画像引用元:movies.yahoo.co.jp/
2回観て2回とも同じとこで涙腺緩んだ。
特にあのシーン。
ズルいやないか。
あんなんクライマックスに持ってくるなや
評価: (満点は5つ)
主人公は、
市場の小さな商店を頑なに守り続ける頑固な爺ちゃん。
映画は、その爺ちゃんの、
半生というよりほぼ一生に近い軌跡をたどっていく。
観る前に前情報を入れなくて良かった。
韓国の映画としか知らなかった。
タイトルだけで
‘ベタな下町奮闘物語’と思い込んでたのが
ここでは吉と出た。
アタマぶん殴られたわ Σ
たどりかたは、
基本、時系列なんだけど
エピソードの選び方とテンポがよく、
笑いもちりばめながら
ときおり現在と交差させる構成が巧い。
キャストたちの演技や伏線回収もバッチリだ。
個人的にちょっと苦手な感情表現が
結婚前の主人公の彼女に一瞬だけ、あるにはあった。
だけどそれだけで減点するのはナンカチガウと思い直した。
(初回鑑賞時の評価は上記理由により☆4つだったが、
もう1度観たら☆5つにせざるをえなくなった)
正直言うと、
私は韓国の映画やドラマに先入観を持っていた。
権力闘争や壮絶なイジメ、
身分違いの悲恋や濃すぎるラブストーリー、
複雑怪奇な人間相関図に
怒りや怨念を秘めた復讐劇とバイオレンス――。
ジャンルや舞台設定の今昔問わず、
ヘビーな情念が物語の中心にある、と。
でもそれらは十年以上前に
予告編や人づてに聞いた韓国もののイメージだった。
自分で積極的に観たり聴いたりしなかったから、
その後、短いあいだに
韓国エンタメがどれだけ飛躍的に幅を広げたかについても
まったく疎いままだった。
3月に観た『パラサイト』の感想をブログに書けなかったのは
自分の固定観念では
あの映画の独特の空気を
どう解釈・表現していいか見当がつかなかったからだ。
(あれはキャストを全部ラテン系人種に変えて
ヨーロッパ映画として発表しても通用する物語&空気感だった)
『国際市場で逢いましょう』に、
地を這うようなどろどろ情念は出てこない。
ストーカー的なイジメ屋も出てこない。
手前味噌な愛国表現もまったくない。
主人公は儒教的家族観の下で生きるが、
映画はそれをことさら美化したり
新世代に押し付けようとはしていない。
主人公が国家に忠誠を示す行動にも距離が置かれている。
客観的というか、湿っぽさをひきずらせないというか、
エンタメ作品としての完成度の高さに、私ゃ自分の不明を恥じた。
韓国映画、すげぇ。
以下、ネタバレありの感想
(中身を知りたくない人はスキップしてね)
・衝撃 「ギブミーチョコレート」は日本の幼児児童だけの専売特許じゃなかった
私は親が先の戦争体験者で、自分は体験してなくても何かしら終戦前後の情報を見聞きした世代。わりと早い段階で怖さ辛さが身に迫ってきた。韓国の近・現代史と、日本との類似性の一端がうかがわれて目が離せなかった。
・婆ちゃんの‘年寄り顔’が不自然に感じたが、なんと爺ちゃん婆ちゃんそろって‘老いらく’の特殊メイクだと そういや爺ちゃんの顔、ラバーぽかった(←気づくの遅すぎ)。
・「兄さん、なぜ私を置いていったの」
「手を離してしまって……守ってやれなくてすまなかった」
映画を観ている側は、攻撃を逃れて離岸しようとする船の梯子から妹が落ちたのは主人公が妹の手を離したからではないと知っている。しかし当事者たちは、どちらも幼かったがゆえに、一方は捨てられた思い、また一方は負い目を抱えて生きてきた。
その重さと切なさが伝わる珠玉のセリフである