初めは、下のピンクの表装の文庫版を読んでいたのだけれど、なんと、コレクターズエディション版では、続編となる50ページが追加されている、と聞いて、すぐに読んでみた…(上の水色)



シスヘテロ(の主に女性)が書く、いわゆる、BLジャンルのものとは、一線を画すると思います。


一応断っておきたいのは、ワタシは「腐女子」(←この言葉が大嫌い)ではありません。




アメリカ合衆国初めての女性大統領の息子、アレックスと、イギリス王室のプリンス、ヘンリーとの恋愛と、その後についての物語り。



出会いから、中盤までは、「ラブコメ」と謳っているように、恋愛のドキドキ感や、ワクワク感が満載で、、、アメリカ的なパーティーのノリにはついていけない?感があるものの、とても楽しいです。



中盤から後半にかけて…

共に「公人」としての求められる自分の姿、あるべきだろう姿、背負うものの大きさ、責任、義務、伝統…そういったものと、2人が求めるものとの間で、悩み、苦しみ、葛藤します。そして、起こる、突然のアクシデント。企み。。。



そこからが、この物語りのキモですね。



「誰かを心から愛する」ということは、人を2倍にも3倍にも強くし、成長させる…そのことを、特にヘンリーは、存分に見せつけてくれました。



もちろん、設定自体が現実味のない、ドラマチックすぎるものなので、ありえない…と思う箇所もありますが、それさえも、楽々と超えて…2人の真剣な想いが伝わります。



訳者の言葉を引用します。


「良質なエンターテイメントを読んだところで私達が日常に抱えている問題は解決しないかもしれませんが、この作品世界に浸って、胸を高鳴らせたり

、憤ったり、笑ったり、泣いたり、ふざけたり、踊ったりした後の心には少し余裕ができて、そよ風の吹きわたる野原のような空間が広がっているかもしれません。そこにふだん見失いがちな、なにか善きもの…愛だったり希望だったり信頼だったり…が見いだせることをこの作品に関わらせていただいた者のひとりとして願っています。」



まさに、この言葉がズバリでした。



そして、アレックスとヘンリーをとりまく人々もまた、とても魅力に溢れていることを付け加えておきます。



さて、映像化ですが。









この2人が、本当にチャーミングでセクシーです。


設定は、原作とは違っています、、、かなり。


このことについては、以前書きました。

ご興味があれば、そちらを。


でも、今回は、二次創作としての素晴らしさを教えてもらった気がします。素敵な作品です。



この作品が、原作も含めて、単なるBLものではない…といったのには理由があり…原作者は自身がノンバイナリーであることを公表しており、映画の監督はゲイとして同性のパートナーがいること、また、出演者の中にも、当事者が含まれる(英国王…Kingを演じる方)という点からも、絵空事のように思えるようで、実はとてもリアリティがある…とい点からです。そして、当事者ではないとしながらも、本作を含む5本の作品の全てで、なんらかのマイノリティを演じているヘンリー役のガリツィン。

演じるにあたっての心境や、その他の発言からも、思慮深く、想像力豊かなことがわかります。



他にも人種的な差別感情など、あらゆるマイノリティへの意識が素材として含まれますが、それさえも楽々と超えて…読後は「happy」な空気に包まれる、そんな素晴らしい作品でした。



ちなみに…といか、「おまけ」的なハナシ。



映画の中で、まだお互いにギクシャクした関係のアレックスとヘンリーが、アクシデントでSPに小部屋に押し込まれるシーンがあります。



そこで…ヘンリーがアレックスがつけている香水について聞く場面があります。

字幕では「ニューヨークの香水?」とありますが、

実際には、英語で「SANTAL33?」と銘柄を聞いています。。。嗅いだだけで銘柄がわかるなんて…なかなかではないですか…王子なのに、笑。




思わず「SHERLOCK」が浮かびました。

彼も、嗅いだだけで、わかるから。。。

同じイギリス🇬🇧人です。。。ね。



それはそうと…

気になったのです。

どんな香り?


ヘンリーは、その後、「いいセンスだね」と、アレックスを褒めるのです…照れてるけれど。。。



それで、買ってみました。



ウッド系がベースで、スモーキーな感じです。

トップノートは、かなりウッドandスモークな感じですが、ミドルになると、爽やかな柑橘系にも似た香りになり、ラストは、バニラ的な甘さが残ります。といっても、甘ったるいしつこさはない。



かなり、好きな香りでした。


ユニセックスとあるように、甘ったるい系が苦手な女性は、いいかもしれません。


とっても気に入って、毎日つけてしまってます。



原作にはないこのシーン。

映画オリジナルですが、このシーンのお陰で、よりアレックスが理解できるし、そこを褒めたヘンリーの感性、感覚…がとてもわかるシーンだと思います。二次創作であっても、素晴らしい作品というのは、原作に奥行きを与えるものなんだ、と教えてもらった気がしました。



すでに、続編が撮られているそうです。



このお二人は続投のようで。

未公開の続編…5年後のアレックスとヘンリーの50ページの物語りが…どんな作品になるのか、今からとても楽しみです。脚本は、原作者と一緒に製作中とか。。。早くみたいな。





ヘンリーがバッハを弾く…そして、その後に、アレックスがイギリス国家を…

この時、2人は最大のピンチの真っ只中…でも、お互いを強く、深く、信頼しています。







最後に





アメリカ合衆国初めての女性大統領にして、アレックスの母。ユマ・サーマンが演じています。



セクシャリティを告白する息子に…

「人生を変えるかもしれない恋愛」について、語ります。「運命の人か、どうやったらわかるの?」と聞く彼に自身の経験を語ります。


そして…彼の父も。


「その先がどうなるかなんてわからなくても、飛び込むべき時もある。崖っぷちでないことを祈るしかないってことだよ。(信じて飛び込め)」と。



母として、私にとってのロールモデルです。




息子達へ。




(流石に、パワポで説明したりはしないけど、笑)

君たちの誰かが…

或いは、1人ではなくて…も

ワタシは、なんの疑いもなく、受け入れるし、

すでに、ワタシは、そういう人間として生まれてきています…だから、安心して。


あるがままを、受け入れて愛し続けるよ。