第3回 2023年10月20日投稿

 

 

【天国と地獄編】


【内閣調査室 特殊スキル戦略チーム 居室】
加治局長「皆、今日から仲間になった、西方くんと高木さんだ、じゃ自己紹介をしてくれ」
勇作「西方勇作です、よろしくお願いします」
千夏「高木千夏です、よろしくお願いします」
加治局長「二人には別室で話をする、ついてきてくれ、長くなるので覚悟してくれ」


 

【別室】
加治局長「君たちの仕事だけど、未来人の田中さんの研究を手伝って欲しい」
「それと君たちの能力を訓練で覚醒させる事だ」
勇作「み、未来人て言いましたか?」
加治局長「そうだ、世間に公表されないが、タイムマシンで既に未来から何人か来ていてその方たちを保護している」
勇作「田中さんの研究ってどんなことですか?」
加治局長「一種のタイムマシンだ、我々は「ジャンプ」と呼んでいる」
「腕時計サイズにするのが困難なのだよ」
「ジャンプは、未来や過去、そして現在の行きたい場所何処へでも行けるんだ」
「詳しいことは明日、田中さんから聞くといい」
「もう一つ重要な事を話す、田中さんは未来人だが、更に先の未来人もいるんだ」
「そいつらは、我々に敵意がある、敵意と言うか、抹殺しようとしている」
「だから、君たちには、自分の身を守る訓練が必要なんだ」
千夏「何で私たちは、命を狙われるんですか?」
加治局長「彼らは、今の我々の活動が 50 年先の未来を破滅に向わせていると言っている」
勇作「未来の敵は、見分けられるのですか」
加治局長「彼らは、男性女性とも黒のスーツを着ている、ネクタイもしてるので、殆どサラリーマンだ、ただ何時もサングラスをかけている、男は帽子を被り、女は、ロングの金髪なので、それで見分けられる」
勇作「まるで映画の「マトリックス」みたいだ」
加治局長「まさにそうだ、彼らは能力を 100%発揮することができるのでかなり強く手強い」「だが、この建物は安全だ、彼らだけが入って来れない結界を張っている」
千夏「だから、この中に住んでるんだぁ」
加治局長「脅すつもりじゃないが、彼らには既に君らの情報が伝わってるだろうから、この建物から出た時は十分気をつけてくれよ」
勇作「なんか現実離れしてて実感が湧かないなぁ」
加治局長「君らの能力が覚醒したら、きっと私以上の戦力になる」
勇作「戦力かぁ」
加治局長「例えばこんな事が出来る」
加治が右腕を天井に伸ばすと、光の刀がブッシューと言う噴出音と共に現れた!
刀を左右に振るとブォンブォンと音がする。スターウォーズのライトセイバーのようだ。
加治局長「どうだい!凄いだろー、これは、私が想像したら現れるんだ、消えろ、と念じれば消える」
刀は一瞬で消えた。
勇作「す、凄い、俺にも出来る様になるのかぁ、信じられない」
加治局長「信じられないうちは出来ないんだ、出来ると信じるんだ」
千夏「私は怖い」
加治局長「恐怖も克服しなければならない」「覚醒は、精神を鍛え事から始まるんだ、正に君らはジェダイの騎士になるんだ」
勇作「俺たちに能力なんて有るのでしょうか?」
加治局長「有るとも、例えば千夏ちゃんは、一生懸命勉強した事無いだろ」
千夏「ハイそうです、一度見たら忘れないというか、昔から」「テストの時、教科書が画像として見えるんです」
加治局長「それと、会話してる相手の考えてる事が分かるだろう」
千夏「ハイ、特に勇作の場合ハッキリとしてるんです」
勇作「えぇーっ、そうなのぉー」
加治局長「勇作は、想像力が優れている、まだ未知数だが、魔力を操れる様になるよ」
勇作「あのう、他にも俺たちみたいな職員はいるのでしょうか」
加治局長「少ないけどいるよ、全国で 10 人位かな」
「チームで活動する事は無いんだ、殆ど単独活動、危険が迫った時に助けに行く」
「007 とかミッションインポッシブルを想像したら分かりやすいだろう」
「あっ、普段の食事だけど、ケータリングサービスを利用したまえ、料理でも材料でもどちらでも選べる」
千夏「外に出なくて済みますね」
加治局長「明日からだが、田中さんとジャンプの完成を目指して欲しい、その他の時間は能力開発訓練だ」
千夏と勇作「ハイ」
加治局長「今日はもう疲れただろう、帰ってゆっくり休んでくれ、明日もここに来てくれ、じゃ」
加治の話は、夕方 5時まで続いた、二人は話を理解するに時間がかかり、疲労が極限に達していた。


【二人部屋】
千夏「あー疲れたよー」
勇作「でも、本当の話なんだよねー、まだ信じられないよ」
「俺たちの存在が未来を脅かしていて、未来人と戦うなんて、ターミネーターか?」
千夏「ねぇ、温泉に行ってみない?」
勇作「うん、いいね」
「その前になんか食べに行かない?」
千夏「うん、お腹ペコペコだね」
勇作「俺、カレー!」
千夏「本当にカレー好きだねぇ、おこちゃまだもんね、
勇作は、私はハンバーグたな」
勇作「そっちだって、おこちゃまじゃん」
千夏「あー、言い返したなぁー、えい」
指で勇作の脇腹を突く
勇作「あん」
千夏「あっ、変な声出した、あはははは」
勇作「うるさいなぁ、もー」
二人は近くの洋食屋で食事を済ませ、温泉でのんびり過ごした。
二人は部屋に戻り、映画「マトリックス」を観た。


【次の日の朝】
千夏「おはよう、勇作」
いつものように勇作のベットから千夏が起き上がりトイレに行った。
千夏「勇作ぅちょっと来てぇ」
勇作「なーに、おっ」
台所のテーブルに朝食の食材があった。
勇作「誰か入ってきたのかなぁ」
千夏「勇作、天井を見て」
勇作「あっ、開くようになってる、あそこから食材が届いたんだ」
千夏「昨日、ケータリングを契約したからだね」
勇作「へぇー都会ってすごいなぁ」
千夏「ばかなのぉ、この建物だからだよ」
勇作「そうか、夢じゃなかったんだ」
勇作は、がくっと気を落とした
2人は、朝食を食べ終えて昨日の部屋に向かった。


【昨日の部屋】
加治「よぉ、おはよう、二人ともよく眠れたかな?」
千夏「ハイ、もうぐっすりです」
加治「よろしい、じゃぁ昨日話した田中さんを紹介しよう、こっちについてきて」


【田中の研究室】
加治「田中さん、おはようございます」
田中「おー、待ってたよ君たちがそうかぁ」
田中の見た目は体格がよい白髪の老人だが、何か元気があった。甘そうなパンケーキを口に入れようとしていた。
田中「おっと失礼、君らはもう朝食はすんだのかな」
千夏と勇作「ハイ」
加治が二人を紹介して、それぞれ挨拶をした。
田中「わしはここに来てからシャンプを開発している」
勇作「ジャンプってタイムマシンのことですよね」
田中「まぁそんなものじゃ」
 「既に 9 割は出来ておる、わしの頭にな」
 「それを現物にするには、わしと加治殿、そして君たちが必要なのじゃ」
 「もう話を進めてよいかの、加治殿」
加治「ハイ、田中さんお願いします」
 「私は、仕事があるので二人をお願いします」
田中「うむ、任せたまえ」
 「さて、何から話をしようかのぅ」
 「じぁまずはジャンプの動力源じゃが、何だと思う?」
勇作「電気ですか」
田中「違う」
勇作「では、プルトニュウム」
田中「違う、まぁ出てこんじゃろう」
 「答えは魔力じゃ」
勇作と千夏「えーっ、ま、魔力って」
田中「今から 6年後、魔力の存在は科学的に証明されるのじゃ」
「魔力と言うと胡散臭いけどな、カッコよく言うと「フォース」じゃ」
勇作「あ、あのジェダイの、ですか?」
田中「そうじゃ、それに近い」
 「魔力は、空間を川のように流れておるんじゃ、または湖や池のように溜まってる場所もあるのじゃ」 「君らの訓練は、魔力を吸収したり、放出したりコントロール出来るようになって欲しいのじゃ」
千夏「えー、信じられない」
田中「能力を 100%発揮できるのも魔力が必要なんじゃ」
 「このことが世間に知れたら大変なことになるな」
勇作「警察も敵わない悪人が出てくるとか、ですか?」
田中「それもあるが、もっと恐ろしいのは戦争じゃ」
 「魔力を使えるものが皆正義とは限らんでのぉ」
 「侍のような武士道が必要になるのぉ」
 「ただし、そう簡単に魔力を使えるものはおらんで、一万人に一人というとこかの、もっと少ないかもな」
 「君らは本当にレアなんじゃよ」
 「それに奇跡じゃ、”つがい”とはな」
勇作「つ、つがい」
勇作の顔が、真っ赤になった
千夏「鶴みたいね」
田中「それだけに、超未来人から脅威だと思われてるのだろう」
 「だが、君らはここにいれば安心じゃ、もし、この組織を選んでなかったら、呆気なく殺されていたとこじゃな」
 「魔力覚醒には時間がかかるぞ、覚悟するのじゃ」
千夏「訓練ってどんなことするんですか?」
田中「そうじゃなぁ、訓練は肉体と精神をバランスよく鍛えるのじゃ」
 「訓練しなくても何かのキッカケでいきなり覚醒するものもおる」
 「加治がそうじゃった、超未来人に襲われて覚醒しよった」
 「午後から訓練だから、頑張るんだぞ」

 


その後、3年の月日が流れた。
勇作と千夏は就職して一年後結婚、更に一年後女の子が生まれていた。「ゆうか」と名付けた。
この 3 年で勇作と千夏の戦闘能力は、CIA 戦闘員並みになっていた。一人で海兵隊員10人と互角に渡り合えるようになった。しかし、魔力はまだ覚醒していなかった。
戦闘能力を生かし、各国で発生した、テロ組織に拉致された日本人の救出を極秘に行っていた。
今日は、久しぶりに休暇がとれ、親子3人で買い物に出かけた。
千春「車で買い物行くの久しぶりだねぇ」
勇作「うん」
 「前に住んでたマンションの近くのイオンにいこうか?」
千春「うん! 行こう」


【イオンモール】
千夏はゆうかを乳母車に乗せて買い物を楽しんだ。
3人は1階でエレベーターが来るのを待っていた。
エレベーターが開いた、中にスーツ姿の超未来人が拳銃を構えていた。
千夏は咄嗟に手を伸ばしバリアーを念じた。
銃弾は2発発射されたが、銃弾が千夏と勇作の目の前で床に落ちた。
勇作は、鋭い蹴りを放ったが、紙一重で蹴りをかわし躱し走り去った。
超未来人は、階段を駆け上がっていく、勇作は後を追った。
千夏はエレベーターでゆうかと屋上に向かった。
超未来人と勇作は屋上に出た。
超未来人が振り向きざまに回し蹴り、勇作も飛び上がり左足回し蹴りを放つ。双方蹴りをかわしたが、超未来人が拳銃を構えた。
千夏「勇作ぅー」
勇作「来るなぁー!」
超未来人の銃弾は、勇作の心臓を貫いた。
千夏「いやぁー!」
超未来人は、千夏に銃弾を2発放った。
一発は、ゆうかに向かっていた。
千夏は、ゆうかに強力なバリアーを念じた。
ゆうかに向けられた銃弾は、バリアーで弾かれた。
が、千夏は胸に銃弾を受けた。
かろうじて心臓は逸れた。
超未来人が千夏に向かって走ってきた。
千夏は体制を立て直し、超未来人の蹴りを左腕で受けると、すかさず右足で蹴りを放った。千夏の蹴りは未来人の右肘で叩き落された。千夏は走った。が、非常階段で追いつかれる。
千夏は、未来人の両腕を掴み非常階段の柵を飛び越え二人とも地上に落下した。
未来人は消えた。
千夏は落下しながら、ゆうかと勇作に「ごめんね」と謝った。
ゆうかは、駆け付けた警官と救急隊員に保護された。
しかし、勇作は心臓に銃弾を受けて死亡。
千夏も救急車の中で息を引き取った。

つづく