(画像引用元:filmarks.com)

 

評価: 星星星星(4.0)

 

舞台は東西冷戦時代の東ドイツ。そこでは秘密警察による反体制派の監視と処罰・粛清が当然のように行われていた。

ある日、大学で尋問術の講義も行う査問のスペシャリスト、ヴィースラー大尉は反体制の疑いがある劇作家ドライマンとその同棲相手である舞台女優クリスタを監視するよう命じられる。ドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーはアパートの最上階の屋根裏で、徹底した監視を開始する。しかし、聴こえてくる彼らの世界に、ヴィースラーの心は揺さぶられ、やがて次第に変化していった――。

 

所要時間は138分。エンドロールを除いても2時間超ある。

日本で言う「公安 vs 反体制芸術家」のような構図で

物語は比較的淡々と進んでいく。

緊張と山場はあるけれど活劇などはない。

途中で飽きるかもしれないが、

前情報を極力入れずにラストまで観てほしい。

 

 

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<感想と追記 若干ネタバレあり>

 

星を5つ(満点)にしなかったのは、

・劇作家ドライマンと同棲する美貌の舞台女優の

 立ち位置と葛藤が、いささかぼやけてるように感じられた

・反体制と目されて監視される劇作家が

 出演者中一番のイケメンで争いを好まなすぎなため、

 「ちょっと美化しすぎ?」に思えた

……からである。

であっても、ある種の尊さが感じられる映画なので

高評価にした。

 

・映画の中で、劇作家と女優は結構まぐわう。

二人ともわりといい齢で、一緒に住んでいながら

何故こうもセックスできるのか。食うもんが違うからだろかはてなマーク

 

・複数の映画サイトでは、

「ヴィースラーが‘人間らしさ’を取り戻したのは、

監視対象であるドライマンが弾くピアノ曲に心奪われたから」

的なことが書いてある。

それは嘘である。嘘と言って悪ければテキトーである。

私の見立てでは、

ヴィースラーはまずドライマンと同棲する女優に心ひかれ、

直後、嫉妬とともに

女優と劇作家の愛の巣を監視することになった。

だからこそ彼は二人の修羅場を期待してあの行動をとり、

その結果が‘思ってたんと違いすぎた’ために

羞恥心を呼び起こされ、動揺したのである。

柔らかな高音から入り、

次第に低音を混ぜ込んでいくあのピアノ曲は、

ヴィースラーの動揺と羞恥心を

‘何かわからないけれどその何かを求める心’につなげる

端緒になったにすぎない。

ヴィースラーの転換点はあくまで、

体制を脅かす「悪」であるはずのドライマンが行動で示した

穏やかな愛情と慈しみなのだ。

 

なお、鑑賞後も目に焼きついてた映像は、

好色大臣の白パンツのでっかいお尻と

ヴィースラーが呼んだデリヘル嬢?のでっかいお尻。

私も後ろから見たらこんなケツなんやろかショック

鏡を見てるような気分になった汗

ヴィースラー大尉のそれとは違う意味で、

私も動揺と羞恥心を感じさせられた映画であった。