前編からの続き
宝物
なくなった
チャンスは失われた
母のせいで
チャンスを逃した日
私の異変
対応の悪さ
さすがの母も
父に相談したらしい
父も私に知られないように
ドラクエを探したのだろう
見つかるはずがない
素人ごときに
おもちゃを探す子供は
いわばハンター
狩場のすべてを把握し
わなをはり
獲物がかかるのを待つ
そして
子供ネットワークは
正確
大人はそこがわかっていない
そして
獲物のドラクエがどれだけ難しい獲物か
愚
愚
愚
愚の骨頂
私の怒りも
そして
悲しみも
素人にわかるはずはないのだ・・・・・・
私のすむ町内に
小さなおもちゃがあった
そこは私の行きつけの場所
学校帰り
通学路
家に向かうさなか
よくおじさんが
じゅんちゃんのほしいおもちゃはいったよと声をかけてくれる
私はおもちゃ屋に寄り道し
10円をかりてピンク電話で
自宅にテレフォン
おじさんはおもちゃを完全に私の手に
おじさんおもちゃくれた
わたしは小学生のころから
つけで
おもちゃを購入していたのだ
しかし
今回は
ドラクエ3
何度も近所のおもちゃ屋さんにいっても
おじさんは一言
じゅんちゃんごめんねドラクエは入っていないんだ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やはり
宝物は逃したのだ
無理なのだ
怒りの矛先
それは母
存在自体が疎ましかった
学校で
ドラクエの話はいっそう熱を帯び
ドラクエの持っている子供の家に
放課後集合
みればみるほどほしい
それでも手に入らない・・・・・・・・・・・
そんなある日
近所のおもちゃ屋さんのおじさんが私に向かって
じゅんちゃんこっちおいでよ
店に入ると
ドラクエ3が4本
あまりの驚き
わたしはすぐに
おじさん頂戴といいました
が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
明日くじ引きで買う人決めようと思うんだ。だから明日またおいでよ
おじさんの一言
普段ならいらいらするかもしれない
その時ばかりは
ドラクエ3の現物をみて興奮しまくり
翌日を待った・・・・・・・・・・
抽選の日
普段がらがらのおもちゃ屋さんに
子供40人が集まった
レジ前には
くじ引きのガラガラ
私はくじで当たったためしがない・・・・・・・・
抽選会がはじまり
なんと私がトップ
力いっぱいガラガラをまわすと
赤い球が
おじさんは大きな声で
おめでとうと一言
あたりは
こどもたちのどよめき
私はじたいが把握できないまま唖然
しかし
おじさんからドラクエ3が手渡されると
事態を認識
籤運の悪い私が当てたのだ
宝物を
ドラクエ3を
その事態を目にしていた
私の友人のおにいちゃんが一言
中本 うちの弟ドラクエ結構進んでるからわからなかったらうちにおいで
その言葉
今でも忘れません
人生で
これほど
心に
響いた言葉はありません
私の人生の中で
もっともやさしく
私の苦労を理解してくれた言葉
心のどこかが
緩み
安心
一気に
涙が
今もその時のことを明確に覚えています
そして
この感動を越える物事は
いまだありません