軽く評価から。

 

◇術前評価

・疼痛部位はどこか,どのような関節運動で疼痛が生じるか,やROM,筋力評価を行う.現在の歩行様式,歩容,距離を評価し,いつ頃からそのような歩行を続けているかを確認する.

 

・Schurmanらは,術後可動域の予測について,術前の屈曲可動角度,年齢,診断名,extension lag,術前の脛骨大腿角度の5項目の必要性を報告している.

 

・また,市橋らは術後の機能予測について,術前のバランス能力,全身持久力,筋力の評価の必要性を述べている.

 

 

 

○術後評価

・一般に,①疼痛(VAS),②膝関節可動域,③膝屈伸筋力,④大腿周径,⑤日整会OA膝関節評価点数(JOA score),⑥歩行スピード,などが評価されている.

 

・他にも最大1歩幅,片脚立位(開眼),椅子からの立ち上がり回数(筋持久力),6分間歩行,TUG,FRTといった評価も行っていく.

 

・手術侵襲による炎症症状に伴う安静時痛と,筋・腱の癒着部を剥離したことに伴う運動・動作時痛がある.軟部組織の痛み対しては,術直後よりアイシングを行う.愛護的なストレッチとリラクセーションから開始する.過剰な努力をさせない.

 

術中ROMが目標ROMとなるため,術者からの情報収集を行う.

 

・術中の出血量を確認し,術後の貧血(Hb),炎症反応(CRP)の状態や,感染(WBC),DVT(D-dimer)の有無を確認し理学療法を開始する.

 

 

 

 

〇クリニカルパス

 

TKAに関してはどの病院もおそらくクリニカルパスに沿って進めていると思われる。

 

ただすべての症例に適応するわけではないので、注意は必要だろう。それでもおおよそ4週間で退院が目標とされる。

 

 

 

・術前は膝関節ROM訓練,大腿四頭筋の強化,患側肢を膝装具にて伸展固定した状態での松葉杖(持ち上げ型歩行器)歩行練習,車椅子移乗練習,DVT予防のための深呼吸や足関節底背屈自動運動の指導などを手術前日までに行う.術後早期に開始できるように予行練習として行う.

 

・リハ室での膝ROM訓練はCPMを使用しない場合が多い.膝周囲の熱感が強い場合はROM-ex前後でアイシングを行う.筋力強化はSLRや等張性膝屈伸運動などを中心に行う.

 

・歩行練習は全荷重より開始する.疼痛自制内の範囲で部分荷重より開始する.術後2週間は膝装具装着にて膝伸展位での歩行練習を行い,抜糸後(術後2週)歩行時に膝折れがなければ膝装具を除去する.

 

・退院前にはADL指導として,階段昇降・床からの立ち上がり,入浴動作などを練習し,必要な場合はシャワー椅子の購入など,介護保険の利用方法の説明を行う.

 

 

 

実際にDVTになった人を見たことはないけど、一定数いることはいるらしい。Dダイマーはチェックした方がいいだろう。

 

 

 

ざっくりしてるので、具体的に何をすればいいのかわからないというね。とにかく1か月で退院だ~なんて感じだけど、実際うまくいかないことも多々ある。

 

痛みが長引いたり、1か月じゃADL動作が獲得不十分だったりすることも。多くは家庭環境、家族の介助が得られるかとか諸々の要素が絡んでくる。すぐ退院しても廃用が進みそうなら、もう少し伸ばして体力しっかりつけてからってパターンもあるし。独居であれば全部一人で行えるくらいまで身体能力を改善させる必要がでてくる。そうなると単純に1か月でハイ終わりとはならなかったりする。

 

ついでに仮に退院したところで、ほとんどの患者さんはROM制限や筋力低下したまま帰るわけなので、外来リハビリに移行することが望ましい症例が多い。まあ最終的に決めるのは本人なんだけど。通うのが難しい高齢者の人などは、無理する必要はないだろう

 

クリニカルパスも施設によって違うだろうし、最近のはどうなっているのやら。あくまで参考に過ぎないことは忘れずに。