昨秋、当地の映画館で特別上映されたのに

鑑賞機会を逃してしまった1本と、

漫画原作の続編1本。

および、ついでに借りた1本。

 

もう誘拐なんてしない(2012/日本)…ネタバレあり

これはついでに借りたヤツ。

軽いものしか観たくなかったし、

嵐の大野智なる人物がどういう演技をするのか興味があった。

内容は、

「ヒーロー願望を抱えてくすぶるアラサー男が

テキヤ元締めのおてんばお嬢様に

無理やり狂言誘拐の片棒を担がされる」ドタバタコメディ。

主人公をお嬢様側にすれば、もろ昭和の少女マンガ。

・・・後悔した。

プロローグはともかく、お嬢様と主人公が絡む出だしには

のっけからイライラさせられ、不快極まりなかった。

ベタ。ベタベタ。

大事なポスターを踏まれたまま車に乗せ続けるなんてありえんし、

父親違いの難病の妹の手術代ほしさに

他人に狂言誘拐をもちかける設定は、

昭和時代で時間が止まっているかのようだ。

しかし私は人が良くて気が長い。最後まで観た。

大野智は悪くなかった。

元が地味顔なのに演技してんだかしてないんだか

よくわからん微妙な表情ばかりだったから

「こいつも大根か?」と思ったのだが、

“ふるまい”が実に自然でキレがある。

だもんで、彼がまとう年齢不詳の空気とあいまって

上手い下手を超越した何かを感じさせられた。

強いて言うなら“天然演技”。

顔芸や叫び芸を売りにするタレント役者とは一線を画す。

ただまぁその彼も、

お嬢様のお父上の部下として成宮寛貴が出てきた途端、

中心を成宮に持っていかれたが。

成宮寛貴、重い。持ってる空気が重い。

この人の登場場面だけ異世界であった。

 

 

銀魂2(2018/日本)

ちゃんばら格闘シーンは1作目より盛りだくさん。

殺陣プラン、しっかり組まれたんだろうなぁ。

合成や早回しで

ゴマカシ(特撮・CG処理とも言う)てる部分はたくさんあったけど

異和感なく観られた(=編集スタッフが優秀)。

それにお妙さん(長澤まさみ)はあいかわらずチャーミングで、

桂小太郎とエリザベスコンビの大活躍があって、

銀さんの大家お登勢さんが

上手いと思ったらなんとキムラ緑子で、

何より今回は、

アクションシーンに騙されただけかもしれないが

真撰組の面々がカッコ良く見えた。

近藤勲(中村勘九郎)、

土方十四郎(柳楽優弥)、

伊東鴨太郎(三浦春馬)、

それと真撰組じゃないけど河上万斉(窪田正孝)。

平静心にかえってみれば、

俳優・女優は役柄で人を騙す職業、

今さらながら納得した。

しかしラスト近くで、真撰組内抗争のケリとして行われた決闘、

漫画で見たときは何気なく見過ごしたのに、

実写で出てくると「いただけない」感がした

命のともしびが消えかけた満身創痍の体なのに

五体満足・元気溌剌な相手と

同じ速さでぶつかるなんざありえないってのとはまた別に、

老婆の老婆心的に、

若い世代が主に観るだろうにこれはちょっとマズくね?という…。

10代だったら、間違いなくあのシーンを感傷的にとらえただろう。

感傷は美化とつながりやすい。

『2』は、『1』よりも起承転結と緩急要素がはっきりしていて

原作を知らなくてもそれなりに楽しめる仕組みになっている。

しかし、その出来をホメてしまうと

逃げ場なき私刑の一種であるあの決闘シーンをも

是とすることになるんじゃないか――。

主人公グループである“よろず屋”の面々が

真撰組内部のことどもに無関心に

いつもの日常に戻っていくことで、

原作者は必ずしも“閉じたサークル内の私刑”に

同調的とは言えないと想像できるが、

手放しに「面白かったビックリマーク」とするにはちょっと抵抗が残った。

 

<わかったことと知ったこと>

・私の脳はキムラ緑子を緑魔子と勝手に変換することがある。

・柳楽は「りゅうらく」ではなく「やぎら」と読む。

 

 

カメラを止めるな!(2018/日本)

とあるお医者さん(開業医)、

当地でこれが上映されると決まった時、

周りにさんざん「絶対おもしろい!観たほうがいい!」と

宣伝しまくってたのに、

いざご自身が知り合いや若い子たちを誘って

レイトショーを観に行ったあと、評価一転、

しょーもねえビックリマークむかっ金返せむかっ」になった。

同伴した喫茶店主によると、センセイ(開業医)、

上映が終わって外に出る際、

「くっだらねえ!!」と大声で吐き捨てたそうだ。

私、スプラッターは苦手なんだけども

センセイ(開業医)をそんなに怒らせた映画、

逆にすごく観てみたかった。

例によって、前知識はポスターとチラシの印象記憶のみ。

・・・最初はすごくゲンナリした。

なにこの粗い画質。

なにこのドへたくそな主演女優。

昔の低予算ライトポルノみたいな。

ところがそれは劇中劇で、本筋はそのあと。

『カメラを止めるな!』は、ゾンビ映画じゃなくて、

劇中劇(ワンカット長回しゾンビ映画)の

制作裏(からくり)を見せる映画だった。

トラブルが起きたあと、

現場監督として采配に活躍する「監督役の娘役」のキャラが

熱血体育会系仕切りキャラで、

これだけがどうにも苦手で受け入れがたかったが、

ギリギリの時間制約の中で

裏方のみんながなんとかして作品を完成させようと

工夫し奔走する姿がとても良かった。

主演の濱津隆之が風采の上がらない

だらしなげで気の弱そうな人なのも味になってたし、

監督の妻役、中年のアルコール依存症俳優役、

AD役、それぞれの役者さんたちの雰囲気と役柄も私好みだった。

どうやら開業医のセンセイは、新聞の話題映画記事で

“斬新で本格的なゾンビ映画”を期待しちゃったために

ハズされて激怒したようだ。

内科医なのに肉片飛び散るスプラッター映画がお好きとは、

センセイそうとう日頃からストレスためておられるんだなぁと

同情してしまった。