<画像引用元:福井新聞WEB 2020年3月10日>

福井新聞のWEB上では

「(この記事は3月4日に書かれたものです)」と但し書きがついており、

新聞紙上に掲載されたのは3月6日の27面。

 

 

おととい、埼玉では

「陽性だが軽症」と診断が下されて、

保健所の指示に従って自宅で静養したものの

悪化してそのまま自宅で亡くなられた方がいる。

 

そして昨日は、女優の岡江久美子さんが亡くなった。

ニュースには、

『今月3日に発熱し、

しばらく様子をみるように指示されていたが、

6日朝に急変し、緊急入院していた。』 とある。

岡江さんの場合、抗がん剤治療によって

免疫力が低下していたのが大きいだろうが

時期が時期だけに、

発熱時に念のためのPCR検査だけでも受けられていたら、

3日後の急変を待たずに入院できていたのではないだろうか

 

警察庁によると、3月中旬から昨日(4月22日)までに

全国の警察が取り扱った遺体のうち、

新型コロナウイルスの感染が確認された遺体は

15人だったとのこと。

自宅や路上で倒れていたり、死亡したりした人たちを

病院搬送後に調べた結果、陽性が判明したという。

路上死などの遺体15人が感染 メ~テレWeb

 

 

◆わたしたちは「セウォル号の乗客」なのか

 

PCR検査は、37・5度以上の発熱があり、

かつ胸部X線検査で肺炎の像が認められる患者で、

動脈血酸素飽和度が93%以下の者が受けられる。

しかし感染病対策が手薄で防護服などない病院での診察は

その病院で医療従事者や他の患者に感染させないため、

患者は保健所の指示・判断を待たなければならない。

 

「7度5分の熱を4日我慢して、

 5日目にまだ熱があって苦しかったら保健所に連絡。

 そのうえで、病院で診察を受けてもいいかどうかを

 保健所が判断する。

 なお、海外渡航歴がなく、

 陽性判明者の濃厚接触者でもない一般人に

 PCR検査は行わない」

これ上矢印が、‘医療崩壊’を防ぐため

専門家会議がガイドラインをつくり

多くの保健所が採用している新型コロナウイルス対策である。

 

‘医療崩壊’を防ぐのはまことに大事なことだが、

そのために患者は、受けるべき医療が

すみやかには受けられなくなっている。

つまり‘医療する側’の医療崩壊を避けるために

‘医療を受ける側’の医療をなし崩しにする方策と言える。

これ、どことなくセウォル号事件船に似ていないだろうか。

沈没し始めても、

船内から動かぬよう待機をもとめるアナウンスが繰り返され、

脱出が絶望的になってから

脱出指示のアナウンスがなされる。

「いや、現に病院や介護施設で集団感染が明らかになってるではないか。100の犠牲を防ぐために1や2の犠牲は仕方がない」

と、反論する向きもあろう。

が、‘今の現実’をもちだして反論される方々には

この‘医療崩壊’を防ぐというお題目が

コロナ禍のいつごろから言いだされていたか、

思い出していただきたい。

 


検査対象を絞らざるをえなかったワケ

 

前記事で私は

厚労省も保健所も

何かをにして『検査』対象を大幅に絞った、

そのことにそもそもの大問題があるんじゃないか」と書いた。

 

」は3つある。

うち2つは、

ほとんどの人が小さく、あるいははっきりと批判している

‘東京オリンピックの予定通りの開催’のためと、

‘インバウンド効果含めた景気の維持と高揚’のため

もうひとつは、‘医療崩壊を防ぐ’ため

 

3つめの「医療崩壊を防ぐため」 は、

ダイヤモンド・プリンセス号で感染者が続々出た時から

各種メディアに出演の政治家・閣僚や

「専門家」のみなさんが口にしていた。

ために、自認を含めた良識ある人々の意識に強く刷り込まれた。

だから、良識ある人々は

感染するのも嫌だし、医療崩壊を招きたくもないから、

できるかぎり自衛と自粛を重ねてきた(だろう)。

なのにこれだけ広がった。

その事実をまず直視する必要がある。

最もわかりやすいのは、

オリンピック延期決定の報から

いきなり増えた陽性患者数である。

ここで、「どうして急に増えたのはてなマーク」と疑問に思わない人は

‘事実が見えない’or‘事実を時系列で辿れない’人だ。

 

実のところ、‘医療崩壊を防ぐ’は、

新型コロナウイルスの脅威に合わせて

必要性から出てきた言葉ではなく、

厚生労働省が昨年から強力に押し進めている

「各都道府県の公立・公的病院の統合再編プラン」を

実現するためのお題目にも使われている。