鏡花水月 012  | 猫の瞳に恋してる♪

猫の瞳に恋してる♪

御伽屋 紅
ウニャイテッドキングダム・オブ・フンゴロニャオ
ティア女王さまと執事達の言の葉

ティア=Ti amo
Cat Bureau of Investigation head office CBI
猫の魔法のニャンタジア♪(元祖❤)

= あちらの世界の時代劇 =

 

「おとっつぁん、遠山様から、かつを台が届いたわよ」

てぃあに呼ばれて行くと、

玄関の上りに藁に包まれた初かつをと四角い物千両箱だ。

ふんっ 赤字分の補填だろう。

 

「主から、黒い羊を飼ったので稽古においで下されとの事です」

遠山家の用人は俺を見ると、そういってにっこり笑った。

行かずばなるまい

 

俺は江戸の西側、大木戸の外、内藤新宿から千代田のお城の東側、

両国橋を渡ることにした、

その前に、日本橋の河岸の近所にある、馴染みの唐辛子屋に寄った。

 

そいつを経木に包んだ土産の上にのせ、ぷらぷらと歩いた。

 

本所の遠山景元の私宅でお訪いを乞うた。

 

座敷へ通されて、上座に居る金さんにかつを台の礼を述べた

 

「いぶした鴨を持ってきてくれたって?」

「殿様、好物でしたね?」

「今度来た、黒い羊も好物らしいぜ」

「だから、唐辛子屋に寄ってきましたよ」

「山椒 多めの七味かぃ?」

「もちろん」

 

「じゃあ、ちょいと道場へ行って、ちゃっちゃと済ませてきなぃ」

「わっちの運動は、殿様の飯前の 慰みですか?」

 

「仕方ねえじゃないか、隼人の野郎が、おまぃが約束守らないで逃げた

立ち合いさせないなら、手下に成らねえってんだからさ

その場で片づけてこない、おまぃが悪い」

「いや、あそこでやったら、どっちか死んでますって」

 

「湯ぅ沸かして、こさえておくから、早いところ済ませろや」

遠山左衛門尉景元・金四郎は揉み手をしながら、いそいそと厨房へ歩いて行った。

 

「やれやれ」

俺は忍び装束になり、庭に有る道場へ、

神田やお茶の水あたりの大道場に比べれば小ぶりだが、やたらに天井が高い。

 

丸十藩士 黒井隼人が3尺は有りそうな竹刀を振っていた。

「よっ」

「梅どん、おひさじゃった」

 

こいつの丸十月代は 嫌じゃない

爽やかに感じるのは何故だ

 

「それが、おまぃさんの得物かぃ?」

「竹刀は軽すぎて腰が回らん、本身か木剣じゃいかんだろうか?」

 

「よせやい 斬られる身にもなれ、おまぃら、寸止めがねえし」

 

俺は首一つ大きな隼人と対峙した、

互いに礼をする、

隼人は切っ先を天に向かって立て、

ずいっと左爪先を擦り足

右耳の横で、すぅっと雑巾を絞るように竹刀を締めた

 

竹刀が磨きこまれた床に、からりと落ち

隼人は へなへなと座り込んだ

 

「一体、何を?」

「痛くねえだろ? 俺は腕の良い鍼医なんだぜ」

 

ミクロン単位の銀の針にグラムの鉛の重りをバランスよく着け、

ツボに打ち込むのが俺の手技だ。

 

手裏剣みたいに派手じゃない

 

「これが、乱破素破でごわすか?」

「やっとうで、俺がおまえに勝てるわけもなくw」

 

「あの時、勝負していたら、こうなったでごわすな」

「丸十の侍は胆練りなんかで死ぬことは何でもないんだろう?

庶子の殿様 殺られて命永らえると思わんものw」

 

俺は鍼を抜いてやった。

 

「死にたくはなか、だから、ここへ逃げて来たとです」

「へぇ、あそこの侍にしちゃ、毛色が違うんだな」

 

「白い羊になるつもりはなか」

「なるほどな」

 

「さぁさぁ 酒(ささ)が整いましたよ」

遠山金四郎、モチ、用人、てぃあが膳を運んできた。

 

「かつを かつを♪」

コテ☆ルイが 土佐流に

大皿の上に たたきを山ほど・・・

 

大葉 たっぷり 俺好みだ

 

= 終り =