‘映画観たい熱’が収まらず、

上映期間の終りに駆け込みで観た2本。

 

 

【AI崩壊】(そこそこネタバレあり)

<あらすじ>

2030年、日本では医療AI「のぞみ」が全国民の個人情報と健康管理を担うようになっていた。複雑で多岐にわたるニューラルネットワークにより最高高度の学習知能を持つ「のぞみ」は、医療現場の負担を大幅に軽減し、人々の日常生活をも適切な判断と指令で快適なものにしていた。その「のぞみ」が突然暴走、国中がパニックに陥った。警察庁は「のぞみ」の開発者、桐生浩介を犯人と断定し確保に動いたが、身に覚えのない桐生は無実を主張して逃走、警察と桐生の追跡・逃亡劇が始まった。

 

評価は星星星

 

予想外に面白かった。

「似たようなシチュエーションの外国映画の焼き直しだろう」と、期待せずに観に行ったのが良かったのだろうか。

一番は桐生の逃亡劇。桐生演じる大沢たかおの名前と顔は何度もどこかで見たり聞いたりした覚えがあるが、CM以外でその仕事をきちんと見たことは無かった。いい役者だ。顔が普通の「いい男」なので、イケメンや濃い顔より現実っぽさになじむ。

「トップアーティストレベルのAI技術者が、なぜあんなに筋肉質で身体能力が高いのか」については、彼が技術者を退職してからシンガポールでどんな生活をしていたかに描かれてるし、表情含めた芝居がオーバーじゃないから自然に見える。飛び込んだ海でおぼれて救い上げられ、目覚めて海水を吐くシーン~震えながら服を着替えるところなど、上手いなぁと唸りましたね。

2030年段階で進化したAIが人間の日常生活に活用され貢献しているシーンも、現実に進行中の諸々の延長線で納得できるものばかりだから違和感がない。地下深くにある警察庁の秘密のコントロールルームと監視ネット[百眼(ひゃくめ)]の存在も、すでにありえない話じゃない。

 

桐生逮捕作戦の指揮を執る警察庁警備局理事官の桜庭(岩田

 剛典)が漫画的な‘いかにも’な人物

桜庭の対極として描かれる所轄のベテラン刑事、合田(三浦友

 和)が昭和すぎ

進化する技術や体制の反対派描写がいつでもデモ隊と暴徒

警察庁と副首相が絡んだ陰謀案件で、テロ対策の特殊部隊まで

 駆り出されてるのに公安が一切出てこない不思議

……等の気になる点はあったが、

エンタメなのでまぁ許容範囲かな。

むしろ、自律型統合AIの外形を、

わざわざ巻貝の外側をぐるりと剥いた螺旋骨格に模したのが

いささかやりすぎだった感。

上矢印『銀河鉄道999』に出てきそうなマザールームである)

 

ともあれ、概ねは楽しめた。

なのに 星が3つだけなのは

事態をややこしくめんどくさくしたのがまた子ども

AI「のぞみ」に自分がつくられた経緯、初期理念を思い出させて

 暴走を止める発想は悪くないけれど、それでAIが「ルームに桐生

 夫婦の回顧映像を投影しはじめる」ファンタジックな演出

機密保持Sレベル以上の場所に子どもを入れるな、入れるとしても手荷物全部外に出させろ、随伴者は責任とれ。これみよがしにわかりやすすぎるあざとい演出も要らん。

かくのごとく、超個人的な好き嫌い感情が刺激されたゆえなのでご容赦。

 

 

【男はつらいよ お帰り寅さん】

評価は星星星

 

あらすじをつけるまでもないというか。

寅さんはこういう人なんだよ、寅さん映画ってこういうものなんだよと、知らない人に教えてくれる紹介映画。

終盤に、各回のマドンナ登場シーンが走馬灯のように流れる寅さんマドンナ総覧サービスもある。

 

予告編を観て、最後なら一度くらい見ておいてもいいかと思っていたところに、知り合い(『カメラを止めるな』を「くっだらねえ!!むかっ」と断じたセンセイ)から奨められたのがきっかけで足を運んだ。

桑田圭祐が主題歌を歌うのも世代ホイホイだった。

が、やはり寅さんの主題歌は渥美清の声が一番とわかった。映画自体は見たことが無くても耳馴染みのある歌で、いつごろ録音されたものかは知らないが、声に艶と伸びがあった(桑田の歌声は年齢と緊張のせいか艶に欠けていた。全盛期ならまた違っていただろう)。

吉岡秀隆の名前と顔の一致、後藤久美子の演技力等、いろいろ教えてもらったぶんの星3つである。