LUXMAN MQ36 OTL 真空管パワーアンプ | 禁断のKRELL

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LUXMAN MQ36 OTL真空管パワーアンプ 1966年発売 日本 ¥128,000~¥250,000

 

 

 



究極の陶酔
 

 

 

 


国宝であり、伝説級の真空管OTLパワーアンプ。
 



圧倒的に華やいだ空気感に心を奪われる。何から何まで豪華絢爛な音を生み出し、
どのような音楽を鳴らしてもすべて積極的に前を向かせ、決して俯かせることはしない。
OTLはあるものを全て提示してみせる、その成果は臨場感のすばらしさである。
ほとばしる熱い情熱や、強烈な生気がスピーカーから解き放たれる!
これは大変な個性派である。温度感が高く、濃密な佇まいの官能魔境の世界。
毅然とした強さがありながら、甘美な倍音成分を麗しく空間に響かせていく。
究極の陶酔に酔いしれる恍惚感。とにかく歯切れがよく、メタリックな音像の輪郭が
効いており、切れ味の鋭い表現にも長けている。原音忠実といった志向ではなく、
夢のような理想的な音に再創造するのだが、熱いJAZZの再現を狙った真空管アンプで
あるのだろう。ドラマティックな高揚感や熱く炸裂する躍動感に格別なものがあり、
その魅力は筆舌に尽くしがたく、どれほど賞賛しても足りないほどだ。
溌剌とした緊張感と刺激性のある音だが、聴き疲れがなくいつまでも音楽に没頭できる。
ただし、力のある半導体アンプと比較すると底力では到底敵わない。
電流供給能力にしばしば不足感を感じさせる。透明感を至上とする方には
おそらくテイストが合わないだろう。JBLの大口径を存分に鳴らし切る事はできない。
MQ36は古典的な真空管アンプなのでやはり低域のダンピングがやや弱い。
やはり半導体の強力なアンプと比較すると重低音は大きく見劣りしてしまう。
霞が掛かったような見通しの悪い音で、曇りや雑味が感じられる抜けの悪い音。
ただDACプリ直結にすると上記の様な印象は大きく薄れた。
OTLだからといって決してクリアーだとか、ストレートな音ではない。
下記に傅 信幸先生に頂いたコメントを掲載します。
「筐体構造、剛性、制振、メカニカルグランディング、重心、重量バランスなどなど、
筐体にメカニカルな設計思想が注入される以前の製品だったという事が言えると思います」

したがって「真空管の電極やシャーシの鳴き」も含めて音作りがなされている。
これが現代の管球式アンプでは得難い独特の魅力を生み出している。MQ36は設置に対して
極めて敏感であり、性能発揮させる為ラックには入れず床上ボード上にセッティングしたい。
16Ωという高いインピーダンスであるから、現代における通常の用途ではホーンドライバーや
ツィーター駆動用となる。6Ωスピーカーなどには僅かな電流しか流れないので、
音が歪(ひず)んだり割れたりする。LS3/5Aなら破綻も少なく十分な重低音も出すことができて
音楽を心地よく楽しめた。(ただしLS3/5A自体が音圧92dBより上は音が歪みが出始める)
当然、このSPの場合は広い部屋で距離を取ってというのは無理でニアフィールドではあるが。
「歪み率」 「周波数特性」 「情報量」 などではEAR OCTAVEなど現代モデルに劣っているが、
想像以上に健闘しておりほぼ不満は感じない。OCTAVEのような洗練された
現代の管球アンプと比較するとやはり少し音に雑味が感じられるが、
古ぼけた過去の遺物とは全然違う。それよりも圧倒的な美点に白旗を挙げてしまう。
アウトプットトランスレスで超高域・低域が伸びきらない従来の管球機の弱点を払拭。
3年から最大で30年もの長寿命がある電圧安定用の特殊双三極管6336Aを採用し実用になる
パワーを獲得。最適負荷抵抗は50Ωだが16Ω負荷でも25wの大出力を得られる。
LUXMANでは唯一の真空管OTLである。出力値の25wだが8Ωでは20w程度になる。
スピーカーに対して最も安全なアンプは出力トランスを搭載した一般的な真空管アンプ、
もっともリスクがあるのはOTL管球アンプやGAS SUMOのアンプ(特にプリ)
LUXMAN MQ36は保護回路を持ち、直流を検知して出力を遮断するリレーを搭載しているが、
ヴィンテージの高価なスピーカーには運用上破損や再起不能のリスクがある。具体的には
出力管が寿命を迎えた時に出るショックノイズ(30~40w)で16Ωなどのヴィンテージの耐久性の
低さから来る問題もあり、経年で弱ったコイルなどが切れてしまう。OTLだから筐体サイズも
大規模なものとなり、真空管一本あたりの発熱量も盛大である。MQ36は合計11本の真空管が
使用されており発熱量は普通の真空管アンプの比ではない。端子未交換の場合、
スピーカー端子は裸線のみしか使用できないので注意が必要である。
現在においては欠点だらけの使いづらいアンプと言えるが、「音楽の感動」という一点において
間違いなく筆者のオーディオ人生でもっとも高い評価を獲得した宝物のような存在である。


 

 

 

 

25W+25W(16Ω)ダンピングファクター約65(16Ω)使用真空管6336A×4個/6CL6×4個/

6267×2個/DR-130N×1個 サイズW505×H192×D280mm 重量18.7kg

 

 

 

オーディオの先輩から頂いたMQ36の情報を下記に掲載します。

 

設計者は分かりませんが、(MQ36の)デザインは瀬川冬樹さんだったように記憶してます。

ちょっと記憶曖昧ですが。オリジナルの設計は、日本のOTLアンプの草分け、

武末数馬さんのものをラックスが製品化したような感じでした。

 

 

 

1960~1970年代のオーディオの最盛期、オーディオの華やかりし時代に思いを馳せた。

胸を打つ熱い思いが!国産がこれほど素晴らしい音楽性を持つアンプを生み出していた。

MQ36は間違いなく日本のオーディオの歴史に残る、ラックス渾身の最大傑作である(!)

 

 

 

 

MQ36は8Ωや6Ωのスピーカーに繋いでは本来の音は絶対に聴けないと考えて頂きたい。

まずまずの音を出すのだが、15~16Ωスピーカーで鳴らすMQ36とは比較にならない。

インピーダンスマッチング整合の取れたスピーカーで運用したい。

6~8Ωのスピーカーを鳴らすと出力管の消耗が急激に進行するので

どうしてもという場合はマッチングトランスを使用したい。トランスを使用する場合、

直流の出現でスピーカーを破壊する最悪のトラブルからも解放されます。

ラックスのサービスにて裏メニューでスピーカー端子とRCA入力端子を

現代のものに交換対応して貰える。当然費用は掛かる。電源ケーブルをACインレットに

改造もできるが、ラックスのサービスでは電気安全上の理由から断られる。

MQ36は故障は意外と少なく出力管が切れる事が音が出なくなる原因の殆どである。

ただし発熱量が多いので遠くからサーキュレーターを回して強制空冷をしたい。

当時のラックスでは出力管の6336AはNEC製を推奨していた。(本社サービスの回答)

またサーマルリレー管のDR-130Nの寿命を心配する方もよくいるが切れていた前例が

まったくないのでスペアを探す必要はない。MQ36でホーンスピーカーを鳴らしたい

場合はALTEC A5とA7の初期の16Ωモデルくらいしか選択肢がない。

古いスピーカーなので大切に鳴らし続けられた完全整備済みのALTECを

必ず実際に聴いてから購入すべきである。


 

MQ36(エムキューサブロク)は個性の強いヴィンテージの球パワーであるので、

管球プリとの組み合わせでは球と球を重ねると濃厚すぎてクドくなってしまう。

銘機 MC275などと同様に 「現代的な鳴らし方」 をしたい場合はプリ無しか、

ストレートな音である創成期レビンソンのプリと組み合わせると良好な結果であった。

 

 

MQ36はコンストラクション内部のカップリングコンデンサー、抵抗、ソケットなどを

高品位なものに交換するとさらなる高音質を狙えると思われる。外部に見えている

大型のブロックコンデンサーは交換しないほうが無難ではないかと考える。

 

 

MQ36は製造途中で危険防止の為安全回路が搭載されるようになり、カバーを付けないと

電源が入らないタイプが存在する。パーソナルデータ cereal # 440061はカバーを

付けなくても電源が入る。cereal # 440362 はカバーを付けないと電源が入らない。

 

感電や火傷のリスクを考えると真空管カバーがある方が良いのだが、殆どの真空管アンプは

カバーが無い方が音質が良い。音に解放感が出てくる。安全機構をパスする工夫をして

カバーを外して運用したい。(真空管の破損や人体の事故は自己責任でお願いします)

 

 

 

 

 

 



ヴィンテージ機なので実用に耐えるのは定期的に通電して大切に愛用されてきた個体に限る。

1967年に発売されてロングセラーだった製品である。年代物だから個体差が大きく、
現在においては動作しても古臭いナローで情報量も極度に少ない音で鳴るリスクも高いので
必ず実際に試聴されてから購入したい。

 

 

 

 

 

 

※ 2018/8/6 追記 MQ36はOTLなので球の消耗が激しく、バイアス調整は白のメーター部分の

7~8割の位置が無難だそうです。もちろんバイアスを上げた方が音にハリが出てきて良いのですが

貴重な出力菅を大事に使うためにもバイアスは抑えめで低めに調整することを推奨いたします。

 


LUXMAN MQ36 の調整は安全かつ簡単。感電死のリスク無し。
調整ドライバーのステンレスキャップを左に回して外す
「ユニットバランス」「PPバランス」はフロントパネル各ボタンを押しながら

マイナスドライバーを使ってメーターのU字窪み(中央)に厳密に合わせる
「バイアス調整」白く塗られたメーター右端の黒色空白部分でL・R一致させる。

 

 

片側チャンネルの五つの真空管が点灯せず、オペレーション/スタンバイの

ランプが点かず音出しが出来ない場合、背面パネルにあるヒューズの溶断が

考えられるのでまず真っ先にチェックして頂きたい。ヒューズは直径30mmの

3Aタイプでホームセンターコーナンで入手できる。