認知症を患った「おじいちゃん」とその「孫」との交流があたたかい。


そして、ミステリー好きの2人に加えて、さらに仲間が加わると…。


本が好き、特にミステリーが好き…自分も含めて、そんな人には興味深い内容が盛りだくさん。

名作、名著といわれるような作品や、大御所のような作家へのオマージュのような趣もある。


知らない作家さんを早速調べてしまった。

読んでみたい!


おじいちゃんが、孫の提示する数々の謎を推理して、解き明かす…不思議だけれど、その時には認知症の症状が消え、かつての明敏な頭脳が蘇るのだ。

その不思議さもさることながら、おじいちゃんの観察眼の鋭いこと!そして、博識なこと!



素敵なおじいちゃんだ!



いつまでも、このおじいちゃんとのひと時を失いたくない…少しでも長く…タイトルにはそんな願いが込められているのだろう。



ひとつ、また、ひとつ…と、解き明かされてゆく謎…2人に迫る本当の危機…果たしてその正体とは⁉︎



認知症という病を、悲観的にではなく、可能な限り前向きに捉えていると思う。

少なくとも、おじいちゃんには沢山のスタッフの援助があり、気にかけてくれる孫もいる。


しかし、現実には、もっともっと厳しい環境下にいる人々が多いと思う。自分も介護という立場でこの病に関わる1人だ。それだけに、おじいちゃんの人柄の素晴らしさ、病との付き合い方、周りの方への優しさ…胸に響いた。



正直なところ、「病がそうさせている」とはわかっていても、整理しきれない感情というものはあるだろう。あらぬ妄想の被害者になったり、暴言、時には暴力の標的となったり…。

これは病のせい…とは思っていても、周辺症状に振り回される人の心というものは、そう簡単には整理できないとも思う。この病の悲しさだろう。

だからこそ、1人ではなく、専門家の知識や連携が必要なのだ。病を患う本人にとっても、また、それを見守る人にとっても、孤立せずに寄り添える環境というのが、とても大切だと思う。



2人にとっての「過去」も明かされた。

続編もあるのかな?

おじいちゃんとの素晴らしい時間が、少しでも長く続きますように!



おじいちゃんの大好きなタバコ「ゴロワーズ」。

煙をくゆらせながら、おじいちゃんの知性がキラリ!

スイッチにもなる一服。