ヤッホ～！帆足由美です。

今日ご紹介するのは、

現在公開中ののミステリードラマ。

『母性』

監督：廣木隆一

原作：湊かなえ

出演：戸田恵梨香、永野芽衣郁

ベストセラー作家・湊かなえさんの

衝撃的問題作『母性』の映画化です。

【あらすじ】

一人の女子高生が遺体で発見された。

発見したのは少女の母。

事故なのか自殺なのか、真相は不明。

その悲劇に至るまでの過去を、物語は、

母と娘、それぞれの視点から回想する。

が、同じ時間・同じ出来事を

語っているはずなのに、

二人の話は次第に食い違って・・・。

この「・・・」のところが怖い。

湊かなえ節なのです。

人の心のひだに隠れた魔物を

表におびき出す、描き出すのが

ひじょうにうまいし、怖ろしい。

今回の作品は、

娘を愛せない母と、母に愛されない娘、

血がつながっているのに相容れない

二人の女性をヒロインに据え、

いかに人は分かり合えないか、

いかに人は自己中心的か、

ということをネチネチと、

あ、言葉が悪いな。

じっくりと、

日常の細かなエピソードを見せながら

語っていきます。

これが、なかなか堪えます。

映像は絵画のようにきれいだし、

住むおうちは童話の中の家みたい、

言葉づかいもお上品。

それなのに、描かれる物語が

ぐいぐい心をえぐるのです。

劇中ほどではないにせよ、

あれ、こんな失敗、

私もしたことなかったっけ？と

わが身に照らし合わせたりしてしまうのです。

加えて、俳優陣がみな美しいというのも、

逆にこのお話のいびつさを際立たせます。

母のルミ子は戸田恵梨香さん、新境地！

序盤、中盤、後半と、違う顔を見せてくれます。

娘の清佳は永野芽郁さん。

透明感の中の芯の強さが役に活きていました。

何より、この二人の相性の良さ！

11歳差の二人ですが、ちゃんと親子に見える。

さすがです。

ちなみに、私も大好きだった

ドラマ「ハコヅメ～戦う交番女子～」は、

この映画の後の撮影なのだそう。

さて、二人のヒロインを取り巻く人々も、

女性たちが印象的。

ルミ子の実母を演じるのは大地真央さん。

お花畑の中で暮らしているような、

美しい、逆に言うと現実味のまったくない女性を

的確に演じています。

対照的なのが、

ルミ子の義母役の高畑淳子さん。

怪演！とだけ申しておきましょう。

ほかに、ルミ子の親友役として中村ゆりさん、

ルミ子の義妹に山下リオさん。

どの女たちにも事情があって、

そんな女たちを女優陣がどう表現するのか、

お互いの演技をぶつけ合うことで

どんな化学変化が生まれているのか。

その辺も大いに楽しめます。

女性は子供を産めば

必ずしも母性が芽生えるわけではない。

では、「母性」とは何か？

自分の記憶にあることが、

すべて真実とはいえない。

関わった人の数だけ真実はあり、

それはもはや真実ではないともいえる。

私は原作をまだ読んでいないのですが、

なるほど～、と思うことが

いくつもあった作品でした。

観終わったあと、スカッと爽やか、

とは真逆な作品ですが、

いろいろと楽しめるヒューマンミステリーです。

『母性』、現在公開中です。

公式サイトはこちら。

女優たちの演技合戦を楽しんで！『母性』