9点が中等度パフォーマンス。10~12点が高パフォーマンスに分類。地域在住高齢者対象の転倒発生率の調査では、10~12点の高齢者と比較して0~6点の高齢者では、転倒発生率が男性で3.82倍、女性で3.46倍であったと報告されている。また女性では7~9点の高齢者でも転倒発生率が2.03倍であり優位に高くなることが報告されている。

 

 

フレイル、サルコペニアも問題とされている

 

 

 

評価項目は沢山あるので、なんとなく全部とろうとするけど、あくまで評価に過ぎないし、点数だけつけてもあんまり意味がない感じ。

 

いくら点数よくても危ない感じの人もけっこういるし、逆にカットオフ下回ってても歩行補助具使うと一気に安定する人もいるので何とも判断しづらい。

 

またバランス評価も難易度高いのもあるし、時間かかるのもあるので、評価自体にリスクが伴うことに注意しないと、余計なケガを招くことになり得たりする。その辺は患者さんに合わせて臨機応変に変えていくといいかもしれない。