ある日、男が家に電話をかけると、彼の妻ではなく知らない女が電話を取った。


不審に思った男は彼女にたずねた。


「誰だね君は?」


「私はこの家で働いているメイドです」


「うちではメイドは雇ってはいないはずだが…」


「ええ、でも私は今日奥様に雇われたばかりなので、ご主人にはお会いしていません」


夫はまたかと思い、苛立ちを隠さず言った。


「妻に替わってもらえるかね?」


「奥様は今寝室で休んでおいでです。いっしょにいる男性がご主人だと私は思っていたのですが…」


それを聞いた男は何かを考え込むようにだまり、そして思いきったように言った。


「君は5万ドルほど稼いでみる気はないかね?」


「…どうすればいいんですか?」


男は静かに言った。


「電話台の下の引き出しに拳銃が入っている、弾は既にこめられている。


君がやるのは二階へ行って二人を撃ち殺すことだ。できるかね?」


「分かりました。やりましょう」


受話器が置かれる音がした。


そして階段を上っていく足音が聞こえた。


そのあと2発の銃声が聞こえた。そしてまた階段を降りる足音がした。


メイドが電話に戻った。


「もしもし」


男はほくそえんで訊いた。


「やってくれたかね」


「ええ、死体はどう処分しましょう?」


「そうだな、プールにでも放り投げておいてくれ」


「プール?家にはプールはありませんが…」




はいはいゾッとする話ゾッとする話。


間違い電話間違い電話。


この話を考えた人は天才だと思う。


怖い話系で1番好きだね、この話。


いや、怖い話というよりかはブラックジョークと言うべきか?


なぜ急にこんな話をしてきたのかと言うと、今日が13日の金曜日だから。


なんか怖い話がしたくなってきたから。



13日の金曜日。


何がそういう気分にしてくれるのかどうなのかはよく分からないが、少なくとも『13日の金曜日』と愉快な気持ちにはならない。


別にキリストでもなんでもないのに、なんだか怖いような、寒いような、何かとんでもないことが起こりそうなかんじになる。


でも、何も起きずに一日が終わる。


そんな13日の金曜日。


・・・で、終わると思っていたら今日、制服の下に着ているカーディガンが裏表逆だということに学校に来てから気づくというそんな過ちをおかしてしまった。


そんな、1月13日の金曜日。