ざっくり、殿筋、大腿、下腿でもいいんじゃないかと思うこの頃

 

 

 

 

・階段昇り動作では下肢筋が関節の動きを同じ方向に働く。下段の足関節は底屈モーメントを発揮しながら底屈し、上段の膝関節は伸展モーメントを発揮しながら伸展方向に関節が動く。正のパワーで求心性。このときは生理的なエネルギーが消費されるので心肺機能にも負担がかかりやすい動き。

 

・降り動作では、下肢筋が関節の動きと反対方向に働く。負のパワー発揮なので生理的エネルギー消費は比較的少ないが、筋が伸張しながら収縮するため筋自体の負荷は大きくなる。

 

 

・昇りは身体を前上方に持ち上げる役割がほぼ同時期に行われる。両脚支持期の間で重心を前上方に持ち上げるために下段・上段の足の床反力が上方向に大きくなる。路面の幅にもよるが、階段の床反力前後方向成分は平地歩行より小さい。

 

・最初に下段の床反力ベクトルが前上方に向けて大きくなり、足関節前方を通過。このとき下段足関節には求心性底屈モーメントが発揮。ついで上段の床反力ベクトルが上後方に向けて大きくなり、膝関節後方を通過。このとき上段膝関節には求心性伸展モーメントが発揮。

 

 

・降りでも同様に両脚支持期となり、ブレーキをかけながら重心を前下方に降ろすために上段・下段の床反力が大きくなる。昇りと同様に床反力前後方向成分は平地歩行より小さい。

 

・降りの動作は2通りあり、上段の片足支持期後半に重心をその足に残してゆっくり重心を下降させるパターンでは、上段の負担が大きくなる。逆にこの時期に重心を前方に投げ出すパターンでは下段の負担が大きくなる。

 

・昇りの方が生理学的エネルギーが必要だが、昇りと降りに必要な関節モーメントはほぼ同じといえる。

 

 

・急な階段では蹴上げが高くなることで関節の屈曲角度をより大きくする必要がある。筋も大きな仕事が必要。普通に昇ると重心の加速度が大きくなるため床反力が大きくなり、足関節底屈と膝関節の求心性伸展モーメントが大きくなってしまう。

 

・体幹前屈角度を大きくしてCOGを前方に変位できる。このとき身体重心は股関節から遠く、膝関節からは近い位置に移動。これにより膝関節の伸展モーメントを軽減、股関節の伸展モーメントでその分を補ってもらう。

 

・一般に股関節周囲筋は膝関節周囲筋より大きいため大きい力が発揮できる。ただし、体幹前屈角度を大きくすると股関節伸展てモーメントに加え、腰部伸展モーメントも大きくなるため注意が必要。

 

 

・急な階段の降りでは蹴り上げが高くなることでCOGを大きく下方に降ろすことが必要。緩やかでは体幹後傾で行うことで、上段下段の床反力ベクトルは股関節近くに位置するが、膝関節から離れ、昇りより膝関節伸展モーメントが大きくなる。

 

・急な階段では膝関節を深く屈曲する必要があるため、膝関節伸展モーメントを軽減するためにわずかな体幹前傾がみられやすい。ただ大きく体幹前傾するとCOGが前方に変位して前足の足部BOSから出てしまい、転落する可能性があるため注意が必要。

 

・また斜面が急で路面も狭いと、前足部をしっかり接地して足関節底屈モーメントによって身体を下方にゆっくり降ろすことが難しくなり、膝関節伸筋の負担はより大きくなる。

 

 

・2足1段では、健側に、上段膝関節の最大伸展モーメントを発揮させ体を上方に持ち上げられる。ただこのとき患側足関節求心性底屈モーメントにより重心を前上方に持ち上げる役割が十分できないので、上段膝関節にはより大きな負担が生じる。

 

 

・降段では、上段膝関節は最大の遠心性伸展モーメントを発揮し身体を下方に降ろす。2足1段では健側に担わせられる。;ただ患側の底屈モーメントと膝関節伸展モーメントの衝撃吸収が十分できないので、重心を上段に残したままゆっくりと時間をかけて膝関節を遠心性収縮せざるを得なくなり、上段の膝関節にはより大きな負担が生じてしまうため注意。

 

 

・降り動作では十分膝屈曲できず棒状に固めて行う人もいる。速く降りるときには階段の踏面でなく段鼻に足部をつくことが多くなる。階段の段鼻に足部つくことで、足底と段鼻の間で大きな後ろ方向の反力を生じる。ブレーキとして身体に働く後ろ方向の反力ベクトルは膝関節後方を通過しやすくなるため、膝は屈曲方向に曲げる力を受けて曲がりやすくなる。

 

・大腿義足の人が階段を降りるときにわざと足部を段の先の方に設置させて降りる場合がある。これは大腿義足の膝には屈伸をコントロールする機能が備わっていないため、足部のつき方で降段時の膝屈曲をコントロールしている。

膝疾患でも同様の動きをすると膝屈曲促すのにいいが、段鼻と足底という狭い接地面で動作を行うことになるため、足を滑らせて転倒しないように注意が必要。また膝関節伸展モーメントによる遠心性収縮が適切に行えないと膝折れを起こすこともあるので注意が必要。

 

 

 

・杖をつくとBOS拡大できる。杖先は1段上につかないとならない。杖を使用する場合昇降は2足1段が原則となる。昇りなら上段についた杖から生じる上方向の反力により、前足膝関節の重心を前上方に持ち上げる役割の助けになる。

 

・降りであれば下段についた杖から生じる上歩行の反力により健側である後ろ脚膝関節により重心を下方に降ろす役割の助けとなる。

 

・また杖を前方につくことで体幹前傾しても腰部負担が軽減できる。そのため体幹前傾しやすくなり、膝関節伸展モーメントも軽減できる。平地歩行より大きな反力が杖にかかるため上肢機能や杖の種類を考慮する。

 

 

・昇りでは手すり把持して、肘関節の屈曲筋や肩関節伸筋によって後ろ下方向へ引くことで、その反作用である前上方への反力を推進力として利用できる。これにより体幹前屈角度を減少させ、股関節・腰部の負荷を軽減して昇れる。また前上方向への反力が膝伸筋と足関節底屈筋の求心性収縮により、重心を前上方に持ち上げる役割を補助する。

 

・降り動作では、手すりを引かず、肘関節伸筋と肩関節屈曲筋で前下方に押すように使用すると、後ろ上方向の反力を生じさせて膝関節と足関節底屈筋の遠心性収縮による重心を下方に降ろす役割を補助できる。また体幹前傾しても腰部負担はそれほど増えないので楽に前傾できる。膝関節伸展モーメントも軽減できるので有効。

 

 

・膝折れ生じやすい場合、膝伸展モーメントを大きくせず、股関節伸展モーメントを利用。補助として、膝関節中心が前方へスライドしないように前方から抑える。膝関節を中心として大腿が前方へ回転するように骨盤を前上方へ回転させる。坐骨を下方から支持し、骨盤を前上方へ押し上げるようにする。このとき体幹前傾すると坐骨が後下方へ押し出されてしまうので、、

 

①手すり等を使用し体幹を正中位に保持する。②お尻を締めるように力を入れるよう口頭指示する。と股関節伸展モーメントが働きやすい。

 

 

・降り動作は恐怖心生じやすいため、体幹前傾し骨盤を後方へ引いたまま降りようとする。このままいくと下段下肢への重心移動が十分起こらず、BOS後方へ重心が残ったままになり、しりもちついてしまう。

 

・介助の場合、前側方に立ち、①先に降ろした足が接地した後、骨盤を後方から軽く押し出し、両脚支持期に重心が前方へ十分移動するように介助する。押し出す力は軽くで、先に降ろした下肢の足部まで骨盤位置が移動するまで介助。手すりを持つ場合、先に降ろす段の少し前を持つよう指示し、両足支持期では少し手を手前に引くように指導すると、重心の前方移動が起こりやすい。

 

 

・上段下肢の膝関節屈曲角度が増すことで痛みが生じて降段困難な場合、、①踏面の前方に底屈位で足部を接地。②上段下肢の膝関節屈曲時に骨盤を前方へ移動させることで、屈曲角度や伸展モーメントを減らせる。

 

・上段下肢の負担を減らすためには下段にある下肢の補助が必要。

 

 

 

 

階段昇降はかなり負担のある動作だが、2足1段とか手すり使用すればなんとかなる人多いので、あんまり動作獲得に固執せず進めても良さそう。筋トレとしても使えたりする。