◇栄養血管について

・骨折時に栄養血管が損傷されると骨への血液供給が不十分となり,骨壊死を引き起こす.

 

 

 

・SRAとIRAは主に大腿深動脈から分岐した内側大腿回旋動脈由来であり,内側大腿回旋動脈は外側大腿回旋動脈と動脈環を形成する.

 

・SRAは分岐した後,大腿骨頭の後外側の皮質骨上を上行,IRAは大腿骨頚部の内側皮質骨と平行に走行する鞘状のWeitbrecht支帯内を通過しそれぞれ骨頭内に進入する.

 

・TAは閉鎖動脈寛骨臼枝から分岐し円靭帯内を貫通し骨頭内に進入する.Garden分類ⅢやⅣのように骨折転位が大きくなるとSRAやIRAの血行が途絶され,骨頭壊死やLSCを合併する可能性が高くなる.

 

 

 

 

・大腿骨頭の栄養血管としては,骨頭の外上方2/3の領域を栄養するSRA,内下方1/3の領域を栄養するIRA,円靭帯付着部の小領域を栄養するTAの3本が存在する.大腿Aより分岐した大腿深Aは,内側大腿回旋Aと外側大腿回旋Aを出し,IRAは内側大腿回旋Aより分かれ頚部へと進入する.TAは閉鎖動脈寛骨臼枝より円靭帯内を貫通し骨頭へと進入する.FNFの骨癒合は,この中のSRAとIRAが存在しているか否かにより決まる.

 

 

・FNFではSRAとIRAが断裂することで,大腿骨頭への血行が障害される.SRAとIRAの断裂の程度を予測するためにGarden分類が用いられている.

 

 

・しかし,StageⅢと判断されても実際はSRAとIRAの両者が断裂していることや,StageⅣでもIRAが残存していることもある.

 

 

 

 

・これに関して佐藤は,StageⅠ・ⅡとStageⅢ・Ⅳの間では大腿骨頭の血行に有意な差を認めたことから,骨折型を4型に分類することはあまり意味がなく,StageⅠ・Ⅱを非転位型骨折,StageⅢ・Ⅳを転位型骨折と分類し,治療法の選択に用いた方が実践的であると報告している.

 

 

・また,稀にIRAからSRAへの吻合が存在する場合や,大腿骨頭靭帯・動脈が異常に広い範囲を分布して骨頭が壊死を免れることがある.

 

 

 

◇股関節について

・股関節は臼状関節で,大腿骨頚には頚体角と前捻角が存在し,寛骨外側面にある寛骨臼は前外側に傾いている.

 

 

・大腿骨頭に対する寛骨臼の被覆量は,立位(股関節伸展位)では前方で減少し,四つ這い(股関節屈曲・外転・外旋位)では全体を覆い安定する.

 

 

・この被覆量の変化が,大腿骨頭の安定性に影響しているが,関節包・靭帯・筋に補われることにより,ある程度の安定性が保たれている.特に動作時には,筋による安定化作用が重要であり,股関節周囲筋が協調して働かなければ関節運動軸が安定しない.

 

 

・BHAによって関節包・靭帯・筋が侵襲を受けると,股関節の安定性は低下する.後方進入法では過屈曲や屈曲・内転・内旋位,前方進入法では伸展位での外旋で,股関節は脱臼しやすくなる.

 

 

 

・近藤らは,外旋六筋は大腿骨頭の後方移動の制御の他に,大腿骨頭を求心位へ保持するためにも非常に重要な役割を担っていると報告している.

 

 

・外旋六筋は股関節の外旋作用を有するとともに,大腿骨頭を寛骨臼へ求心位に保持する作用を有する.

 

 

・谷埜は,純粋な股関節屈曲すなわち中間位での屈曲を行うためには,大腿骨頭は寛骨臼内を内旋するように滑る運動が必要となると報告している.

 

 

・股関節伸展位では,外旋筋群のモーメントが内旋筋群より大きい.しかし,股関節屈曲により筋の走行が変化すると,この関係にも変化が生じる.

 

 

・股関節屈曲時,股関節後方では外旋六筋の支持により,大腿骨頭は寛骨臼への求心位を保持する.股関節前内側では,中殿筋による内旋モーメントの増加により,大腿骨頭は内旋方向への滑り運動が引き起こされ,安定した股関節屈曲が行われていると考えられる.

 

 

 

・このバランスが崩れ,正常から逸脱した関節運動が引き起こされると,インピンジメントなどの圧迫によるストレスや,牽引や回旋のストレスが関節面に加わり,関節包,筋,腱の侵害受容器を刺激して痛みを引き起こす可能性がある.

 

 

・中殿筋の筋力低下や,その他股関節周囲筋の手術による侵襲のため,股関節屈曲での内旋がうまく行うことができず,屈曲100°あたりで股関節前方に圧迫ストレスが加わり,鼡径部内側の疼痛が出現することがある.

 

 

 

 

 

なんかごちゃごちゃ書いてるが、頚部骨折の栄養血管もやられているパターンが多くて、結局手術が手っ取り早いですね、みたいな感じだ。というか内側骨折で保存の人を見たことがないというね。

 

みなさん派手にやらかしているので、人工骨頭待ったなしという感じで。

 

もともと血流も良くないみたいで、保存にして一生寝たきりになるよりは手術して早く立って歩いた方が、多少痛くてもよっぽどいいと思いますわほんと。

 

だいたい1,2か月すれば痛みの山を乗り切れる人がほとんどだろうし。鎮痛薬で制御もある程度できるしね。転位の恐怖におびえて暮らすよりはとっとと手術って感じだろうか。よっぽどほとんど折れてないパターンを除けば。

 

 

しかしまあこの辺はあんまり関わらないポイントなので、本当予備知識程度でしかない。これがわかったところで別にリハビリの質が上がるわけでもないし。あくまで基本知識にすぎない。知ってたら多少いいねくらいだろう。実際細かいしよくわからんけど。

 

 

 

とりあえずこのへんで。