Jadis JA-80 真空管モノーラルパワーアンプ 1983年 フランス共和国 ¥2360000
ジャディスというブランドネームはフランス語で「かつての...」といった良き時代への
想いを込めた言葉である。社歴40年の世界的な名門ブランドで、多くの固定ファンを持つ。
一段と輝きが強く、雲上世界に輝く巨大な光の渦を見るような唯一無二の世界を展開する。
ソノリティの余韻もより深くなり、再生芸術の高みではARCをも凌いでいる。
JA-80は現代的で非常に音が洗練されている。豪華さが爆発しているようなゴージャスさで、
音が非常に澄んでいて一音、一音、すくいあげて洗いあげたような綺麗な音がする。
やさしく優雅な印象で、ユーフォニックで耳に快い音である、暖かさのある
濃厚で甘美な音色。女性ヴォーカルは深くて甘い。響きや余韻といった間接音成分は
もっとも多いタイプとなっている。現代アンプの音質にヴィンテージアンプのテイストである。
音には終始、明るくて裏がない、陰影だとか翳り、
渋さのようなものは存在しない。楽天的で鷹揚な鳴りっぷりが特徴である。
アウトプットトランスとパワートランスは共に目を見張るような巨大さであり、
キンクレス・テトロード、KT-88パラレルプッシュプルとこの大きなトランスに対して
出力は80ワットと割合低く抑えられているのは、ひとつには自動バイアスは
実行出力値が20%ほど削られてしまう為、それと純A級動作でクオリティと
十分なパワーの両立に重きを置いている為である。
低域は遅く、過度に熟しているが、気になる程の弱点ではない。
中低音域から上は非常に優れていると思います。ビシッとした硬派な音を出す
ARCパワーアンプよりも心地よく、寛容で、甘い音の、暖かく真空管っぽい音質である。
超弩級アンプに相応しく溢れ出るようなエネルギー感と図太い中低域を持つ雄大な音。
音楽ソースはアコースティックなクラシックとジャズとヴォーカル向いています。
ただし、機器の存在を忘れて音楽を聴くことができる数少ないアンプです。
また、録音状態が良ければ電子音も心地よい再現となる。自動バイアスで
バイアスは深く掛けられており、出力管はかなり熱くなって消耗が激しくなる。
正常動作でも出力管が焼けるような臭いがするほど高温になる。スイッチ類は
オリジナルのウエスタンアンプのような堅牢さで非常に厳重に作られており、
高い耐久性を備えたもので100年使えるようなしっかりした造りである。
ジャディスはフランスの真空管とトランスを専門とするエンジニア、
ジャン・ポール・キャフィーともう一人技術者の2名によって1982年に
設立されたブランドで、JA-80はその第一作である。大型シャシーの中央に
巨大なアウトプットトランス、その前後に真空管と平滑コンデンサーという
ユニークな外観を持つ。パワーチューブにはGEC KT-88を用いているが
オートバイアスでマッチドクアッド(特性を揃えた4本の出力菅)に
差し替えれば全自動でバイアスが調整される。EL34/6CA4にもそのままで
差し替えて使用できるが、あくまで違う球なので球の寿命はかなり短くなる。
回路の詳細は初段のECC82でいきなり位相反転し、次段はECC83で、
一般的な見方からすると、初段と次段の使い方が逆のようであるが、
これはトップステージはゲインよりも位相特性を重視した為、
ミディアムμの球を使用し、次段のドライバーステージに
ハイμチューブを使用して必要以上のゲインを稼ぎ、その余分なゲインに
対してパワーチューブからのNFBを正、負の各球に対してクロスさせて
かけるという手法が採られている。巨大なアウトプットトランスが採用された
理由は、充分低域まで特性がのばせるためと、コアボリュウムの
増大によって一次インダクタンスが大きく取られ、
コイル巻き線数が減らせるためにコイル間の浮遊容量が減り、
高域特性も改善できるということからだろう。また一次二次ともに
多重巻き線が行われており、結合度もかなり高いものとなっているようだ。
内部処理はシグナルパスに関係のあるところにはプリント基板を使用せず、
かなり太い単銅線が用いられ、最短距離で配線されている。
CR類は外部振動に耐えられるようにシリコンゴムでシャシーに固定されている。
全体的にワイドレンジで低歪みを狙った現代的な音質のパワーアンプという
ことが云える。
使用したスピーカーはALTEC LANSING MILESTONE 604で
audio research SP-8mk2と組み合わせたが、両者の相性は非常に良好だと感じられた。
ジャディスのパワーアンプの強い個性だとか持ち味も存分に発揮されている。
同社はJP-80MCプリアンプの評価が非常に高いのだが、JA-80は先行発売されただけあり、
パワーアンプ単体で使用してもジャディスの素晴らしさは十分に堪能できるものだと実感できた。
オンマイクの女性ヴォーカルの、アカペラ歌唱部分などの惹き込まれるような、
魅惑的で誘惑的なサウンドにおいて、JA-80の方がARC D-115よりも優れていると感じた。
さすがに当時の超高級機である。常用機には扱いやすいARC D-70を使用しているが、
JA-80を前にすると、クラスの違いは否めず、JA-80の「豊かなサウンド」に対して
D-70では再生スケールや音の厚みといった点でやや寂しさを感じたほどだった。
ARCと比較できるほどの高い競争力と創造性をそなえた世界レベルのパワーアンプである。
Jadisの真実。Jadis JA-80は確かに「フランスのエスプリ」が感じられる。
ジャディスの「個性的な音」は間違いなく存在している。
暖かさがあり陽気な音色という意味でエントリークラスのATOLLやYBAも同じく
フランスの音である。ブランド第一作の初期型 シリアル#378と#379なので
もっともいい味が出ていた時代。
尚、SP端子、RCA端子に近い側のMT管が12AX7/ECC83で、
出力管に近い側が12AU7/ECC82である。
実行出力80w 12AU7×1 12AX7×1 KT-88×4
W23.0cm ×H26.0cm ×D58.0cm 35.6kg 一台
JADIS JA-80 ジーナ ロドウィック pic.twitter.com/pVizGQYlzG
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JADIS JA-80 キース ジャレット pic.twitter.com/8QA35pXw5g
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JADIS JA-80 サラ ブライトマン pic.twitter.com/sfbjUKEK5P
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JADIS JA-80 ジーナ ロドウィック② pic.twitter.com/OwlyfwN70Z
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