第9回 2023年10月26日投稿

 

 

【内閣情報調査室】
親子は通常通り出勤した。
加治「勇作、千夏、せっかく再会できたと思って喜んだのに、ほんとに済まない、出来れば俺が変わりたいよ、ほんと」
勇作「俺たちは、人類が皆幸せになるように、神様に命を与えられたので、こうしてゆうかにまた会えただけでも幸せでしたよ」
千夏「そうね」
勇作「そうだ、あと少しだけの時間をゆうかのために使いたい」
ゆうか「何をするの」
勇作「君も魔法が使えるように今から特訓する」
ゆうか「そんなの無理だよ」
勇作「無理じゃないよ、無理だと思うから出来ないのさ」

    「出来ると信じるのさ、やってみよう」
ゆうか「うん」
勇作「それじゃ手を貸して」
ゆうかが勇作に手を差し出す
勇作「目を閉じて」
勇作がフォースをゆうかに移動させた
勇作「目を開けて」
 「まずは、魔法はイメージだ、こうなれとかあーなれとか想像して言葉にしてごらん」
 「そうだな、空中に浮かんでごらん」
ゆうか「うーん」
ゆうかの体がスーと 1m ほど浮いた
勇作「おーかなり筋がいいぞ、初めから出来るなんて凄いよ」
ゆうかが元の位置に戻った。
勇作「ゆうか、自分指がピストルだと思って、あのマグカップを撃ってごらん」
ゆうかが腕を伸ばして狙いを定めて
ゆうか「バンっ」
ゆうかの指の先から弾丸が発射されて、カップが砕け飛んだ。
一同「おー!」
勇作がゆうかの頭に手刀を下した。するとゆうかの周りが光に覆われ、勇作の手刀は弾き返された。
ゆうか「お父さん、凄いよ私強くなったみたい」
勇作「ゆうかは筋がいいよ、なんでもすぐできる」
 「俺はただ、ゆうかの体の中にフォースが貯まる器のようなものをイメージしただけなんだ」
ゆうか「それじゃ、その器に私がフォースを貯めるイメージをすれば、これからも魔法が使えるのね」
勇作「あーそうさ、訓練次第で器はどんどん大きくなるのさ」
千夏「それじゃ私はヒール魔法を教えるね」
    「怪我をしたら、手を当てて治れってイメージするのよ」

      「じゃ、あの枯れた花で試してみて」
ゆうかが枯れた花に手をかざすと、花がみるみる元気になった。
ゆうか「なんでもできる気がしてきた」
勇作「そー、その自信が大事なんだよ、実際何でも出来るようになる」
 「よーし、ゆうか道場でお父さんと勝負だ」
ゆうか「いいよ、手加減しないからねー」


【道場】
空手着の勇作とゆうかが道場の中央で向き合い、礼をした。
加治「はじめ」
ゆうかがパンチから蹴りを繰り返し勇作を追い詰めて行った。
ゆうかの攻撃はかなり早い、勇作は避けるがやっとのように見えた。
勇作は低い後ろ回し蹴りからジャンプしてかかと落としゆうかが受け身でかわし、振り向いたときに勇作は消えていた。
ゆうかは目をつぶり気配をさぐった。

ゆうか「そこね」
振り返りざま二本の指を突き出した。
勇作「あっはははははは」
 「ゆうかずるいぞ、脇腹を指でつつくなんて」
ゆうか「お父さんが消えるからよ、先にずるしたのはお父さんだよ」
勇作「はい、負けました、ゆうかは強いなぁ、凄く早いし、びっくりしたよ」
ゆうか「でも、このスピードは魔法のおかげ」
 「今までこんなに早くなかったもの」
 「お父さん、ママありがとう」
勇作「たっぷり汗かいたし、シャワー浴びて、ご飯にしようか」
ゆうか「うん、そうしよう、何食べよかな」
千夏「ママは、甘くて冷たくてふわっとしたのがいいな」
ゆうか「あっ、わたしも私も」
加治は、やがて別れなければならない親子の幸せをじっと目に焼き付けていた。


3 人はレストランで食事をして、ゆうかの洋服を買いに行った。
ゆうか「いっぱい買ってもらっちゃった」
勇作「まだ買うのかい」
ゆうかの買った荷物を全部抱えていた。
ゆうかは少し心配そうに勇作の方を見た。
千夏「心配しなくても大丈夫よ、ああやって娘の買った荷物を沢山持ってあげるのがお父さんの夢だったんだから」

 「夢が叶ってよかったね」
勇作「ちょっとー勘弁してよー」 「でも、ちょっとあれだな」
ゆうか「どうしたの、お父さん」
勇作「結構かわいらしい洋服ばかりだったけど、だれの為に着るのかなと思って」
ゆうか「内緒だもんねぇーママ」
千夏「そっ、お父さんには内緒」
勇作「何でだよぉー仲間外れですか」
千夏「違うよ、そんなことお父さんに話したら、その人を探し出して何するかわからないからねぇ」
勇作「ゆうか、そんな奴いるのか、ねっねってば」
ゆうか「さあ、ママには隠し事できないわ、大変ねお父さん」
千夏「そうよ、結構むっつりスケベなのよ」
勇作「なっ、何言ってんの!やめてよそんな話は」
 「でもな、ゆうかにそんな人がいるなんて、安心したよ」
 「一度会って、ゆうかを守ってくれって頼みたかったよ」

ゆうか「ほんと?」
 「実は、さっきからずーと後をつけてるの」
 「出てきていいよ」
ビルの陰に呼びかける
どこか弱弱しそうな男がトコトコとやってきた。
弱そうな男「はっ、初めまして僕は高木義男と申します」
 「ゆうかさんにはいつもお世話になってます」
勇作「ここじゃ何だし、そろそろ夕食たべないと」
義男「あっ僕いい店知ってます、ここから近いです」
勇作「じゃあそこに行こう」


【義男お勧めの店】
料亭だった。義男があらかじめ予約したらしい。
部屋に案内され、それぞれ落ち着いた。
すぐに料理が運ばれてきた。
義男「あっ、お酒どうぞ」
勇作「どうも」
勇作がお酒を一口飲んだ。
勇作「えと、義男君とゆうかはどうゆう関係かな」
義男「はい、内閣情報調査室の同僚になります」
 「こう見えましても、格闘技は得意で道と付くもの
は一通り有段です」
勇作「へぇー見えないねぇ、失礼だけど」
義男「よく言われますので気にしなくなりました」
 「あと、ゆうかちゃんとは幼馴染です」
ゆうか「家が隣で、学校の席も隣だったの、いつもいっ
しょ」
千夏「なんだか、いっしょね私たちと」
 「ゆうかにいじめられてない?」
義男「はい、いつも、、、、」
ゆうか「あのーいじめじゃなくて、からかってるの」
義男「どうーちがうのかなー」
ゆうか「こいつね、弱っちく見えるけど、なんか優しく
て安心するの」
義男「僕もゆうかちゃんの隣はとても居心地がいいんで
す」
勇作「なんか他人とは思えなくなって来た」
 「そーか、仲がいいんだ、よし料理暖かいうちに食
べよ、いただきまーす」
 「うーん、うまいよ義男くん」
料理を食べ終わり、デザートの和菓子を食べていた。
勇作「義男君、ゆうかのこと頼んだよ、これからも僕ら
の代わりに守ってやってね」
千夏「義男君、お願いします」
義男「はっ、はい、僕が死んでも守ります」
勇作「死んでも守るか、うん、合格だ」
 「義男君、今晩のことは聞いたかな?」
義男「はい、ゆうかちゃんから」
勇作「そっか、もう君とも会えないと思うと、なんか寂
しいよ」
 「ゆうか、よかったな、義男君はいいやつだ」
 「二人とも幸せに暮らせよ」
「あー行きたくないなぁ」
千夏「何言ってるの、スーパーヒーローのくせして」
勇作「そうだな、全人類、いや地球存続のためがんばら
なきゃ」


つづく