戦争とばあちゃん | 私の岡山弁

戦争とばあちゃん

私はぼっけえ甘やかされておおきゅうなった

内孫じゃったし長女じゃったからおばあちゃんが抱えて離さんぐれえ可愛がってもろうた

おじいちゃんとおばあちゃんは長男が戦争で死んだけえ、遺族年金をもらようた

昔はちょっとしかなかったらしいけど遺族年金はうなぎ上りにぎょうさんになった・・らしい

「もらようる人らあが死んでいくけえ分けちがおゆうなるんじゃ」って言ようた

おばあちゃんは遺族年金のおかげでこがね持ちじゃったけえ私の機嫌をとるためか、よう小遣いをくれた

おばあちゃん自体は節約家じゃったから「もったいねえもったいねえ」ゆうてなんにも買わなんだ

「生きた子供は小遣いくれんけど死んだ子供が小遣いくれる」って言ようたな

でも、長男が戦争で死んだ直後に次男が会社の事故で死んで、おばあちゃんは2年くれえ寝込んだらしいでっておかあちゃんが言ようた

おばあちゃんと一緒に墓参りに行ったでなあ

渡し舟に乗って萱をかきわけて・・

おばあちゃんはお墓に向こうて「おかあさんが来ましたよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

と言うて何を言ようるかようわからなんだけど、長いこと息子と話をしょうた

死んだ息子がくれる小遣よりも生きて会いたかったのは当たり前のことじゃな


おばあちゃんが長男や次男のところへ行って25年が過ぎた

おじいちゃんは一足はようその二年前に行っとったけえみんなで会えたじゃろうかな?会えとったらええがなー